貴方に嫌われたくなくて【完】

mako

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想定外

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心配気な視線の中央にはリディアンネが微笑んでいる。チームリディアンネは主の表情を逃さぬ様に見守っている。


『そんな心配しなくても私は大丈夫よ。』


リディアンネは小さく微笑むとルイザから順に視線を流していく。最後のサラは既に泣きそうだ。



『今だから言うけどアルフォンス様の素行は前々から知っていたわ。私たちは政略結婚では無いけれど、真実の愛でもないの。私はたまたま推しと結婚した。推しを隠れて見ていたのが一緒に生活できるようになったのよ?それだけでラッキーだわ。』


…。




『で?貴女たちはいつから知ってたの?ってかルイザ。今日の令嬢は?上級貴族ではない感じだけど?』



ルイザはリディアンネからの問に頷くと


『はい、仰る通り男爵令嬢でした。』


『でした?』


…。



言葉を濁すルイザに変わり頭脳派のサーシャが答える。


『要は没落貴族ということです。』





リディアンネは大きな瞳を更に大きく見開くと


『えっと、では今は平民ってこと?』


『はい。』


…困ったわね。

リディアンネは眉間にシワを刻み頭を抱えた。




リディアンネの危惧していた事はその後間もなくして帝国中のニュースとして駆け巡った。


【アルフォンス・ワイオット平民との真実の愛】


アルフォンスの記事に社交界も飛びつき、前にも増して夜会が繰り広げられ、もっぱらアルフォンスとその娘では無くリディアンネの噂が飛び交っていた。止まらぬ噂に遂に2人は皇帝からの召喚状を手にする事になったのである。



アルフォンスは記事が出てから、大公家には戻っては居ない。リディアンネは尾びれ背びれついた噂の中、1人で宮へ上がった。


リディアンネが案内に従い長い廊下を行くと、それを横に控え頭を垂れる衛兵ら。


その様子を何故か他人事のように思えるリディアンネは皇帝の待つ部屋まで来ると背筋を伸ばし、もはや大公家の嫁ではなくサエラ王国王女の風格を身に纏い中に入っていった。


リディアンネが美しく膝を折ると


『よい。』


短く答える皇帝を真っ直ぐに見た。

皇帝の横に座る皇后は氷の微笑を浮かべる。

サイドには皇太子のユリウスが眉間にシワを寄せて先に到着していたアルフォンスと元男爵令嬢を見ていた。


『アルフォンス、どういう事だ?』


身内だけだからか少し砕けた雰囲気で皇帝はアルフォンスに問うた。


『申し訳ありません。』

俯いたままのアルフォンスに

『記事を肯定するのだな?』


黙って頷くアルフォンスに皇帝は小さく息を吐き


『で?どうするつもりなのだ?』


『清算します。』


…。


リディアンネの心の声を知ってか知らずか皇后は

『どちらを清算するつもり?』


リディアンネは心の中で激しく同意。

しばらくの沈黙に業を煮やしたのは元男爵令嬢。

『私はお腹の中にアルフォンス様のお子がおります!』


大袈裟にお腹を擦る元男爵令嬢。

響き渡る元令嬢の声に続く声は聞こえない。



『よろしいですか?』


沈黙を破ったのはリディアンネであった。
皇帝は2回頷くと


『話してみよ』


リディアンネは小さく頭を下げ

『アルフォンス様。そちらのお方を側妃として迎えるおつもりですの?』


『…』


アルフォンスはチラリと元令嬢を見るもすぐにリディアンネに視線を移し


『リディアンネ…』



…名を呼ぶだけではわからないわ!



リディアンネは仕方なく


『アルフォンス様?初恋は初恋のままの方が美しいというものですね?お互いに…。私も貴方をストーカーしていた頃が一番幸せでしたわ。』


アルフォンスは悲しそうにリディアンネを見つめるも隣の元令嬢は怪訝そうな表情でリディアンネを見る。


『リディアンネすまなかったね。君の初恋とやらは私では無いんだ。だけれど君を娶る事が出来て嬉しかったのは本当だ。』




…んなアホな!この期に及んで何を言い出すかと思えば


驚いたリディアンネよりも更に驚いているのが皇太子であるユリウスであった。



『ユリウス、私が気づいていないとでも?リディアンネが言う初恋の場に私は居なかったからね?私がリディアンネと初めて会ったのはもっと後になってからだから。』


…。


…そんなはずは無い。


リディアンネは首を捻る。


『君は天使と出会った事で、皇太子教育にも熱を入れどんどんと大きくなっていったよね?だから私もその天使に会えばユリウスに負けない位になるだろうって子どもながら考えていたよ。』


…。


『皇帝を父に持つユリウスと大公を父に持つ私。同じ血が通うのに、どれだけ待遇に差があった?だからサエラ王国王女の帝国入りした時に真っ先に確認したよ。3人の王女。すぐにユリウスの天使はわかったよ。これでも兄弟みたいに育てられてたからね?』


ユリウスは悲しそうに黙って聞いている。

『ユリウスは何でも自由に手に入れる事が出来るだろ?ただ唯一皇太子妃だけは違う。あの選定にリディアンネが残らないと知り、私はかつて抱いていた思いがぶり返してくるのを感じたよ。』



『アルフォンス。あの交流会の後、サエラ王国に向えと言ったのは誰だ?』


ユリウスは静かに問うた。



『そうゆう所だよ。私がリディアンネに想いを寄せているのを知ってからだろ?麗しい友情か?そんな上から偉そうに言われなくともリディアンネは私を求めてたんだ。』



…えっと人違いだったのよね?


リディアンネは理由もわからず静観していると流石に隣の元令嬢はもっと訳が分からない様でイライラしているのが見て分かった。


ユリウスは冷めた表情でアルフォンスを見つめた。その視線に打ち勝つ様に


『そうゆう所だよ!いつもそうだった。何でも出来るユリウス君は僕を見下していたよ!』


自暴自棄になるアルフォンスにリディアンネは遂に


『だって現に偉いじゃない?上からでなければどの立場で物を言うの?身分とはそういう物だわ。』


素のままのリディアンネにアルフォンスは固まるも隣の元令嬢はリディアンネの物言いに安堵したのか自分まで素のままで語りだした。


『今は、そんな事よりも私のお腹の中にいる赤ちゃんをどうするかだわ?』



…どうするって貴女。

リディアンネは不思議そうに元令嬢を見つめた。






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