貴方に嫌われたくなくて【完】

mako

文字の大きさ
41 / 47

皇太子妃誕生

しおりを挟む
ユリウスとリディアンネの挙式は突然の前倒しにも関わらず他国からの参列者も予定通り揃うと盛大に執り行われたのである。

リディアンネは帝国皇太子妃としてその名を大陸に刻んだ。




『さあ、これからだね。』


フレディックの声が低く漏れた。


フレディック派の思惑はリディアンネが婚約者ではなく皇太子妃となってからが勝負なのだ。


『妃殿下は頭の中には常に花が咲いておられる(笑)』


『政治には無関心とかではなく理解出来ないのであろうな(笑)』



フレディック派の面々が好き放題話しているのをフレディックは嬉しそうに眺めていると


『ゆっくりはしていられないからね?父上の方も早く片付けなければ帝位継承後では意味が無いからね。』


フレディックは長い足を優雅に組んで片手でグラスを傾けながら言った。


面々はゴクリと喉を鳴らすとゆっくりと頷いた。




リディアンネはもはや夫であるユリウスにも疑問を持っていた。

挙式が前倒しとなった説明も無く、それを敢えて聞かないリディアンネが何を思うかが分からない男ではない。その男が敢えて沈黙しているのだ。何でも報告してほしいと言っていたはずが自分は何も話さないのだ。


一方のフレディックに付いても疑念は払い切れない。最近よく目にするフレディックの側近にどこかで見たことのある女がいる。どこで見たのかまでは覚えていないリディアンネは頭がショート寸前まで悩ますが未だ思い出せていない。


リディアンネはユリウス派、フレディック派を前にして頭を悩ませていたのである。


…私は何派よ。




そうしているうちに、先ずは第一弾となる爆弾が降り掛かってきたのである。


ゴシップ誌にリディアンネの醜態としての記事が社交界を賑わしている。


『ルイザ!これって私の事?』


どっからどう見てもリディアンネの事である。


『このような音も葉もない記事は気になさる必要はございません。』


ルイザの言葉にサーシャは


『出所は探る必要はありますが。』


渋い表情の2人に



『これって隠し撮りよね?もう少しキレイに撮れなかったのかしら?悪意を感じるわ。』


…悪意ってそこかい!


ルイザは久々に聞くリディアンネ節にため息をついた。


これがサエラ王国であれば王太子妃のゴシップ記事など加勢する者が居ない為にすぐに沈静下していくのだがここは帝国。それも巨大化している。

ということはこれに加勢する勢力は有り余る程居るのである。そう、あの頭空っぽな皇女らの活躍によりリディアンネは瞬く間に悪女と成り下がっていった。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

今さらやり直しは出来ません

mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。 落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。 そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...