貴方に嫌われたくなくて

makojou

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皇太子妃誕生

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ユリウスとリディアンネの挙式は突然の前倒しにも関わらず他国からの参列者も予定通り揃うと盛大に執り行われたのである。

リディアンネは帝国皇太子妃としてその名を大陸に刻んだ。




『さあ、これからだね。』


フレディックの声が低く漏れた。


フレディック派の思惑はリディアンネが婚約者ではなく皇太子妃となってからが勝負なのだ。


『妃殿下は頭の中には常に花が咲いておられる(笑)』


『政治には無関心とかではなく理解出来ないのであろうな(笑)』



フレディック派の面々が好き放題話しているのをフレディックは嬉しそうに眺めていると


『ゆっくりはしていられないからね?父上の方も早く片付けなければ帝位継承後では意味が無いからね。』


フレディックは長い足を優雅に組んで片手でグラスを傾けながら言った。


面々はゴクリと喉を鳴らすとゆっくりと頷いた。




リディアンネはもはや夫であるユリウスにも疑問を持っていた。

挙式が前倒しとなった説明も無く、それを敢えて聞かないリディアンネが何を思うかが分からない男ではない。その男が敢えて沈黙しているのだ。何でも報告してほしいと言っていたはずが自分は何も話さないのだ。


一方のフレディックに付いても疑念は払い切れない。最近よく目にするフレディックの側近にどこかで見たことのある女がいる。どこで見たのかまでは覚えていないリディアンネは頭がショート寸前まで悩ますが未だ思い出せていない。


リディアンネはユリウス派、フレディック派を前にして頭を悩ませていたのである。


…私は何派よ。




そうしているうちに、先ずは第一弾となる爆弾が降り掛かってきたのである。


ゴシップ誌にリディアンネの醜態としての記事が社交界を賑わしている。


『ルイザ!これって私の事?』


どっからどう見てもリディアンネの事である。


『このような音も葉もない記事は気になさる必要はございません。』


ルイザの言葉にサーシャは


『出所は探る必要はありますが。』


渋い表情の2人に



『これって隠し撮りよね?もう少しキレイに撮れなかったのかしら?悪意を感じるわ。』


…悪意ってそこかい!


ルイザは久々に聞くリディアンネ節にため息をついた。


これがサエラ王国であれば王太子妃のゴシップ記事など加勢する者が居ない為にすぐに沈静下していくのだがここは帝国。それも巨大化している。

ということはこれに加勢する勢力は有り余る程居るのである。そう、あの頭空っぽな皇女らの活躍によりリディアンネは瞬く間に悪女と成り下がっていった。







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