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特別裁判所
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ここは帝国特別裁判所。通常の裁判所とは異なり皇族のみが裁かれ、傍観者もまた皇族のみである。
そこは裁判所とは思えぬ豪華絢爛で飾られ中央に建つ大きな天秤は金色に輝いている。
…無駄の骨頂だわ。
リディアンネは辺りを見渡すと顔を歪めた。
両扉が開かれると中にはまるで観劇でもするかのような傍観者。ぐるりと一周する傍観者の席の中央に一段高いところでこれまた豪勢な椅子が二脚。皇帝と皇后の椅子が並べられいる。
そこには皇后両陛下ではなく、この日は皇太子であるユリウスが背もたれにもたれ掛かり足を組み、こちらを見下ろしている。本来ならばその隣には、リディアンネが居るはずだが、そのリディアンネは尋問台に立たされていた。
…。
リディアンネはゆっくりと辺りを見渡すと裁判官らがゾロゾロと入室してきた。
…始まるわ。
リディアンネは宣誓をすると、会場の皇族らも起立をし宣誓を行った。これはここに居る全ての者が嘘偽りを述べない事を誓うものであり、それを破る事は許されないとされる。
宣誓が終わると会場には静寂が広がり、裁判官の言葉でリディアンネの嫌疑が読み上げられた。長い話を割愛すると以下の通り。
・特別費用の横領
・鉱石の密輸
・機密情報の漏えい
流石にゴシップ記事にあるくだらない事項は省かれてはいるものの、これらが事実であればリディアンネは幽閉では済まされない。
次々と証言台で迫真の演技を披露する皇族らをある意味尊敬の眼差しを送るリディアンネ。
…保身の為とは言えよくもまぁ…
証言者があまりにも多く、尋問台のリディアンネの番が回ってこない。
…あ、第3皇女だわ。
…誰、貴女?
…お前誰だよ。
リディアンネは様々な事を頭に巡らせているとようやく最後になったのかフレディック第2皇子がリディアンネに語りだした。
『リディアンネ様、私は大変残念でなりません。しかしこれは貴女だけの問題では無い。貴女をこの国の皇太子妃とした皇太子殿下にも責任が問われる事になりますことお分かりですか?
皇太子殿下に責任追求しなければならない我々の気持ちを貴女は理解出来ますか?』
迫真の演技が続いてきたが、流石はトリを務めるだけはある。涙ながらに語るフレディックを前に固まるリディアンネに代わり口を開いたのはユリウスであった。
ユリウスはゆっくりと席を立ち、会場をぐるりと見渡すと
『残念な思いをさせて申し訳ない。リディアンネの罪が確定したならば、その責任はもちろん私にある。その覚悟は出来ているから心置き無くやってくれ。』
無表情で語るユリウスの言葉に、会場はどよめいた。傍観者の半数以上はフレディック派となるであろうその構図にユリウス派までも変わりつつあるのが明らかに分かった。
ユリウス派としても、ユリウスが継承権を放棄することになればフレディック派に身を振るのは当然である。ユリウス派でさえも保身はある。
『バカが…』
フレディックは心の声を思わずどよめきの中小さく吐き出した。
『バカはどっちだ(笑)』
その前に立つリディアンネもまたどよめきに紛れて心の声を吐き出した。
驚いたようにリディアンネを見るフレディックにリディアンネはしれっと笑顔で首を傾げた。
カンカンと裁判官がガベルを鳴らすと瞬時に静寂が広がり各々の視線だけが複雑に絡み合った。
『妃殿下、反論はございますか?』
リディアンネは裁判官を真っ直ぐ見据えると
『反論しかございませんが?』
会場はその一言にブーイングの嵐が起こるもまたもガベルによって黙らせられる。
『先ずは横領でしたか?そもそも証言者が語るような構図には無理がありますわ。私が帝国のお金を私的口座に流していたとの事ですが、私は私的口座なんて持っておりませんもの。』
『お持ちですわ!』
リディアンネの言葉に反応したのはかつてリディアンネに仕えたリザである。
リディアンネはリザを見ると懐かしそうに笑い掛け
『そうね、貴女たちにはそう話したものね。でも実際はそんな物持っていないわ。だけど、それのどこが罪になるかしら?』
…。黙りこくるリザに代わりフレディックは
『何故そんな嘘を?』
『嘘って…。そもそも私が個人的に侍女に報酬を支払う事に問題は無いはずよ?その出所を侍女に正確に話さなけばならないの?
それに嘘とかではなく、遠慮して受け取らない者に気を使わせない為に咄嗟に言っただけ。問題あるかしら?』
…。
『それにそんな事、今回の件には何の関係もないわ。証言者の言う皇宮のお金を私が私の口座へ流していたのよね?あるはずの無い口座へ振り込めないわ。でも振込み履歴がある。ならば誰が作ったのかしら?』
『それはこちらが知りたい事です!』
『では、会計の責任者はどなたになるのかしら?あるはずも無い口座にどこの誰だか知らないけれど振り込んだ訳でしょ?あまりにお粗末じゃない?それに私はその口座を作ってない。なのに私名義の口座を作る事が可能って事でしょう?それが一番の問題だわ。』
リディアンネが会計の責任者を探すかのように見渡すと自ら私ですとばかりに青くなる男に視線を止めた。するとリディアンネはニヤリと笑うとフレディックに対して
『フレディック様、貴方は責任追求がお得意なのですよね?お辛いとは思いますがこの者への責任はどうされますの?』
…。
フレディックはバツの悪そうに
『も、もちろん追求しますがそれは貴女の証言の裏を取ってからです。』
リディアンネは満足そうに頷くと再び裁判官の方へ向き直った。
そこは裁判所とは思えぬ豪華絢爛で飾られ中央に建つ大きな天秤は金色に輝いている。
…無駄の骨頂だわ。
リディアンネは辺りを見渡すと顔を歪めた。
両扉が開かれると中にはまるで観劇でもするかのような傍観者。ぐるりと一周する傍観者の席の中央に一段高いところでこれまた豪勢な椅子が二脚。皇帝と皇后の椅子が並べられいる。
そこには皇后両陛下ではなく、この日は皇太子であるユリウスが背もたれにもたれ掛かり足を組み、こちらを見下ろしている。本来ならばその隣には、リディアンネが居るはずだが、そのリディアンネは尋問台に立たされていた。
…。
リディアンネはゆっくりと辺りを見渡すと裁判官らがゾロゾロと入室してきた。
…始まるわ。
リディアンネは宣誓をすると、会場の皇族らも起立をし宣誓を行った。これはここに居る全ての者が嘘偽りを述べない事を誓うものであり、それを破る事は許されないとされる。
宣誓が終わると会場には静寂が広がり、裁判官の言葉でリディアンネの嫌疑が読み上げられた。長い話を割愛すると以下の通り。
・特別費用の横領
・鉱石の密輸
・機密情報の漏えい
流石にゴシップ記事にあるくだらない事項は省かれてはいるものの、これらが事実であればリディアンネは幽閉では済まされない。
次々と証言台で迫真の演技を披露する皇族らをある意味尊敬の眼差しを送るリディアンネ。
…保身の為とは言えよくもまぁ…
証言者があまりにも多く、尋問台のリディアンネの番が回ってこない。
…あ、第3皇女だわ。
…誰、貴女?
…お前誰だよ。
リディアンネは様々な事を頭に巡らせているとようやく最後になったのかフレディック第2皇子がリディアンネに語りだした。
『リディアンネ様、私は大変残念でなりません。しかしこれは貴女だけの問題では無い。貴女をこの国の皇太子妃とした皇太子殿下にも責任が問われる事になりますことお分かりですか?
皇太子殿下に責任追求しなければならない我々の気持ちを貴女は理解出来ますか?』
迫真の演技が続いてきたが、流石はトリを務めるだけはある。涙ながらに語るフレディックを前に固まるリディアンネに代わり口を開いたのはユリウスであった。
ユリウスはゆっくりと席を立ち、会場をぐるりと見渡すと
『残念な思いをさせて申し訳ない。リディアンネの罪が確定したならば、その責任はもちろん私にある。その覚悟は出来ているから心置き無くやってくれ。』
無表情で語るユリウスの言葉に、会場はどよめいた。傍観者の半数以上はフレディック派となるであろうその構図にユリウス派までも変わりつつあるのが明らかに分かった。
ユリウス派としても、ユリウスが継承権を放棄することになればフレディック派に身を振るのは当然である。ユリウス派でさえも保身はある。
『バカが…』
フレディックは心の声を思わずどよめきの中小さく吐き出した。
『バカはどっちだ(笑)』
その前に立つリディアンネもまたどよめきに紛れて心の声を吐き出した。
驚いたようにリディアンネを見るフレディックにリディアンネはしれっと笑顔で首を傾げた。
カンカンと裁判官がガベルを鳴らすと瞬時に静寂が広がり各々の視線だけが複雑に絡み合った。
『妃殿下、反論はございますか?』
リディアンネは裁判官を真っ直ぐ見据えると
『反論しかございませんが?』
会場はその一言にブーイングの嵐が起こるもまたもガベルによって黙らせられる。
『先ずは横領でしたか?そもそも証言者が語るような構図には無理がありますわ。私が帝国のお金を私的口座に流していたとの事ですが、私は私的口座なんて持っておりませんもの。』
『お持ちですわ!』
リディアンネの言葉に反応したのはかつてリディアンネに仕えたリザである。
リディアンネはリザを見ると懐かしそうに笑い掛け
『そうね、貴女たちにはそう話したものね。でも実際はそんな物持っていないわ。だけど、それのどこが罪になるかしら?』
…。黙りこくるリザに代わりフレディックは
『何故そんな嘘を?』
『嘘って…。そもそも私が個人的に侍女に報酬を支払う事に問題は無いはずよ?その出所を侍女に正確に話さなけばならないの?
それに嘘とかではなく、遠慮して受け取らない者に気を使わせない為に咄嗟に言っただけ。問題あるかしら?』
…。
『それにそんな事、今回の件には何の関係もないわ。証言者の言う皇宮のお金を私が私の口座へ流していたのよね?あるはずの無い口座へ振り込めないわ。でも振込み履歴がある。ならば誰が作ったのかしら?』
『それはこちらが知りたい事です!』
『では、会計の責任者はどなたになるのかしら?あるはずも無い口座にどこの誰だか知らないけれど振り込んだ訳でしょ?あまりにお粗末じゃない?それに私はその口座を作ってない。なのに私名義の口座を作る事が可能って事でしょう?それが一番の問題だわ。』
リディアンネが会計の責任者を探すかのように見渡すと自ら私ですとばかりに青くなる男に視線を止めた。するとリディアンネはニヤリと笑うとフレディックに対して
『フレディック様、貴方は責任追求がお得意なのですよね?お辛いとは思いますがこの者への責任はどうされますの?』
…。
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