貴方に嫌われたくなくて

makojou

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特別裁判

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『次は機密情報の漏えいと鉱石密輸でした?

先ずは機密情報ですが、こちらから漏えい先とされるサエラ王国への私からの書状などは全て隣国を通りますわよね?そこで一時的にストップを掛けておりますのよ?私が皇太子妃となったその日から全て。ですから私が送ったものは全てサエラ王国には届かない様になっております。

それと同時に帝国からの皇帝印の無い全ての文書もまた同じようにストップさせておりますの。』


『そんな勝手な事が許されるのですか!』


傍観者からの声に


『勝手も何も、皇帝印のあるものはそのままサエラ王国へ送られておりますのよ?それ以外ですもの。私や皇族、貴族の送っているものだけですわ。私とて身を守る術は存じておりますもの。

で?こちらはどなたに責任追求されますの?』



フレディックは吐き捨てるように


『貴女が勝手に止めていたのでしょう?責任も何もありませんが?』



リディアンネは嬉しそうに


『そこではありませんわ。これでも私は皇太子妃ですが?理由もなく嫌疑を掛けた責任です。証言者は確か…』

証言者を探す様に大袈裟に辺りを見渡すリディアンネに裁判官は


『では鉱石密輸に付いては?』


…腐っているのはお前もか

リディアンネは裁判官を見てため息をつくと


『そもそも失礼ながらこの証言をなさっておられた第3皇女殿下の見識を疑わずにはいられませんわ?』


第3皇女は真っ赤にして立ち上がると


『無礼な!私を誰だと思っているの!』


『エマニュエル様、落ち着いて下さい。

考えてもみてください。そもそも密輸したとされるモンタナ王国はご存知の通り金山で成り立つ国ですのよ?王女を見ても分かるように歩く宝石商のようでしたでしょう?

そんなクォリティの高い鉱石を持つモンタナ王国が密輸してまでも欲しい鉱石が帝国にありますの?

そんな物があるならば私も教えて頂きたいですわ!』


…。


『よろしいですか?こと、王女や皇女は頭が空っぽだと言われますがそれを物語る様ですわ。

今回の嫌疑、全て考えればすぐに分かる事。揃いも揃って…。何が目的かは存じませんがくだらない事にこんなにも時間を使い費用を使い他にやる事はないのですか?』


フレディックは睨みつけるようにしてリディアンネを見ているとリディアンネは尋問台から降りてフレディックの前に立つと見下ろすように


『がっかりだわ!』


フレディックは我に返ると


『私は安堵し放心しておりました。嫌疑が晴れて良かった…』


『では此度の件の責任追求は証言者のみですの?』


青ざめる傍観者たち。


『あなた方は宣誓の意味をご存知ない?』


…。


『あなた方は何の罪も無い者を裁判に掛けたのに?』





静まり返る法廷に息を吹き込んだのは皇太子であった。



『もう良い。』


ユリウスは席を立ちゆっくりとリディアンネが待つ尋問台へと降りて行った。


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