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特別裁判2
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ユリウスは尋問台まで降りるとリディアンネに小さく頷き
『ご苦労であった』
その言葉にリディアンネの涙腺は緩むもここは何とか堪らえるリディアンネ。ユリウスは辺りをゆっくりと見渡すと
『覚悟は出来ているのであろうな?』
ゴクリの喉を鳴らす一同を失望の眼差しを向けユリウスはゆっくりと語りだした。
『私は派閥とやらは好まないが敢えて使わせてもらうとフレディック派とされる者らが皇太子妃を陥れる為に時間を作っている間に我々も色々と調査を進める事が出来た。
そしてその皇太子妃を無実の罪で罰しようとする今、皇宮はもぬけの殻状態であろうな?』
これを意味する事がここに居る皇族らはすぐに察知し出入り口を見るも既に衛兵らが配置されている。
『皇太子妃を陥れる一連の動きの中で誰がどの立場かを確認させて貰っていたんだ。べつに私を支持する者だけを囲うつもりは毛頭ないけれど能力の無い者は要らぬ。そして足を引っ張る者もな。』
そしてユリウスは裁判官の前まで来ると
『帝国特別裁判所は本日を以て解体とする。』
短く告げると裁判長は驚いたように目を見開くと
『そのような勝手な!』
『勝手だと?皇宮からの甘い汁だけを吸いたいが為に公平であるべき裁判所が腐敗していのだ。
皇帝からの委任状もある。』
ユリウスが手渡すと裁判長はそのまま放心し座り込んだ。
そしてユリウスは再び振り返ると
『帝国皇族はあまりに膨らみ過ぎた。今後は皇族と順皇族、そして除籍する者には新たに領地を充てがう整理が必要となるであろう。』
その一言に、一斉に傍観席はどよめき混乱が生じた。混乱する場をユリウスは一言
『静まれ!』
一斉に静まり固まる皇族らに
『今、ここに居るほとんどの者は罪人であろう?忘れては居ないか?お前たちは確かに皇族であるが嫌疑を掛けたは我が帝国、皇太子妃であるぞ?無事で済むとは思うなよ?』
温室育ちと揶揄されていた皇太子の怒りに皇族らは驚いたように固まっていた。
『私たちはどうなるのですか?』
皇女らの言葉にユリウスは
『己の胸に聞いてみろ。』
冷たく言い放つとユリウスはフレディックに視線を向けた。フレディックはあざ笑うかのように
『所詮、血族ですか?血なのですよね。』
悪態を付くフレディックにリディアンネは眉をひそめるもユリウスはその姿を真っ直ぐに捉え
『何故、継承に血を重んじるかわかるか?』
声を柔らかに問うユリウスにフレディックは
『血族者にしか分からないさ。』
『そうでは無い。継承に血が重んじられるのは争いを減らす為だ。継承の度にその座を争っていては国がその度に分裂するからだ。
但し我が帝国に例外があった。皆も存じておる通り後継者が危惧されていた時期に継承権の範囲が広がりを見せ今に至る。皆に責任はない。
けれども膨らみ過ぎる皇族はある意味危険でもある。分かるな?いや分っているはずだ。分からないと言うならばそれは己の怠惰であろう。即刻自ら除籍を申し出るべきだ。』
一同は俯き誰一人としてユリウスを直視出来ていない。一角にユリウス派とされる面々だけがこちらを案じているように見つめていた。その中にアルフォンスの姿を確認したリディアンネは何故か嬉しそうにアルフォンスに笑顔を送った。
…リディ、笑っている場合ではないよ。
アルフォンスは戸惑いながらもリディアンネに苦笑いを送ったのである。
『ご苦労であった』
その言葉にリディアンネの涙腺は緩むもここは何とか堪らえるリディアンネ。ユリウスは辺りをゆっくりと見渡すと
『覚悟は出来ているのであろうな?』
ゴクリの喉を鳴らす一同を失望の眼差しを向けユリウスはゆっくりと語りだした。
『私は派閥とやらは好まないが敢えて使わせてもらうとフレディック派とされる者らが皇太子妃を陥れる為に時間を作っている間に我々も色々と調査を進める事が出来た。
そしてその皇太子妃を無実の罪で罰しようとする今、皇宮はもぬけの殻状態であろうな?』
これを意味する事がここに居る皇族らはすぐに察知し出入り口を見るも既に衛兵らが配置されている。
『皇太子妃を陥れる一連の動きの中で誰がどの立場かを確認させて貰っていたんだ。べつに私を支持する者だけを囲うつもりは毛頭ないけれど能力の無い者は要らぬ。そして足を引っ張る者もな。』
そしてユリウスは裁判官の前まで来ると
『帝国特別裁判所は本日を以て解体とする。』
短く告げると裁判長は驚いたように目を見開くと
『そのような勝手な!』
『勝手だと?皇宮からの甘い汁だけを吸いたいが為に公平であるべき裁判所が腐敗していのだ。
皇帝からの委任状もある。』
ユリウスが手渡すと裁判長はそのまま放心し座り込んだ。
そしてユリウスは再び振り返ると
『帝国皇族はあまりに膨らみ過ぎた。今後は皇族と順皇族、そして除籍する者には新たに領地を充てがう整理が必要となるであろう。』
その一言に、一斉に傍観席はどよめき混乱が生じた。混乱する場をユリウスは一言
『静まれ!』
一斉に静まり固まる皇族らに
『今、ここに居るほとんどの者は罪人であろう?忘れては居ないか?お前たちは確かに皇族であるが嫌疑を掛けたは我が帝国、皇太子妃であるぞ?無事で済むとは思うなよ?』
温室育ちと揶揄されていた皇太子の怒りに皇族らは驚いたように固まっていた。
『私たちはどうなるのですか?』
皇女らの言葉にユリウスは
『己の胸に聞いてみろ。』
冷たく言い放つとユリウスはフレディックに視線を向けた。フレディックはあざ笑うかのように
『所詮、血族ですか?血なのですよね。』
悪態を付くフレディックにリディアンネは眉をひそめるもユリウスはその姿を真っ直ぐに捉え
『何故、継承に血を重んじるかわかるか?』
声を柔らかに問うユリウスにフレディックは
『血族者にしか分からないさ。』
『そうでは無い。継承に血が重んじられるのは争いを減らす為だ。継承の度にその座を争っていては国がその度に分裂するからだ。
但し我が帝国に例外があった。皆も存じておる通り後継者が危惧されていた時期に継承権の範囲が広がりを見せ今に至る。皆に責任はない。
けれども膨らみ過ぎる皇族はある意味危険でもある。分かるな?いや分っているはずだ。分からないと言うならばそれは己の怠惰であろう。即刻自ら除籍を申し出るべきだ。』
一同は俯き誰一人としてユリウスを直視出来ていない。一角にユリウス派とされる面々だけがこちらを案じているように見つめていた。その中にアルフォンスの姿を確認したリディアンネは何故か嬉しそうにアルフォンスに笑顔を送った。
…リディ、笑っている場合ではないよ。
アルフォンスは戸惑いながらもリディアンネに苦笑いを送ったのである。
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