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私が居なければ
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落ち着きを取り戻した時、カイザルはフランシスを探した。フランシスは呆然と立ちすくみ辺りを見渡していた。そこにはいつもの破顔の笑みは無い。
カイザルがフランシスへと歩みを進めていくとそれよりも先にアンドレがフランシスに声を掛け川辺へと下って行くのが見えた。アンドレは勝ち誇るかのようにカイザルに微笑むと一瞬真顔になりフランシスの肩を抱きフランシスをエスコートしていった。
『ファニー大丈夫?』
アンドレの言葉にようやく我に返るフランシスは
『子どもたちは?』
アンドレは優しく微笑むと
『大丈夫。みんな寝かし付けてあるからファニーは心配しなくても大丈夫だからね?』
『ありがとう。』
アンドレはフランシスの頭を撫でると
『でもさ、あんなに都合よく騎士らが助けに来てくれるって助かったけど、不思議だよね?』
『…。』
『ファニーの連れが居たけど、あれは貴族か何かなのか?それとも騎士か?』
アンドレは探るようにフランシスを見ると
『…私のせいだわ。私がここに参加したからみんなを危険な目に合わせてしまたのよ。』
未だ放心状態のフランシスにアンドレは
『ファニーのせいじゃないさ。ただあの連れの男が身分を隠してファニーに近寄ってたなら、ヤツを狙っての襲来は考えられるだろ?それなら危ないと思ってね。そうでなければこんな所で襲来に合うことはないよ。ファニーが王女や令嬢ならまだしもね?』
…。
言葉こそ優しいがフランシスを追い詰めるアンドレに後ろから声が掛かった。
『もうよい。』
驚いた2人が振り返るとカイザルが器用にも川辺へとピョンと下り立った。
『アンドレと言ったか?お前はどこの騎士だ?』
驚いたフランシスはアンドレを見るも
『何言ってるんだよ?自分が身分を偽っているからと言って僕まで疑わないでくれ。僕は前からファニーとともに孤児院を支えるボランティアをしているただの男だよね?ファニー。』
フランシスは小さく頷きながらもカイザルを見る。
『私の目は誤魔化されないさ。咄嗟の身の熟し…あれは鍛錬を重ねた騎士の成せる技。でどこだ?』
アンドレは尚も
『知らないよ。行こうファニー。』
フランシスを促すアンドレにカイザルは
『待て、彼女は私の婚約者だ。お前が連れて行って良いわけないであろう?』
アンドレは少し驚きフランシスを見る。フランシスは小さく頷くとカイザルの方へ足を進めた。
『何だ、そういう事?なら早く言ってよ!』
アンドレは何事も無かったように川辺を上り手前の小屋へと入って行った。
『大丈夫か?』
カイザルの言葉にフランシスは瞳を一杯にためた涙をウルウルと輝かせ
『ごめんなさい。』
小さく呟くと俯いた。
『案ずるな。あれらはただの山賊だ。大方生活に困りここまで下りてきたのであろう。だから姫が居たから襲われた訳ではない。寧ろ姫が居たから騎士も控えていたのだから結果オーライだろ?』
フランシスは安堵からか抑えていた感情が溢れ出し大粒の涙を流した。カイザルはフランシスを抱き込むと背中をポンポンと叩き
『我慢することは無い。全て吐き出してしまうと良い。』
フランシスは経験の無い温かさに触れ、心地よいカイザルの胸の中で果てるまで泣き続けたのである。
カイザルがフランシスへと歩みを進めていくとそれよりも先にアンドレがフランシスに声を掛け川辺へと下って行くのが見えた。アンドレは勝ち誇るかのようにカイザルに微笑むと一瞬真顔になりフランシスの肩を抱きフランシスをエスコートしていった。
『ファニー大丈夫?』
アンドレの言葉にようやく我に返るフランシスは
『子どもたちは?』
アンドレは優しく微笑むと
『大丈夫。みんな寝かし付けてあるからファニーは心配しなくても大丈夫だからね?』
『ありがとう。』
アンドレはフランシスの頭を撫でると
『でもさ、あんなに都合よく騎士らが助けに来てくれるって助かったけど、不思議だよね?』
『…。』
『ファニーの連れが居たけど、あれは貴族か何かなのか?それとも騎士か?』
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『…私のせいだわ。私がここに参加したからみんなを危険な目に合わせてしまたのよ。』
未だ放心状態のフランシスにアンドレは
『ファニーのせいじゃないさ。ただあの連れの男が身分を隠してファニーに近寄ってたなら、ヤツを狙っての襲来は考えられるだろ?それなら危ないと思ってね。そうでなければこんな所で襲来に合うことはないよ。ファニーが王女や令嬢ならまだしもね?』
…。
言葉こそ優しいがフランシスを追い詰めるアンドレに後ろから声が掛かった。
『もうよい。』
驚いた2人が振り返るとカイザルが器用にも川辺へとピョンと下り立った。
『アンドレと言ったか?お前はどこの騎士だ?』
驚いたフランシスはアンドレを見るも
『何言ってるんだよ?自分が身分を偽っているからと言って僕まで疑わないでくれ。僕は前からファニーとともに孤児院を支えるボランティアをしているただの男だよね?ファニー。』
フランシスは小さく頷きながらもカイザルを見る。
『私の目は誤魔化されないさ。咄嗟の身の熟し…あれは鍛錬を重ねた騎士の成せる技。でどこだ?』
アンドレは尚も
『知らないよ。行こうファニー。』
フランシスを促すアンドレにカイザルは
『待て、彼女は私の婚約者だ。お前が連れて行って良いわけないであろう?』
アンドレは少し驚きフランシスを見る。フランシスは小さく頷くとカイザルの方へ足を進めた。
『何だ、そういう事?なら早く言ってよ!』
アンドレは何事も無かったように川辺を上り手前の小屋へと入って行った。
『大丈夫か?』
カイザルの言葉にフランシスは瞳を一杯にためた涙をウルウルと輝かせ
『ごめんなさい。』
小さく呟くと俯いた。
『案ずるな。あれらはただの山賊だ。大方生活に困りここまで下りてきたのであろう。だから姫が居たから襲われた訳ではない。寧ろ姫が居たから騎士も控えていたのだから結果オーライだろ?』
フランシスは安堵からか抑えていた感情が溢れ出し大粒の涙を流した。カイザルはフランシスを抱き込むと背中をポンポンと叩き
『我慢することは無い。全て吐き出してしまうと良い。』
フランシスは経験の無い温かさに触れ、心地よいカイザルの胸の中で果てるまで泣き続けたのである。
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