24 / 32
初夜
しおりを挟む
美しく磨き上げられたフランシスは初めて入る夫婦の寝室で辺りをキョロキョロと見渡していた。
…殺風景ね、殿下らしいわ。
クスっと笑う余裕も、鏡に映る自分を見るとこれから行われる事が容易に想像出来る。
…。大丈夫。大丈夫なはず…
1人で自問自答しているとガウン一枚のカイザルが扉を開けて入ってきた。
…ヤバっ。無理そうだわ。私。
固まるフランシスにはもはやいつもの笑顔は無い。
『持たせて申し訳ない。』
『いえいえ、全然。全く。ちっとも。』
全力で首を振るフランシスにカイザルは小さく笑うと
『らしくないね?日頃の破顔させる笑みはどこ行った?』
フランシスは固まりながらも
『さぁ、ちょっと探してきましょうか?』
それだけ言うと立ち上がり部屋を出ようしたがその手をカイザルが容易に捕獲する。
『ど、どうされました?』
真っ赤になり我を忘れたフランシスにカイザルは
『嫌なのか?』
フランシスはこれまた全力で首を振ると
『ち、ち、違いますわ!これでも私はマリラン王国第1王女でしたのよ?』
『知ってるけど?』
『で、ですよね。』
俯くフランシスは声を小さく
『誰でも初めては訳が分からなくなりますわ。』
上目遣いで、カイザルを恐る恐る確認するとカイザルは少年のような笑みを浮かべ笑っていた。
…で、殿下が笑ってるわ。それもこんなに楽しそう。
フランシスはつられるように顔を破顔させ笑みを浮かべた。
『姫、』
何かを言い掛けたカイザルを制し
『私はもう姫ではありません』
小さな胸を突き出し胸を張るフランシスに
『我が妻、こちらへ』
…え?いきなり?
こんな事なら制しなどせず話を聞くべきだったた後悔するフランシスを見透かしたように
『話なら後でゆっくり聞かせてやる。』
カイザルはフランシスを抱き込むと静かにベッドにおろした。目を何度も瞬きするフランシスに
『おい、何だか私が悪い事をするみたいではないか?』
…違うの?
硬直するフランシスを解すようにカイザルは優しいキスを落とした。
これを合図にカイザルの両手は器用にもフランシスを解していく。ここまで来るとフランシスはもはや完敗である。これから始まる未知なる扉を開いたフランシスであった。
…殺風景ね、殿下らしいわ。
クスっと笑う余裕も、鏡に映る自分を見るとこれから行われる事が容易に想像出来る。
…。大丈夫。大丈夫なはず…
1人で自問自答しているとガウン一枚のカイザルが扉を開けて入ってきた。
…ヤバっ。無理そうだわ。私。
固まるフランシスにはもはやいつもの笑顔は無い。
『持たせて申し訳ない。』
『いえいえ、全然。全く。ちっとも。』
全力で首を振るフランシスにカイザルは小さく笑うと
『らしくないね?日頃の破顔させる笑みはどこ行った?』
フランシスは固まりながらも
『さぁ、ちょっと探してきましょうか?』
それだけ言うと立ち上がり部屋を出ようしたがその手をカイザルが容易に捕獲する。
『ど、どうされました?』
真っ赤になり我を忘れたフランシスにカイザルは
『嫌なのか?』
フランシスはこれまた全力で首を振ると
『ち、ち、違いますわ!これでも私はマリラン王国第1王女でしたのよ?』
『知ってるけど?』
『で、ですよね。』
俯くフランシスは声を小さく
『誰でも初めては訳が分からなくなりますわ。』
上目遣いで、カイザルを恐る恐る確認するとカイザルは少年のような笑みを浮かべ笑っていた。
…で、殿下が笑ってるわ。それもこんなに楽しそう。
フランシスはつられるように顔を破顔させ笑みを浮かべた。
『姫、』
何かを言い掛けたカイザルを制し
『私はもう姫ではありません』
小さな胸を突き出し胸を張るフランシスに
『我が妻、こちらへ』
…え?いきなり?
こんな事なら制しなどせず話を聞くべきだったた後悔するフランシスを見透かしたように
『話なら後でゆっくり聞かせてやる。』
カイザルはフランシスを抱き込むと静かにベッドにおろした。目を何度も瞬きするフランシスに
『おい、何だか私が悪い事をするみたいではないか?』
…違うの?
硬直するフランシスを解すようにカイザルは優しいキスを落とした。
これを合図にカイザルの両手は器用にもフランシスを解していく。ここまで来るとフランシスはもはや完敗である。これから始まる未知なる扉を開いたフランシスであった。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる