絶世の悪女と呼ばれる公爵令嬢【完】

mako

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リア王国の令嬢たち

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エミリアがリア王国に来て2ヶ月程経ったある日、いつものように秘密基地にランチボックスを片手に登ってくると既に先客が居た。チラリと見ると令嬢らが羽織るジャケットは金ボタンである。これはリア王国の令嬢ということだ。エミリアのような留学生はジャケットには銀ボタンなのだ。



エミリアは邪魔せぬように端っこを陣取ると令嬢らがドスドスとやって来てエミリアに声を掛けた。

『ちょっと!そこの貴女!』


エミリアは驚き後ろを見るも誰も居ない。この攻撃的な視線はエミリアに当てられたものだ。



『はい、私ですか?』

 




ちょうどその時、ジルベルトらも山を登ってきていた所で令嬢らを確認すると3人は脇道に入り木の陰に身をひそめた。


『あれは、我が国の令嬢らか?』


3人は動向を見守るように控えた。









『貴女しか居ないでしょ!馬鹿なの?』


エミリアは生まれて初めて馬鹿という言葉を受けた。驚きよりも何だか嬉しさが勝っている。



『ごめんなさい。で?何かしら』


エミリアは嬉しそうに問うと1人の令嬢が


『ここでいつも待ち伏せしてるのね?』


…待ち伏せ?誰を?

首を傾げるエミリアにもう一人の令嬢が


『ジルベルト様よ!我が国の王太子狙いで留学に来る令嬢が多くて困ってるのよ!』


するともう一人も加勢し


『ハロルド様狙いじゃないでしょうね?』


…誰?エミリアは本音で問うた。


『ハロルド様?』


令嬢らは揃いも揃って顔を真っ赤にして


『まぁ、白々しいわね!こういうのが1番ヤバいわよね?』


3人で何やら盛りがっているがエミリアは既にお腹の虫が騒いでいる。


『盛りがっている所申し訳ないのですが、私はお昼がまだなのです。よろしければご一緒にいかが?』


エミリアの広げたランチボックスを見た令嬢らはゴクリと唾を飲んだ。ジルベルトや側近らと違い上位貴族ではないと食せない食材をふんだんに使ったランチボックスである。



『皆さんと一緒に食べたらきっと美味しいわ!さぁどうぞ♪』


もはや賄賂である。令嬢らは顔を見合わせながら促されるままランチボックスに手を伸ばした。


『まぁ、美味しいわ!』


エミリアも嬉しそうに


『我が国ではこうしてお昼を食べますの。皆さんのお陰で懐かしいわ!ありがとうございます』



エミリアの言葉に気を良くした3人もまた豪華なランチボックスに舌鼓を打った。








それを見守る3人は頭を抱えていた。


『おい、マズいな。相手はマドリン王国筆頭公爵家の令嬢だぜ?』


ハロルドが顔を顰めるとケイダンも


『そこに気づかない彼女らはいったいどうなの?』


3人は見なかった事とし踵を返して山を下りた。






この3人は幼き頃から既に教育は全て終わっているので授業には出でいない。その為王太子の部屋でゆっくりしている。

『ってかあのサル令嬢、俺の名前を知らないってそれもどうなの?コレでもリア王国公爵令息だよな?』


ケイダンに愚痴るもケイダンは笑い堪えて肩を震わせている。

ジルベルトは侍従から何やら包を受け取ると2人を残して出ていった。

…。
…何?


残された2人は顔を見合わせると仕方なくお茶を飲んだ。







ジルベルトが山に着くと案の定エミリアが力なく芝生に寝転んで日干しのように動かない。



『エミリア嬢?』


声を掛けるもエミリアは視線こそジルベルトに向けたが動こうとも起き上がろうともしない。ジルベルトは苦笑いを浮かべながら侍従から受け取った包をエミリアに渡した。エミリアは首を傾げて包を開くと、ぴょんと軽やかに起き上がると目を輝かせてジルベルトを見た。



『いいの?』


返答を待つ前に正座となり神聖なる食事タイムとなる。



『君のランチボックスを4人で分けたんだ。到底お腹は満たされないだろう?』


微笑んでエミリアを眺めるジルベルトにエミリアは頬張りながら


『見てたの?』


ジルベルトは苦笑いを浮かべ


『我が国の令嬢が申し訳ない。不敬罪と言われればそれまでだ。』


驚き、むせこんだエミリアは涙目になりながらジルベルトに背中をさすられている。


『ゴホン、不敬罪だなんて。私はべつに気にしては居ないわ。むしろおべっかに塗り固められていなくて嬉しかったもの。だから見なかった事にしておいて。』


エミリアの言葉にジルベルトも


『そう言うと思ったから、何も言わずに山を下りたんだ。』


優しく微笑むジルベルトにエミリアは不覚にも胸がキュンとした。



自分でも驚いたエミリアは



…気の所為だわ。


エミリアは急いで目の前のサンドウィッチを口に詰め込んだ。


コホゴホン


その様子を眺めているジルベルトは穏やかに笑った。







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