10 / 59
側近の困惑
しおりを挟む
ケイダンは王太子執務室の前に並ぶ衛兵を横目に扉をノックする。
『ケイダン・リンドルです。』
『入れ。』
王太子の返答を待って静かに扉を開き中に入ると既にソファに座っているハロルドの隣に腰を下ろした。見上げるハロルドは呆れたように
『律儀な事で…』
ハロルドの悪態にジルベルトは
『ケイダンが普通なのだ。おかしいのはお前だぞ?ハロ。』
ジルベルトこそ呆れた眼差しをハロルドに向ける。
『いやいや俺だってね?公式の場や陛下の前ではきちんと忠実な家臣なはずだよ?』
何故か胸を張るハロルドにケイダンは
『ハハハ、まぁ私の態度でジルに迷惑を掛けたくないしね。』
その言葉を聞いてジルベルトは声には出さないまでも口の動きでハロルドに
『み、な、ら、え!』
ハロルドはバツの悪そうに視線を逸らした。
『それでどうであった?』
ジルベルトがケイダンに視線を移すと
『うん、彼女はねマドリン王国では、絶世の…悪女と呼ばれているらしいんだ。』
…。
『ケイダン、絶世ときたら美女であろう?』
固まるジルベルトを他所にハロルドが突っ込むと
『うん、どうやら我々の知る彼女とマドリン公爵令嬢の彼女とでは隔たりがあるんだ。』
腕を組み考え込むエイダンに
『んじゃ、ここでは猫被ってんの?ってかそんな風にも見えなかったよね?木登りするしな?妙だな…』
こちらも考え込む…。
『彼女は公爵令嬢の時に仮面を付けるって事か…』
呟いたジルベルトにハロルドは呆れたように
『仮面の種類、間違えてないか?普通は良く見せる為に装着するであろう?我々もそうするように…』
『社交界が苦手とか?』
ケイダンの言葉にジルベルトは
『いや、社交界で見繕う必要がないのではないか?むしろ遠ざけたいとか?』
…。
『…。でも彼女は王太子の婚約者なんだろ?』
ハロルドは目の前のカップに手を掛けた。
『それなんだけど、彼女がここに来ている間、王太子妃候補の候補が置かれているらしいよ?』
『『王太子妃候補の候補?』』
驚いた2人にケイダンも同調するかのように
『な?よくわかんないだろ?でも実際そうなんだ。しかもその令嬢に王太子は御執心らしい。ゆくゆくは側妃とするんじゃないかな?』
驚いたハロルドは
『いやいや、待て待て。あそこは側妃は認められてはいないぞ?』
頷くジルベルト。
ケイダンは尚も
『でもさ、正妃を娶って一年程で正妃に懐妊の兆しが無ければ認められるだろ?』
…。
『まさか…?』
『うん、そのまさかだと思うよ。』
静まり返る執務室の静寂を破ったのはケイダン。
『でさ、絶世の悪女の実際の悪を調べたんだ。そしたらね、【自分に厳しいが相手にも厳しい。】【完璧主義】【群れをなさない。】【強調性が乏しい】とかなんだ。だから逆に良い所を調べたら【顔だけは美しい】【才女すぎる】【品位がある】だって。』
呆れて首をふるケイダンに
『どこが悪なんだ?』
ハロルドは至極全うに問うた。その答えはここにいる3人には見つけられなかったのである。
沈む執務室の静寂を破ったのはジルベルトであった。
『悪いがこの留学期間が終わる時期と同じくしてお前たちどちらかがマドリン王国へ留学へ行ってくれ。』
ジルベルトの言葉に2人は仲良く揃って
『『はぁ?』』
ジルベルトは気にする事無くソファを立ち上がるとデスクに戻った。
『何で?うちがマドリン王族にどうこうすることはないであろう?』
ハロルドは奮起するもジルベルトは
『どうこうも何も、リア王国王太子として彼女を娶りにいく。』
…?
『待て待て、彼女はマドリン王国王太子ヨハネス殿下の婚約者だぞ?そんな事したら国際問題になるぞ?』
ジルベルトはニヤリと笑うと
『正攻法でいけばね?だけど私には優秀な側近が2人もいるからね?』
…。
…。
固まり顔を見合わせる2人に
『王太子命令だ。』
2人に緊張感が走る。
『あ、後この事は内密に頼むよ』
笑顔に戻るジルベルトにハロルドは
『言えるかよ!こんな事…』
頭を抱える側近2人であった。
『ケイダン・リンドルです。』
『入れ。』
王太子の返答を待って静かに扉を開き中に入ると既にソファに座っているハロルドの隣に腰を下ろした。見上げるハロルドは呆れたように
『律儀な事で…』
ハロルドの悪態にジルベルトは
『ケイダンが普通なのだ。おかしいのはお前だぞ?ハロ。』
ジルベルトこそ呆れた眼差しをハロルドに向ける。
『いやいや俺だってね?公式の場や陛下の前ではきちんと忠実な家臣なはずだよ?』
何故か胸を張るハロルドにケイダンは
『ハハハ、まぁ私の態度でジルに迷惑を掛けたくないしね。』
その言葉を聞いてジルベルトは声には出さないまでも口の動きでハロルドに
『み、な、ら、え!』
ハロルドはバツの悪そうに視線を逸らした。
『それでどうであった?』
ジルベルトがケイダンに視線を移すと
『うん、彼女はねマドリン王国では、絶世の…悪女と呼ばれているらしいんだ。』
…。
『ケイダン、絶世ときたら美女であろう?』
固まるジルベルトを他所にハロルドが突っ込むと
『うん、どうやら我々の知る彼女とマドリン公爵令嬢の彼女とでは隔たりがあるんだ。』
腕を組み考え込むエイダンに
『んじゃ、ここでは猫被ってんの?ってかそんな風にも見えなかったよね?木登りするしな?妙だな…』
こちらも考え込む…。
『彼女は公爵令嬢の時に仮面を付けるって事か…』
呟いたジルベルトにハロルドは呆れたように
『仮面の種類、間違えてないか?普通は良く見せる為に装着するであろう?我々もそうするように…』
『社交界が苦手とか?』
ケイダンの言葉にジルベルトは
『いや、社交界で見繕う必要がないのではないか?むしろ遠ざけたいとか?』
…。
『…。でも彼女は王太子の婚約者なんだろ?』
ハロルドは目の前のカップに手を掛けた。
『それなんだけど、彼女がここに来ている間、王太子妃候補の候補が置かれているらしいよ?』
『『王太子妃候補の候補?』』
驚いた2人にケイダンも同調するかのように
『な?よくわかんないだろ?でも実際そうなんだ。しかもその令嬢に王太子は御執心らしい。ゆくゆくは側妃とするんじゃないかな?』
驚いたハロルドは
『いやいや、待て待て。あそこは側妃は認められてはいないぞ?』
頷くジルベルト。
ケイダンは尚も
『でもさ、正妃を娶って一年程で正妃に懐妊の兆しが無ければ認められるだろ?』
…。
『まさか…?』
『うん、そのまさかだと思うよ。』
静まり返る執務室の静寂を破ったのはケイダン。
『でさ、絶世の悪女の実際の悪を調べたんだ。そしたらね、【自分に厳しいが相手にも厳しい。】【完璧主義】【群れをなさない。】【強調性が乏しい】とかなんだ。だから逆に良い所を調べたら【顔だけは美しい】【才女すぎる】【品位がある】だって。』
呆れて首をふるケイダンに
『どこが悪なんだ?』
ハロルドは至極全うに問うた。その答えはここにいる3人には見つけられなかったのである。
沈む執務室の静寂を破ったのはジルベルトであった。
『悪いがこの留学期間が終わる時期と同じくしてお前たちどちらかがマドリン王国へ留学へ行ってくれ。』
ジルベルトの言葉に2人は仲良く揃って
『『はぁ?』』
ジルベルトは気にする事無くソファを立ち上がるとデスクに戻った。
『何で?うちがマドリン王族にどうこうすることはないであろう?』
ハロルドは奮起するもジルベルトは
『どうこうも何も、リア王国王太子として彼女を娶りにいく。』
…?
『待て待て、彼女はマドリン王国王太子ヨハネス殿下の婚約者だぞ?そんな事したら国際問題になるぞ?』
ジルベルトはニヤリと笑うと
『正攻法でいけばね?だけど私には優秀な側近が2人もいるからね?』
…。
…。
固まり顔を見合わせる2人に
『王太子命令だ。』
2人に緊張感が走る。
『あ、後この事は内密に頼むよ』
笑顔に戻るジルベルトにハロルドは
『言えるかよ!こんな事…』
頭を抱える側近2人であった。
16
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
結婚5年目のお飾り妻は、空のかなたに消えることにした
三崎こはく
恋愛
ラフィーナはカールトン家のお飾り妻だ。
書類上の夫であるジャンからは大量の仕事を押しつけられ、ジャンの愛人であるリリアからは見下され、つらい毎日を送っていた。
ある日、ラフィーナは森の中で傷ついたドラゴンの子どもを拾った。
屋敷に連れ帰って介抱すると、驚いたことにドラゴンは人の言葉をしゃべった。『俺の名前はギドだ!』
ギドとの出会いにより、ラフィーナの生活は少しずつ変わっていく――
※他サイトにも掲載
※女性向けHOT1位感謝!7/25完結しました!
【短編】記憶を失っていても
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
7年以上前の記憶のない平民出身のラチェルは、6年前に娘のハリエットを生んでからグリオス国のアンギュロスの森付近の修道院で働きながら暮らしていた。
そんなある日ハリエットは見たことのない白銀色の大樹を見つけたと、母ラチェルに話すのだが……。
これは記憶の全てを失ったラチェル──シェシュティナが全てを取り戻すまでのお話。
※氷雨そら先生、キムラましゅろう先生のシークレットベビー企画開催作品です( ´艸`)
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
料理がマズいと言われ続けて限界がきたので、もっとマズいものを作って差し上げたら旦那様に泣かれてしまいました
九条 雛
恋愛
和平の証として魔族の元へと嫁がされたエルネットは、作った料理が不味いと毎日なじられ続けていた。
それでも魔族の慣わしとして、家族の口へと入る料理は彼女が作らねばならないらしい。
侯爵家の令嬢で、料理をしたことがなかった自分が悪いのだと努力を続けるエルネットだったが、それでも夫は彼女の料理を不味いと言い捨て、愛人の元へ通いに行くと公言する。
ほとんど限界を迎えていた彼女の中で、ついに何かがプツリと切れた。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
【完結】言いつけ通り、夫となる人を自力で見つけました!
まりぃべる
恋愛
エーファ=バルヒェットは、父から十七歳になったからお見合い話を持ってこようかと提案された。
人に決められた人とより、自分が見定めた人と結婚したい!
そう思ったエーファは考え抜いた結果、引き籠もっていた侯爵領から人の行き交いが多い王都へと出向く事とした。
そして、思わぬ形で友人が出来、様々な人と出会い結婚相手も無事に見つかって新しい生活をしていくエーファのお話。
☆まりぃべるの世界観です。現実世界とは似ているもの、違うものもあります。
☆現実世界で似たもしくは同じ人名、地名があるかもしれませんが、全く関係ありません。
☆現実世界とは似ているようで違う世界です。常識も現実世界と似ているようで違います。それをご理解いただいた上で、楽しんでいただけると幸いです。
☆この世界でも季節はありますが、現実世界と似ているところと少し違うところもあります。まりぃべるの世界だと思って楽しんでいただけると幸いです。
☆書き上げています。
その途中間違えて投稿してしまいました…すぐ取り下げたのですがお気に入り入れてくれた方、ありがとうございます。ずいぶんとお待たせいたしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる