絶世の悪女と呼ばれる公爵令嬢【完】

mako

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王太子妃の出産

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『ヨハネス、どうした?』


父親である国王と王妃は間近に迫る孫の誕生を心待ちにしている。

ヨハネスは事の詳細を丁寧に2人に説明すると国王は頭を抱え王妃は固まっている。孫よりも息子である第2王子の方に堪えている様子である。


国王はヨハネスの意向を確認すると無言で頷いた。王妃は静かに涙を流しながら

『金髪で産まれて来たら?貴方の子どもでしょう?』


ヨハネスは表情を引き締めたまま


『その可能性はありますが、あくまで可能性。一ミリでも疑いがある者を代継とは認められません。ですから例えば金髪で産まれてこようとも、継承権は剥奪が妥当かと存じます。そしてジュリアとは離縁とします。ジュリアには罪を償わせなければなりません。』



国王もまたヨハネスの意向に納得し頷いた。



『銀髪碧眼ならば?どうなるの?』



『例え王族であろうと国を欺いた事が明らかになれば…母上ご覚悟を。ですが私とて金髪で産まれて来る事を最後まで諦めてはいません。』


2人はヨハネスの言葉に何度も頷いた。


 


その3日後、ジュリアは元気な゙金髪の女の子を出産した。ヨハネスはジュリアの部屋を訪れると元気な子どもが一生懸命に声を上げて泣いている。


『ヨハン。王女よ!可愛らしいわね!』


ヨハネスは王子スマイル全開で


『可愛いね…』


目の前の女の子は自分の子どもかもしれない。ヨハネスは切り裂かれる思いで口を開いた。

『だが、この子は王女にはなれない。』


ジュリアは思わず


『はあ?』


死ぬ気で産んだ子。この子のおかげで安泰のはず。


ジュリアは戸惑いを隠せない。



『この子の処遇は追って決定する。そして君とは離縁だ。罪の償いをするように』


ヨハネスは淡々と語ると踵を返して部屋を出た。ジュリアはまだ追いつかない思考に困惑しながらもヨハネスを叫び続けたがヨハネスが戻って来ることは二度と無かった。





ヨハネスを案じたエミリアとジルベルトはお忍びでマドリンに入っていた。公爵邸では珍しく公爵家が揃いも揃っている為に執事のテオドールが張り切っている。


『後はジュリアがどこまで話すかか?』


マグヌスが目の前のショコラを口に入れると幸せそうに味わっている。

…笑ってるわ。普段はポーカーフェイスなのに。


エミリアは久々の兄との再会に驚いていた。


『でも金髪だったか。難しいね。』

ジルベルトが言うとマグヌスは


『金髪の確率を上げる為に仕向けたからね?』



『『は?』』


マグヌスは悪びれる事なく


『だって第2王子の動きは早い段階で掴んでいたからね?その思惑どおりになったら困るじゃん。だから殿下だけの力では金髪が足りないもん。仕方なくない?』


呆れる一同にヨハネスは


『心配してくれるのは有り難いが、お前は金髪を仕込む前に何故私に報告しなかった?』



マグヌスは驚いたように


『え?あの時にそんな事殿下に報告したら逆に私の首が飛んだよね?』


マグヌスはエミリアに振ると


『確かに…』


『でも良かったですわ。王妃様とも話していてどうか金髪でと毎日祈ってましたの。銀髪碧眼ならば国はまた荒れますもの。』


淑女の鏡のような微笑みで入ってきたのはエミリアの母である公爵夫人である。


『ジュリア様の聴取はどなたが?』


エミリアの問にヨハネスは


『普通に聞いても話さないからね。色仕掛かな?』 


マグヌスは驚いて


『また復縁みたいになりませんか?』


ヨハネスはマグヌスを睨みつけると


『私が会う訳なかろう!』


…。

『そりゃそうだ。殿下自らは無理だよね?でもさジュリアが大人しくなるには相当の美男子が相当の爵位とかが必要だよね?』

ジルベルトは腕組みをしながら考え込んだ。

考え込むジルベルトにヨハネスは


『適任が居るから大丈夫なんだ。な?マグヌス。』




マグヌスは驚いて声も出ないが首を必死に振る。


『マグヌス、もっと自信持っていいぞ?お前はかなりのいい男だぞ?』


『いやいやそこではなくて。それは知ってますからね?私は普段社交界では寡黙で笑わないプリンスと呼ばれてるのご存知です?』



『だからこそいいんだ。』


嬉しそうなヨハネスは完璧な゙王子スマイルにて


『マグヌス・フォン・ヘルツベルト頼んだぞ。』


思いもよらない所で王太子命令が発動しマグヌスは礼を取り頭を垂れた。



その様子を嬉しそうに眺める公爵にジルベルトは不思議そうに問うた。


『あの、和やかな雰囲気の所申し訳ない。公爵邸ではヨハネス殿下は何故こんなに歓迎されてるのですか?』



苦笑いのヨハネスに公爵は


『歓迎などしておりませんよ?娘を苦しめた憎き男のですからね?ですが我々は娘の婚約者としてはクソ喰らえですが統率者としての殿下は尊敬してますよ』


和やかな雰囲気は王宮で国王の横に控える宰相としての公爵とは別人のようだ。



ジルベルトはヘルツベルト家の変った家族に歓迎されながら浴びるように酒を飲んだ夜であった。






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