絶世の悪女と呼ばれる公爵令嬢【完】

mako

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雨降って地固まる

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マドリン王宮の宮廷医の尽力によりエミリアは1ヶ月程早く元気な王子を祖国であるマドリン王国で出産した。幸い母子ともに健康である。



産まれたばかりの赤子を見て一同は驚愕する。


『『『これは間違い無く…』』』


揃ってジルベルトの顔を拝むとジルベルトはニヤリと笑い



『私の子だ。』



産まれたばかりの王子はジルベルトと同じ金髪であり珍しいバイオレットの瞳をしていた。

ジルベルトが恐る恐る手を伸ばすと、産まれたばかりの王子は一生懸命泣く。その小さな手はしっかりと握られ、その小さな瞳からは涙が流れている。こんな小さな赤子が懸命に生きている証にジルベルトは胸に込み上げるものを感じた。



『エミリア、辛い思いをさせ申し訳無かった。』


頭を下げるジルベルトを見て、一同は部屋を出て行った。



『ジル、私はとても悲しかったです。』


エミリアの正直な言葉を受け止めるジルベルトは素直に頷く。


『ジル、私は貴方を信じていた分悲しみました。』


ジルベルトは申し訳なさそうに頷く。



『ジル、私のためにありがとう。』


ジルベルトは驚いたように目を見開くと美しく微笑むエミリアにそっと手を差し伸べた。エミリアは差し伸べられた手を取ると両手でしっかりと握り己の頬に押し当てた。


エミリアを見るジルベルトの視線はかつてのジルベルトであった。この1年弱、見ることの出来なかったジルベルトの表情を見てエミリアは安堵の笑みを贈った。




ジルベルトはエミリアを労い、ゆっくりと休ませると自分は一同の待つ部屋へと戻った。



ジルベルトが戻るとその場にまた緊張が走る。


『ヨハネス殿下、貴方はどこまで?』



ヨハネスは持っていたカップを静かに置くと



『さあ、どうだろう。ずいぶんと後になってからだよ?』

ヨハネスは既に元来の王子様スマイルで応えた。


ジルベルトはニヤリと笑うと


『いやそんなはずはない。少なくとも我が国よりも先に情報は掴んでいたはずだ。』


ヨハネスの表情を盗み取るかのように凝視するジルベルトに

『我が国での媚薬の件は、既に処罰が済んでおる。ジュリアは修道院へそして事を面倒にしたヘンリーには罰としてその子の養育をさせている。』


『ずいぶんと寛大な処罰だ。』


ジルベルトの言葉にヨハネスは顔色1つ変えず


『我が国では媚薬はまだそこまでの重罪ではない。問題はジュリアの不貞のみだからね。』


『ではリア王国での媚薬の件は?』


『貴殿にお任せするよ?』


ヨハネスの表情を凝視していたジルベルトはやがて目を逸らすと


『なるほどね。貴殿は敢えて私をここへ来るように仕向けたって事か。ハロルド、まんまとやられたね。』



首を傾げるヨハネスに



『だってそうであろう?ここで全貌を明らかにすれば首謀者をまさかリア王国まで連れ出して裁く訳にはいかないもんね?なんてたって王妃だもん。ヨハネス殿下は母上をお守りになったって事だ。』

ハロルドは驚いたようにヨハネスを見るとヨハネスはハロルドに向って王子様スマイルを披露した。



…怖いんだけど?



ハロルドは王太子2人の会話に寒気を感じてブルブルと表現してみせた。



『まあ、結果リア王国王子誕生の際はマドリン王国に尽力頂いたし?王妃からの一言で早々に宮廷医まで手配頂き、そしてこのあとエミリアと王子か落ち着くまで世話になる事を考慮すれば仕方がないね。』



…ここにお世話になるの?



ハロルドの心の声と同じくしてマグヌスも


…え?いつまで居るつもり?


側近らの声を読み解いたジルベルトは


『まあ、ゆっくりさせてもらうよ。ヨハネス殿下が生まれ変わったように勤勉になられたきっかけとも会いたいしね。』


ヨハネスは椅子から崩れ落ちる程驚き目を見開くとジルベルトを見た。


…なんでお前が知ってんの?



ジルベルトは今度はお返しとばかりに微笑んだ。


王太子の情報網を舐めてはいけない…。






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