絶世の悪女と呼ばれる公爵令嬢【完】

mako

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ヘンリーの力

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ヨハネスは久々に離宮に訪れていた。離宮にはヘンリーが研究室を持ち日々没頭している。散らかり放題の部屋に入るとヨハネスは空いているスペースを何とか見つけるとそこへ腰を下ろす。


『ヘンリー、見てもらい物があるんだ。』


ヘンリーは手を止めるとヨハネスの元へ来てその書類に目を通した。


『これは?』


ヘンリーは書類から目を離すことなくヨハネスに問うた。


『それだけで分かる事はあるか?』


ヨハネスをチラリと見てすぐに書類に目を落とす。



『薬草だよね?その成分だ。これは…恐らく兄上が侵された媚薬の成分の1つだね。』


ヨハネスは納得したかのように頷くと


『どこに生息するものだ?』


ヘンリーはデスクであろう、書類の山に埋もれる引き出しを空けると分厚い書物を取り出しページを捲っていき


『大陸の北側だね。それも上の方だ。』


ヨハネスは少し考え


『こいつがあればあの媚薬は作れるのか?』


『…他の成分は代用が利くからね。こいつがあれば作れるよ?作るの?』


『いや、お前たちのような専門家ならば誰でも作れるのか?』



ヘンリーは少しムッとして


『無理だよ。でも私なら作れる。』 



…。




『ヘンリー、蒸し返す訳では無いが、お前は私が媚薬を盛られていることに、いつ気付いた?』


ヘンリーは話が飛躍したことに不思議そうにしながらも


『注視していたわけではないからまさか媚薬だなんて思っても見なかったけど、ジュリアが王宮に頻繁に出入りするようになってからは何となくだけど分かってたかな?』


『それでどさくさに紛れてお前とアンドレは種を仕込んだって訳だな。』


ヨハネスは呆れるようにヘンリーを見ると



『そんな博打みたいな事はしないよ!ジュリアが兄上以外にも男が居ることは知っていたからね。ちょうどエミリア嬢が留学に行く頃、ジュリアの月のものを確認した日から王宮で過ごす時間以外を見張って、事に及んだのさ。アンドレと私が変装しながら相手をしていれば、産まれて来る子は、兄上、もしくは私かアンドレの血を引くことになるからね。』



ヨハネスはため息を付くと、


『そんな丁寧な仕事が出来るなら他に活かせよ。ってまあ、産まれて来た子はお前かアンドレの子だけどね?』

ヘンリーは驚いたようにヨハネスを見ると

『私はこれでも王太子だよ?』


『媚薬に侵されて居なかったのですか?』



ヨハネスは怪訝そうにヘンリーを睨みつけると


『しっかり侵されてたよ。だけどね?仮にも王族が、結婚前に中で性を吐き出すか?それに私にはエミリアという婚約者までいたのだ。そんな軽率な事するか!』


『侵されてたのに?調整可能だったと?』

ヨハネスは生々しいヘンリーの返しに


『間もなくして、産まれて来た子の髪は色が落ち銀髪碧眼になるだろう。アンドレの色にはならないよ。にしてもギャーギャー泣きわめく姿などお前にそっくりではないか…まあ、見ていろ。』


ヨハネスは微笑みながら語るともう一冊の書類をヘンリーに手渡した。書類を確認したヘンリーはすぐさまヨハネスを見る。


『これを詳しく調べてくれ。先程の件と繋がるはずだ。いいか?くれぐれも内密にだ。銀髪碧眼を見られるのだ、お安い御用であろう?』



ヘンリーはゴクリと喉を鳴らしヨハネスに最上級の礼を取った。


…必ずや繋げてみせます。


ヘンリーは心で誓った。

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