絶世の悪女と呼ばれる公爵令嬢【完】

mako

文字の大きさ
40 / 59

マドリン王太子

しおりを挟む
ヨハネスはジルベルトとエミリア、そしてハロルドを晩餐に招待した夜、ジルベルトとエミリアはにこやかに席についた。

席にはバルトス王国王女の姿も見えた。エミリアはリア王国での留学を懐かしみながらマリア王女に会釈をした。ジルベルトもヨハネスを勤勉にさせた王女ににこやかに微笑みながら挨拶を済ませた。


ヨハネスとヘンリー。そして国王と王妃が席に着くと和やかに晩餐が始まった。


晩餐が終り、お茶が運ばれてきた頃ヨハネスはハロルドに視線を向けてニヤリと微笑んだ。


…?何?


ハロルドは眉間にシワを寄せヨハネスを眺めた。




『ジルベルト殿、先日いつから知っていたのかを問うたね?』


いきなりの振りにジルベルトは戸惑いながらも媚薬の件だと気がついた。そもそもジルベルトの中では決着のついた件である。わざわざ蒸し返すヨハネスの真意が分からなかったがハロルドにはその真意が分かっていた。




『母上の名誉の為にも、はっきりさせたくてね。』



…。

一同がヨハネスを見る。ヨハネスはその視線を楽しむようにカップを手にした。


『そもそもあの件の首謀者は母上ではないよ。母上も踊らされた1人であるけどね?』



…。


『王妃は認められたではないですか?』


ジルベルトがヨハネスに詰め寄ると


『否定をしていないだけで認めてはいないよ?母上はこう見えて、王妃としてのプライドは高い。踊らされた事を自ら語る事はしないし、ご自分の落ち度もあるのに他人のせいにして逃げる事もしないよ。』



『…。』



『いいかい?首謀者の狙いは私ではなくリア王国王太子であるジルベルト殿だと私は考えている。』


皆が顔を見合わせ押し黙る。


『首謀者は使われた媚薬の威力を伝え聞いてはいたが実際の所は知らなかった。だからまずリア王国の隣国である我が国での使用を試みたって所かな?』 


…。


『ジルベルト殿の言ってた通り母上はエミリアを父上の子どもであると考えていたのは事実。私との婚約をを破棄させたかったのは嫉妬ではなく純粋に兄妹だと思ってたからの事。だから媚薬を使ったのは事実。だけどね、あの媚薬は母上には手に入れる事は出来ないし例え出来たとしても我が子には盛らないよ。』


ヨハネスは微笑みながら王妃を見ると王妃は驚いたようにヨハネスを見つめていた。


『ただその事をたまたま偶然にして耳にした首謀者はそれを利用したんだ。ジュリアを上手く丸め込むなんて容易であろう?私は母上からの媚薬とその首謀者からの強力な媚薬とに操られていたことになるよね?』


眉を下げるヨハネスにハロルドが


『何故2種類の媚薬があるとわかるのですか?』


ヨハネスは嬉しそうに頷くと



『私はこれでも王太子だよ?母上には申し訳ないが母上の使った媚薬の耐性は少しはあるからね?だから絆されていた物とは比べものにならないんだ。』


ヨハネスは尚も



『首謀者は私で効き目を確認すると、次にリア王国でそれを使った。でもジルベルト殿に耐性がある事を知ら無かった。残念だよね?』


ヨハネスはあざ笑うかのように言うとジルベルトは

『何のために?』



『君を手に入れる為でしょう?』


ヨハネスの言葉にジルベルトは鼻で笑うと


『ニコルには手に入れる事は出来ない。それにニコルが誰かに利用されていたのは明白だからね。その首謀者はニコルに媚薬を使わせ、仮に私に耐性が無かったとしたら私はニコルに絆されていただろう。首謀者とは接点もないよね?』


エミリアとハロルドは同調するかの様に静かに頷いた。



『でも、そうしているうちにエミリアはどうなる?実際エミリアの憔悴ぶりは酷かったよね?あのままでは公爵はマドリンへ連れ戻すであろうしジルベルト殿だって絆されておかしくなればそれを容認するだろうね?』


眉間にシワを刻んだエミリアが


『でしたら、ニコル様が王太子妃となられますよね?』



ヨハネスはパチンと指を鳴らすと


『そう思うよね?だけどそうじゃないんだ。』



『そうじゃない?』


咄嗟にハロルドが口を挟んだ。


『あの媚薬はマックスまでくると、元には戻らなくなるんだ。だからマックスまで来る前に入れ替わるのさ。』






『ハロルド、公爵家から禁止されている媚薬が出たらどうなる?』

ヨハネスはハロルドに振ると


『…もちろん取り押さえに行きます。』


『そんな時、首謀者が媚薬を手にジルベルト殿に近づけば、それは簡単に落ちるだろ?』


『そんなに簡単には殿下に近づく事は出来ません!』



ハロルドの反論に嬉しそうに


『近づける立場であれば?以前ジルベルト殿は言ってたよね?母上ならば王族であるから持ち込みが可能であると。であれば母上以外の王族でも可能だろ?』



…。ヨハネスの言う事は無謀だが可能ではある。



ハロルドは真っ直ぐにヨハネスを見据えた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

結婚5年目のお飾り妻は、空のかなたに消えることにした

三崎こはく
恋愛
ラフィーナはカールトン家のお飾り妻だ。 書類上の夫であるジャンからは大量の仕事を押しつけられ、ジャンの愛人であるリリアからは見下され、つらい毎日を送っていた。 ある日、ラフィーナは森の中で傷ついたドラゴンの子どもを拾った。 屋敷に連れ帰って介抱すると、驚いたことにドラゴンは人の言葉をしゃべった。『俺の名前はギドだ!』 ギドとの出会いにより、ラフィーナの生活は少しずつ変わっていく―― ※他サイトにも掲載 ※女性向けHOT1位感謝!7/25完結しました!

【短編】記憶を失っていても

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
 7年以上前の記憶のない平民出身のラチェルは、6年前に娘のハリエットを生んでからグリオス国のアンギュロスの森付近の修道院で働きながら暮らしていた。  そんなある日ハリエットは見たことのない白銀色の大樹を見つけたと、母ラチェルに話すのだが……。  これは記憶の全てを失ったラチェル──シェシュティナが全てを取り戻すまでのお話。 ※氷雨そら先生、キムラましゅろう先生のシークレットベビー企画開催作品です( ´艸`)

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

料理がマズいと言われ続けて限界がきたので、もっとマズいものを作って差し上げたら旦那様に泣かれてしまいました

九条 雛
恋愛
和平の証として魔族の元へと嫁がされたエルネットは、作った料理が不味いと毎日なじられ続けていた。 それでも魔族の慣わしとして、家族の口へと入る料理は彼女が作らねばならないらしい。 侯爵家の令嬢で、料理をしたことがなかった自分が悪いのだと努力を続けるエルネットだったが、それでも夫は彼女の料理を不味いと言い捨て、愛人の元へ通いに行くと公言する。 ほとんど限界を迎えていた彼女の中で、ついに何かがプツリと切れた。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

【完結】言いつけ通り、夫となる人を自力で見つけました!

まりぃべる
恋愛
エーファ=バルヒェットは、父から十七歳になったからお見合い話を持ってこようかと提案された。 人に決められた人とより、自分が見定めた人と結婚したい! そう思ったエーファは考え抜いた結果、引き籠もっていた侯爵領から人の行き交いが多い王都へと出向く事とした。 そして、思わぬ形で友人が出来、様々な人と出会い結婚相手も無事に見つかって新しい生活をしていくエーファのお話。 ☆まりぃべるの世界観です。現実世界とは似ているもの、違うものもあります。 ☆現実世界で似たもしくは同じ人名、地名があるかもしれませんが、全く関係ありません。 ☆現実世界とは似ているようで違う世界です。常識も現実世界と似ているようで違います。それをご理解いただいた上で、楽しんでいただけると幸いです。 ☆この世界でも季節はありますが、現実世界と似ているところと少し違うところもあります。まりぃべるの世界だと思って楽しんでいただけると幸いです。 ☆書き上げています。 その途中間違えて投稿してしまいました…すぐ取り下げたのですがお気に入り入れてくれた方、ありがとうございます。ずいぶんとお待たせいたしました。

処理中です...