絶世の悪女と呼ばれる公爵令嬢【完】

mako

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暴かれる真実

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誰もが頭を真っ白にさせられた静寂の中その静寂を楽しむようにヨハネスは皆の顔を見渡していた。


『私の話に相違あるかな。マリア王女。』

一斉に視線を浴びるマリアは大きな瞳輝かせて

『私には相違も何も詳細が分かりかねますので。』


エミリアもまた同調するかのように頷いた。


…マリア様に分かる訳無いわ!


エミリアはヨハネスの真意が分からずヨハネスを見た。


『そうかな?君は我が国を学びたいと留学に来た。熱心に学んでいる様子を見ていて違和感を覚えたよ。だってそうであろう?エミリアがリア王国でリア史を学ぶのと君がマドリン史を学ぶとでは全く意味が違うよ?あの時のエミリアはマドリン王太子妃となるはずだったから隣国の歴史の知識はあって困らない。だけど君があんなに熱心に学ぶ意図がわからなくてね?』



エミリアは頭を抱えながら



『殿下!それは女心が分かっておりませんわ!マリア様が殿下をお慕いしてマドリン王国に来られていたのならば?今殿下がおっしゃっておられる事は女心を踏みにじる行為ですわ!』


奮起するエミリアにヨハネスは



『エミリア、君はリア王国に嫁いで頭の中がお花畑に化したのかな?』



エミリアはヨハネスを睨みつけると大きく息を吐いて果樹水を飲み干した。



『マドリン史を学ぶ事がそんなにおかしい事なのですか?』


マリアの言葉にヨハネスは王太子スマイルで答えた。


『いいや、むしろ私からしたら大歓迎だ。だけど君は初めて私に会った時何て言ったか覚えてる?マドリン史の資料を探していると言ったよね?初めてマドリンを学ぶ者は資料など探さないよ?まずは成り立ちや流れから入るよ。資料などあくまで参考資料だから。だから君の目論みを調べさせたんだ。図書館で何を手にし何を調べたかをね?』



明らかに動揺をみせるマリアを横目にジルベルトは


『何を調べていたのだ?』



『何も。』


ヨハネスは両手を広げて首を傾げた。



『だからバルトス王国、そしてマリア王女について調べさせてもらったよ。そしたらあの媚薬と繋がったってわけ。君はリア王国王太子妃になるべくして今回の件を企てたって事がね。』



ヘンリーが静かに立ち上がると報告書をマリア王女へ手渡した。それを見るマリアの表情は見る見るうちに険しくなっていく。



『貴女が留学にさえ来なければ…』


『来なければなに?』


マリアの呟きに間髪入れずにヨハネスが問う。



『…私が…』


『確かにエミリアがリア王国に留学に行かなければリア王国王太子妃にはなって無かっただろうね?だけど君がリア王国王太子妃になっていたとも限らない。 

そもそもその前から私に媚薬を盛っていたんだからね?自分の欲の為に我が国を巻き込んだ事には変わらない。それに我が国でも流石に調査が入りすぐにこうして君のしたことが明らかとなるわけ。そうしたら例えリア王国王太子妃となっていたとしても処刑だよ。我が国とて許す事など出来ないからね?』




『君はエミリアと同じ時期に我が国へ?』


ジルベルトは静かに問うた。


『はい、私は昨年に引き続き2回目でした。』


マリアは真っ直ぐジルベルトを見つめながら小さな声を絞り出した。


ジルベルトはため息を1つ付くと


『ニコルは我が国の公爵令嬢だ。彼女が好き嫌いではなく、公爵家の令嬢とならば我が国の臣下の1人。ニコルを巻き込んだ事には我が国とて許しがたい。彼女はヨハネス殿下のお力で少しは罪が軽くなるであろう。しかし彼女の未来は公爵令嬢としての未来は無い。そこをそなたはどう考える?』



『それでも、私は。』


尚も姿勢を崩さないマリアに王妃は


『貴女はバルトス王国の王女ですよ?ご自分の立場を理解なさい。私とて言えた義理ではありません。だからこそ私は今まで口を噤んできました。私がエミリアを国王の子どもではないかと疑心暗鬼にとらわれていた事を話したのは唯一あの時だけですからね。』


王妃はエミリアの母親とは幼なじみでもあり親友である。悩みを語り合う仲であるがある時からエミリアの母親はマリアと一緒に王妃に会いに来る事が多くなっていた。


3人でよく外国で落ち合い食事もした。お酒も飲み楽しい時間を過ごしてきた。その中でよくヨハネスとエミリアの婚約の話になり、エミリアの母親は王妃の心内を知らず、2人の結婚には賛成であった。たまたま2人になった時にポツリとマリアに心内をこぼした事を王妃は覚えていたのだ。

マリアを疑いながらも信じたいと願った王妃は頑なに口を噤んできた。それはマリアの為ではなく親友の為である。


マリアは王妃の言葉に俯きながら涙を流した。





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