絶世の悪女と呼ばれる公爵令嬢【完】

mako

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リア王国

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ハロルドがマドリン王国から戻ると待ってましたの如くジルベルトとエミリアからの質問攻めが待っていた。


ハロルドからの話しを聞いたジルベルトは


『で?ヨハネス殿下は王太子妃をフランチェスカ嬢に決めたのか?』


ハロルドは首を捻ると


『どうだろうね?それを決めるのはヨハネス殿下しかわからないよ。』


エミリアは楽しそうに


『ハロもヨハネス殿下の私室へ行ったって事?』

『あぁ、あの迷宮は凄過ぎだね。1人では出られないよ。ってエミリアも迷い込んだの?』

エミリアはまさかという風に


『筆頭公爵家の私でも入った事はないのよ?迷い込んだら最後とは聞いているけどね。そこへハロは入ったって事か…で?からくりは?』



もちろんカラクリを知っていたとしてもハロルドはペラペラとは話すつもりは無いが、マドリン王国の迷宮はハロルドにも解明出来ては居なかった。



『わからないさ。でなければ衛兵に連れられて脱出するなんて情けない事はしないよ。ただ隠し扉や通路が幾層にもあり訳がわからん。』


ハロルドは完敗を認め目の前のカップを手に取った。


『ところでケイダンはどうした?』


いつもこの場にはケイダンが居るが見当たらない。





…。


押し黙る2人に再度問うた。


『ケイダンは?』


ジルベルトはハロルドを真っ直ぐ見据え重い口を開いた。


『地下牢に居る…』


『地下牢?』


眉を顰めるハロルドにジルベルトは事の詳細を話しだした。



『って事は、俺達がマドリンから戻って来たあとケイダンに休みを与えたのは泳がせたって事か?』


ジルベルトは黙って頷いた。



ハロルドは考え込むとそのまま瞳を閉じた。



長い沈黙の後、


『ケイダンと話せる?』


ジルベルトは

『構わないが会わないほうが良い。』


『何故?』


ジルベルトは何も答えずデスクへと移動し執務に取り掛かった。







ハロルドは隙間風の流れる地下牢への階段を降りていた。一番手前の牢の前まで来るとハロルドは


『ケイダン…』


ケイダンはハロルドを見ると静かに頷いた。



…。



『お前、何があった?』


ハロルドの言葉には答えずケイダンは呆然とハロルドを見つめている。無精髭が生え、憔悴しきっているケイダンを苦しそうに見るハロルドは己の拳を強く握った。


ハロルドの知るケイダンはいつだって品行方正であった。ハロルド知るケイダンはいつだって正義であった。そのケイダンが今はハロルドの前で力なく座り込んでいる。



『ケイダン、俺を信じろ。そしてジルもだ。何も話さなくても構わない。だが諦めるなよ?』


そう告げるとハロルドは踵を返して地下牢を後にした。

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