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帰還

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ヨハネスの言った通りにジルベルトとハロルドはリア王国の騎士団を引き連れ帰還してきた。

執務室に戻った2人にエミリアは視線を釘付けにした。ジルベルトは大きく頷き

『マリア王女は確かに居た。』


…?で?

『明日王宮にご招待したよ。』


ジルベルトの笑顔混じりの表情にエミリアは不安そうにハロルドを見て


『まさか媚薬にやられてる?』


ズッコケそうになりながらもジルベルトは

『私には耐性があるであろう!』

怪訝そうにヨハネスに視線を流した。ヨハネスはバツの悪そうに視線を受けた。

『悟られてはならないからね?少し泳がせてみるよ。』


『…マリア様がこちらに入られているのはニコル様の件とは別件なのでしょうか?』


ハロルドは間髪入れず

『いや、絡んでいる。まぁ本人は気晴らしの旅と言っていたが…』


大きくため息を付くとやっとソファに腰を下ろした。ハロルドはヨハネスを不思議そうに眺めた。

…何をそんなに嬉しそうなのだ?


ニコルに用があったはずのヨハネス。ニコルが行方不明では何ともならないが何故かまだリア王国に居座るつもりだそうだ。ジルベルトは迎賓館を用意するとヨハネスは嬉しそうにハロルドと迎賓館へと向かった。


その晩は2人仲良くグラスを傾けるもハロルドは疲れからか早々に酔い潰れてテーブルに顔を伏せていた。ヨハネスは嬉しそうにハロルドを眺めながらそっと立ち上がると


『ハロ、風邪をひくぞ。明日は大事な決着の時であろう。』


ハロルドは気持ちよさそうに

『う…ん。』

重い瞼は開くことはなく、ヨハネスはハロルド腕を自分の肩に掛けベッドへと運んだ。





翌朝、ハロルドは目を覚ますと呆然と辺りを見渡し、いきなり飛び起きヨハネスを探すとヨハネスは既に着替えソファで朝食を取っている。


『ハロ、起きたかい?さあ、お前も早くこっちに来て食べよう。』


ハロルドはベッドから降りると


『申し訳ない…ってヨハネス殿下はどちらでお休みになられたのですか?』


ハロルドの問にヨハネスはあからさまに眉間にシワを寄せ


『殿下はないであろう?せめて名前で呼んでくれ。』


パンを手でちぎりながらハロルドを睨みつけた。

『で?どこで?』


心配を隠せないハロルドにヨハネスはニヤリと笑い


『仕方ないだろ?私はそこのソファで休んだよ。産まれて初めての体験だよ。』


…だろうね。

ハロルドは額に手で覆った。


ハロルドはテーブルのオレンジジュースを手に取り

『そのまま寝かせておけば良かったのに』

ヨハネスはこれまた嬉しそうに笑い


『そんな訳にはいかないよ。今日は大事な日であろう?』


意味深に笑うヨハネスにハロルドは首を傾げながらオレンジジュースを飲み干した。


…貴方は関係なくないか?






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