55 / 59
決着の時2
しおりを挟む
『ドナウアー公爵、私は貴方の娘に寛大な処罰を求める為にここにやって来たのだ。』
ヨハネスの言葉に呆気にとられながらも
『あ、有難きお言葉。』
『あまり嬉しそうには見えないけど?』
ヨハネスの言葉に焦る公爵。
『どこの国も、ある程度の人数を各国に潜り込ませているよね?それはリア王国とて同じだろ?現にハロルドだってエミリアの留学の後マドリンに入っている。少なからず我が国の情報を吸い出していたはずだ。』
…。
皆の視線がヨハネスに向けられる。
『逆もまた然り。今回王太子の側近、いや三羽ガラスの1人である公爵令息が捕らえられたとの事。三羽ガラスと言われている男だ。直に出てくるだろうと見守っていたがこれまた動きがない。ジルベルト殿は立場上動けないよね?公私混同と取られかねないからね?だからってハロルドだけでは時間が掛かるじゃない?』
…。
『だからハロルドよりも力を持つ私が動いたのさ』
『何でよ?』
小さく呟いたマリアの心の声が静寂の中、以外にも響いた。
『調べてすぐに把握できたよ。ハロルドがピンと来たようにね。偽造文書だとね。でもさそんな事、ケイダンが対処できたはずだろ?それができていないからここまで糸が絡まってる。それが何故なのか?』
『だから…』
エミリアの呟きにヨハネスは黙って頷くと
『会って見たくなったのだ。』
『だから我々を王宮から遠ざけた…。』
ジルベルトは察知したかのように呟いた。
ヨハネスはリンドル公爵に視線を移すと
『貴殿の息子は想像以上に優秀な男であったよ。』
リンドル公爵は静かに頭を垂れた。
『彼は産まれながらの公爵令息だ。あんな所に3日も居ればおかしくもなるだろう?私なら3日と、もたないよ。だけど彼は1ヶ月を越えてるのに私と会った時の目は死んではいなかった。むしろ瞳がキラキラ輝いていたよ。』
…。
『それは何故か。信じていたんだよ。ジルベルト殿とハロルドを。私はケイダンに問うたよ。何故自ら話さないのか…彼は黙ってはいたけどわたしの言葉に静かに頷いたよ。』
『殿下の言葉とは?』
エミリアの問にヨハネスは頷くと
『まずは、偽造文書を瞬時に気づけなかった己を責めた。仮にも忠誠を誓ったジルベルト殿から任された代役だ。悔しかったろうね。そして考えれば考えるほど、リア王国の醜態だ。それはもちろんジルベルト殿にも非がある。それを暴く事が憚れたんだ。』
…。
『ジルは関係ないだろう!』
感情的になるハロルドにジルベルトは
『いや、ヨハネス殿の言う通り。リア王国の不祥事は我々王族の責でもある。』
『で、偽造文書、偽造印だよね。問題になるのは。そう簡単に作れるものではない。余程の財と力が必要になる。』
そこまで話すとヨハネスはジルベルトに視線を流した。ジルベルトは既に把握したように頷く。
しばらく空気の流れも止まっているかの静寂に包まれた広間にケイダンがそれを打ち破るかのように静かに話しだした。
『私の監視の目が甘かったのです。その偽、開放状が出された事も知らなかった。それを知ったのは私が衛兵に捕らえられた時に初めてその書状を確認したのです。ですがその時は理由もわからずただ現状を把握するのに時間が掛かり偽造とは思いもよりませんでした。』
『当たり前だ。』
ハロルドが顔を顰めて悪態をついた。
『ですが私は地下牢で過ごすうちに頭を空っぽにして事を整理していくうちに偽造印の可能性を見出しました。では何のために…。偽造文書の中でも王族印の偽装は最も重罪。たかだか公爵令嬢ひとり開放するだけに犯すとはとうてい理解が追いつかない。』
ドナウアー公爵はガタガタと震えながら真っ直ぐケイダンの話しに聞き入っている。
『私の知る限り、ニコル嬢は公爵令嬢ではあるがそれほどの力を有している訳ではない。ならば他に狙いがあるのかと考えました。私がニコル嬢を逃がした…となってもたかだか私の首程度でしょう。』
『首程度ではないけどな。』
ハロルドは眉間にシワを刻み呟いた。
『ならば狙いは私やニコル嬢ではなくジルベルト王太子殿下が狙いではないかと考えが行き着きました。』
ケイダンの話しに納得するも、それから先には進まない話しに空気がどんよりと濁ってきた。
『殿下に恨みがあって、同時にニコル嬢にも修道院に居てもらっては困る者。もしくはニコル嬢を助けたい者…。
そして偽装印など割に合わない事は我々貴族ではまず考えられない。よほどの事が無ければ…。そのよほどの事がニコル嬢の開放ならば尚更だ。』
息子の話しから推測するリンドル公爵の声に反応するはハロルドの父であるコーシャー公爵。
『助ける目的ではない方であればニコル嬢が危ないのではないか!』
コーシャー公爵は立ち上がると今にも飛び出す勢いである。
『大丈夫。ニコル嬢は無事だよ。』
ヨハネスの言葉に一斉に視線がヨハネスに集まる。
『だって我が国の騎士団が張り付いてたからね?』
『まさか…』
咄嗟に出た言葉を急ぎ飲み込むマリア王女を三羽ガラスが逃す訳もなく、ハロルドは
『ニコル嬢はどこです?』
詰め寄るハロルドをマリアは制して
『貴方、それ以上近寄ると不敬罪に問うわよ!』
怯むハロルドにジルベルトが
『構わない、我が国はヨハネス殿下のような恩情は掛けるつもりはない。』
ジルベルトを睨みつけるマリアは
『私は恩情を掛けられるような事はしておりませんわ!何なのです?いきなり身内の醜態の話しが始まり訳のわからない私まで巻き込んで!貴方達こそこのままでは済まないわよ!証拠を出しなさい!私の関与を証明するものを!』
マリアの声は広間に大きく響き渡った。
ヨハネスの言葉に呆気にとられながらも
『あ、有難きお言葉。』
『あまり嬉しそうには見えないけど?』
ヨハネスの言葉に焦る公爵。
『どこの国も、ある程度の人数を各国に潜り込ませているよね?それはリア王国とて同じだろ?現にハロルドだってエミリアの留学の後マドリンに入っている。少なからず我が国の情報を吸い出していたはずだ。』
…。
皆の視線がヨハネスに向けられる。
『逆もまた然り。今回王太子の側近、いや三羽ガラスの1人である公爵令息が捕らえられたとの事。三羽ガラスと言われている男だ。直に出てくるだろうと見守っていたがこれまた動きがない。ジルベルト殿は立場上動けないよね?公私混同と取られかねないからね?だからってハロルドだけでは時間が掛かるじゃない?』
…。
『だからハロルドよりも力を持つ私が動いたのさ』
『何でよ?』
小さく呟いたマリアの心の声が静寂の中、以外にも響いた。
『調べてすぐに把握できたよ。ハロルドがピンと来たようにね。偽造文書だとね。でもさそんな事、ケイダンが対処できたはずだろ?それができていないからここまで糸が絡まってる。それが何故なのか?』
『だから…』
エミリアの呟きにヨハネスは黙って頷くと
『会って見たくなったのだ。』
『だから我々を王宮から遠ざけた…。』
ジルベルトは察知したかのように呟いた。
ヨハネスはリンドル公爵に視線を移すと
『貴殿の息子は想像以上に優秀な男であったよ。』
リンドル公爵は静かに頭を垂れた。
『彼は産まれながらの公爵令息だ。あんな所に3日も居ればおかしくもなるだろう?私なら3日と、もたないよ。だけど彼は1ヶ月を越えてるのに私と会った時の目は死んではいなかった。むしろ瞳がキラキラ輝いていたよ。』
…。
『それは何故か。信じていたんだよ。ジルベルト殿とハロルドを。私はケイダンに問うたよ。何故自ら話さないのか…彼は黙ってはいたけどわたしの言葉に静かに頷いたよ。』
『殿下の言葉とは?』
エミリアの問にヨハネスは頷くと
『まずは、偽造文書を瞬時に気づけなかった己を責めた。仮にも忠誠を誓ったジルベルト殿から任された代役だ。悔しかったろうね。そして考えれば考えるほど、リア王国の醜態だ。それはもちろんジルベルト殿にも非がある。それを暴く事が憚れたんだ。』
…。
『ジルは関係ないだろう!』
感情的になるハロルドにジルベルトは
『いや、ヨハネス殿の言う通り。リア王国の不祥事は我々王族の責でもある。』
『で、偽造文書、偽造印だよね。問題になるのは。そう簡単に作れるものではない。余程の財と力が必要になる。』
そこまで話すとヨハネスはジルベルトに視線を流した。ジルベルトは既に把握したように頷く。
しばらく空気の流れも止まっているかの静寂に包まれた広間にケイダンがそれを打ち破るかのように静かに話しだした。
『私の監視の目が甘かったのです。その偽、開放状が出された事も知らなかった。それを知ったのは私が衛兵に捕らえられた時に初めてその書状を確認したのです。ですがその時は理由もわからずただ現状を把握するのに時間が掛かり偽造とは思いもよりませんでした。』
『当たり前だ。』
ハロルドが顔を顰めて悪態をついた。
『ですが私は地下牢で過ごすうちに頭を空っぽにして事を整理していくうちに偽造印の可能性を見出しました。では何のために…。偽造文書の中でも王族印の偽装は最も重罪。たかだか公爵令嬢ひとり開放するだけに犯すとはとうてい理解が追いつかない。』
ドナウアー公爵はガタガタと震えながら真っ直ぐケイダンの話しに聞き入っている。
『私の知る限り、ニコル嬢は公爵令嬢ではあるがそれほどの力を有している訳ではない。ならば他に狙いがあるのかと考えました。私がニコル嬢を逃がした…となってもたかだか私の首程度でしょう。』
『首程度ではないけどな。』
ハロルドは眉間にシワを刻み呟いた。
『ならば狙いは私やニコル嬢ではなくジルベルト王太子殿下が狙いではないかと考えが行き着きました。』
ケイダンの話しに納得するも、それから先には進まない話しに空気がどんよりと濁ってきた。
『殿下に恨みがあって、同時にニコル嬢にも修道院に居てもらっては困る者。もしくはニコル嬢を助けたい者…。
そして偽装印など割に合わない事は我々貴族ではまず考えられない。よほどの事が無ければ…。そのよほどの事がニコル嬢の開放ならば尚更だ。』
息子の話しから推測するリンドル公爵の声に反応するはハロルドの父であるコーシャー公爵。
『助ける目的ではない方であればニコル嬢が危ないのではないか!』
コーシャー公爵は立ち上がると今にも飛び出す勢いである。
『大丈夫。ニコル嬢は無事だよ。』
ヨハネスの言葉に一斉に視線がヨハネスに集まる。
『だって我が国の騎士団が張り付いてたからね?』
『まさか…』
咄嗟に出た言葉を急ぎ飲み込むマリア王女を三羽ガラスが逃す訳もなく、ハロルドは
『ニコル嬢はどこです?』
詰め寄るハロルドをマリアは制して
『貴方、それ以上近寄ると不敬罪に問うわよ!』
怯むハロルドにジルベルトが
『構わない、我が国はヨハネス殿下のような恩情は掛けるつもりはない。』
ジルベルトを睨みつけるマリアは
『私は恩情を掛けられるような事はしておりませんわ!何なのです?いきなり身内の醜態の話しが始まり訳のわからない私まで巻き込んで!貴方達こそこのままでは済まないわよ!証拠を出しなさい!私の関与を証明するものを!』
マリアの声は広間に大きく響き渡った。
2
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
結婚5年目のお飾り妻は、空のかなたに消えることにした
三崎こはく
恋愛
ラフィーナはカールトン家のお飾り妻だ。
書類上の夫であるジャンからは大量の仕事を押しつけられ、ジャンの愛人であるリリアからは見下され、つらい毎日を送っていた。
ある日、ラフィーナは森の中で傷ついたドラゴンの子どもを拾った。
屋敷に連れ帰って介抱すると、驚いたことにドラゴンは人の言葉をしゃべった。『俺の名前はギドだ!』
ギドとの出会いにより、ラフィーナの生活は少しずつ変わっていく――
※他サイトにも掲載
※女性向けHOT1位感謝!7/25完結しました!
【短編】記憶を失っていても
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
7年以上前の記憶のない平民出身のラチェルは、6年前に娘のハリエットを生んでからグリオス国のアンギュロスの森付近の修道院で働きながら暮らしていた。
そんなある日ハリエットは見たことのない白銀色の大樹を見つけたと、母ラチェルに話すのだが……。
これは記憶の全てを失ったラチェル──シェシュティナが全てを取り戻すまでのお話。
※氷雨そら先生、キムラましゅろう先生のシークレットベビー企画開催作品です( ´艸`)
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
料理がマズいと言われ続けて限界がきたので、もっとマズいものを作って差し上げたら旦那様に泣かれてしまいました
九条 雛
恋愛
和平の証として魔族の元へと嫁がされたエルネットは、作った料理が不味いと毎日なじられ続けていた。
それでも魔族の慣わしとして、家族の口へと入る料理は彼女が作らねばならないらしい。
侯爵家の令嬢で、料理をしたことがなかった自分が悪いのだと努力を続けるエルネットだったが、それでも夫は彼女の料理を不味いと言い捨て、愛人の元へ通いに行くと公言する。
ほとんど限界を迎えていた彼女の中で、ついに何かがプツリと切れた。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
【完結】言いつけ通り、夫となる人を自力で見つけました!
まりぃべる
恋愛
エーファ=バルヒェットは、父から十七歳になったからお見合い話を持ってこようかと提案された。
人に決められた人とより、自分が見定めた人と結婚したい!
そう思ったエーファは考え抜いた結果、引き籠もっていた侯爵領から人の行き交いが多い王都へと出向く事とした。
そして、思わぬ形で友人が出来、様々な人と出会い結婚相手も無事に見つかって新しい生活をしていくエーファのお話。
☆まりぃべるの世界観です。現実世界とは似ているもの、違うものもあります。
☆現実世界で似たもしくは同じ人名、地名があるかもしれませんが、全く関係ありません。
☆現実世界とは似ているようで違う世界です。常識も現実世界と似ているようで違います。それをご理解いただいた上で、楽しんでいただけると幸いです。
☆この世界でも季節はありますが、現実世界と似ているところと少し違うところもあります。まりぃべるの世界だと思って楽しんでいただけると幸いです。
☆書き上げています。
その途中間違えて投稿してしまいました…すぐ取り下げたのですがお気に入り入れてくれた方、ありがとうございます。ずいぶんとお待たせいたしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる