絶世の悪女と呼ばれる公爵令嬢【完】

mako

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決着の時2

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『ドナウアー公爵、私は貴方の娘に寛大な処罰を求める為にここにやって来たのだ。』


ヨハネスの言葉に呆気にとられながらも


『あ、有難きお言葉。』


『あまり嬉しそうには見えないけど?』 


ヨハネスの言葉に焦る公爵。



『どこの国も、ある程度の人数を各国に潜り込ませているよね?それはリア王国とて同じだろ?現にハロルドだってエミリアの留学の後マドリンに入っている。少なからず我が国の情報を吸い出していたはずだ。』


…。

皆の視線がヨハネスに向けられる。


『逆もまた然り。今回王太子の側近、いや三羽ガラスの1人である公爵令息が捕らえられたとの事。三羽ガラスと言われている男だ。直に出てくるだろうと見守っていたがこれまた動きがない。ジルベルト殿は立場上動けないよね?公私混同と取られかねないからね?だからってハロルドだけでは時間が掛かるじゃない?』



…。


『だからハロルドよりも力を持つ私が動いたのさ』


『何でよ?』

小さく呟いたマリアの心の声が静寂の中、以外にも響いた。


『調べてすぐに把握できたよ。ハロルドがピンと来たようにね。偽造文書だとね。でもさそんな事、ケイダンが対処できたはずだろ?それができていないからここまで糸が絡まってる。それが何故なのか?』


『だから…』


エミリアの呟きにヨハネスは黙って頷くと


『会って見たくなったのだ。』


『だから我々を王宮から遠ざけた…。』


ジルベルトは察知したかのように呟いた。

ヨハネスはリンドル公爵に視線を移すと


『貴殿の息子は想像以上に優秀な男であったよ。』


リンドル公爵は静かに頭を垂れた。

『彼は産まれながらの公爵令息だ。あんな所に3日も居ればおかしくもなるだろう?私なら3日と、もたないよ。だけど彼は1ヶ月を越えてるのに私と会った時の目は死んではいなかった。むしろ瞳がキラキラ輝いていたよ。』


…。


『それは何故か。信じていたんだよ。ジルベルト殿とハロルドを。私はケイダンに問うたよ。何故自ら話さないのか…彼は黙ってはいたけどわたしの言葉に静かに頷いたよ。』


『殿下の言葉とは?』

エミリアの問にヨハネスは頷くと

『まずは、偽造文書を瞬時に気づけなかった己を責めた。仮にも忠誠を誓ったジルベルト殿から任された代役だ。悔しかったろうね。そして考えれば考えるほど、リア王国の醜態だ。それはもちろんジルベルト殿にも非がある。それを暴く事が憚れたんだ。』

…。


『ジルは関係ないだろう!』


感情的になるハロルドにジルベルトは


『いや、ヨハネス殿の言う通り。リア王国の不祥事は我々王族の責でもある。』



『で、偽造文書、偽造印だよね。問題になるのは。そう簡単に作れるものではない。余程の財と力が必要になる。』


そこまで話すとヨハネスはジルベルトに視線を流した。ジルベルトは既に把握したように頷く。

しばらく空気の流れも止まっているかの静寂に包まれた広間にケイダンがそれを打ち破るかのように静かに話しだした。


『私の監視の目が甘かったのです。その偽、開放状が出された事も知らなかった。それを知ったのは私が衛兵に捕らえられた時に初めてその書状を確認したのです。ですがその時は理由もわからずただ現状を把握するのに時間が掛かり偽造とは思いもよりませんでした。』


『当たり前だ。』


ハロルドが顔を顰めて悪態をついた。

『ですが私は地下牢で過ごすうちに頭を空っぽにして事を整理していくうちに偽造印の可能性を見出しました。では何のために…。偽造文書の中でも王族印の偽装は最も重罪。たかだか公爵令嬢ひとり開放するだけに犯すとはとうてい理解が追いつかない。』

ドナウアー公爵はガタガタと震えながら真っ直ぐケイダンの話しに聞き入っている。


『私の知る限り、ニコル嬢は公爵令嬢ではあるがそれほどの力を有している訳ではない。ならば他に狙いがあるのかと考えました。私がニコル嬢を逃がした…となってもたかだか私の首程度でしょう。』



『首程度ではないけどな。』


ハロルドは眉間にシワを刻み呟いた。


『ならば狙いは私やニコル嬢ではなくジルベルト王太子殿下が狙いではないかと考えが行き着きました。』


ケイダンの話しに納得するも、それから先には進まない話しに空気がどんよりと濁ってきた。


『殿下に恨みがあって、同時にニコル嬢にも修道院に居てもらっては困る者。もしくはニコル嬢を助けたい者…。

そして偽装印など割に合わない事は我々貴族ではまず考えられない。よほどの事が無ければ…。そのよほどの事がニコル嬢の開放ならば尚更だ。』

息子の話しから推測するリンドル公爵の声に反応するはハロルドの父であるコーシャー公爵。


『助ける目的ではない方であればニコル嬢が危ないのではないか!』

コーシャー公爵は立ち上がると今にも飛び出す勢いである。

『大丈夫。ニコル嬢は無事だよ。』

ヨハネスの言葉に一斉に視線がヨハネスに集まる。

『だって我が国の騎士団が張り付いてたからね?』


『まさか…』

咄嗟に出た言葉を急ぎ飲み込むマリア王女を三羽ガラスが逃す訳もなく、ハロルドは


『ニコル嬢はどこです?』

詰め寄るハロルドをマリアは制して


『貴方、それ以上近寄ると不敬罪に問うわよ!』

怯むハロルドにジルベルトが


『構わない、我が国はヨハネス殿下のような恩情は掛けるつもりはない。』


ジルベルトを睨みつけるマリアは

『私は恩情を掛けられるような事はしておりませんわ!何なのです?いきなり身内の醜態の話しが始まり訳のわからない私まで巻き込んで!貴方達こそこのままでは済まないわよ!証拠を出しなさい!私の関与を証明するものを!』


マリアの声は広間に大きく響き渡った。














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