たまたま王太子妃になっただけ【完】

mako

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初めて夜

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アレクセイはガチガチに固まるオリヴィアの緊張を解すようシャンパンを手渡すとオリヴィアはそれを一気に飲み干した。


『オリヴィア、大丈夫?そんな飲み方をして。』

案じるアレクセイに


『大丈夫ですわ、ちっとも酔えない…』


苦笑いのアレクセイは帝国で起こった事を話しだした。


『帝国は抵抗しなかったのですか?』


アレクセイの思惑通りオリヴィアの緊張感は一気に吹っ飛びをみせた。


『しなかったというより出来なかったという方が正しいかもしれないね。』


『皇帝は?』


『皇帝だよ?あれ程の国を治めてこられた方だ。最後の身の振り方は間違えたりしない。』

皇帝の処刑は直ちに執行されたのである。


神妙な面持ちのオリヴィアに


『可哀想だとか非情であるとかではないよ。それが統率者の義務だからね。それは誰しも覚悟した者しか統率者にはなれない。もちろん私も、そしてオリヴィアの父上や兄上だって同じだよ?それが王族だからね。』 



…。


『だが、最低限の首以外は私は不要だと思ってるからフィリップ殿も、もちろんイザベラだって無事だよ?それとついでにオリヴィアの姉上もね。』


…ついでにって。

『フィリップ殿下はどうなりますの?』


『彼だけでなく、帝国の貴族らもアナリス帝国の誕生に力を貸してもらうよ?もちろん無理強いはしない。志を共にしたいと願うもののみだ。後は自由にすればよいさ。』


『そんな事をさせて大丈夫なのですか?どうして反乱の芽を摘まないのですか?』
  
『反乱の芽か…。帝国で長らく仕えた者はそれだけ優秀な人間だよ?それを使わないのは勿体無いからね。もちろん真の忠誠を誓える者だけだけどね。そして必要ならば切り捨てるだけの事。ってかこのくらいでよくない?まだまだ続きそうで怖いんだけど?』


アレクセイはオリヴィアをソファから抱き上げると丁寧にベッドに運んだ。

オリヴィアをベッドに座らせるとその横に腰を下ろし肩を抱きオリヴィアの肩に頭を預けると

『ようやく手に入るよ。オリヴィア。私はこのために、この日の為に頑張ってきたのだからね。』


…大袈裟な。たまたま帝国に嫁ぐのがお姉様だったからなのに。


オリヴィアは不思議そうにアレクセイを見る。


『そんな目で見ないでよ。嘘じゃないからね?』


『私がここに嫁ぐはお兄様からの命でございましたが?』


『だね。だけど帝国へ嫁ぐはオリヴィアでない事は分かっていたからね?』


『…そんな事』


『あるよ。だってジュリランの2人の王女を知っていたら誰でもわかるよ?ステファニーは権力に固執していたのは他国の王族なら誰でも知っているからね?』



『それならば権力に固執していないのがたまたま私だっただけです。』


困った様に眉を下げるアレクセイ。


『頑固だね。私はね、ステファニーのような王女を山のように知っている。王女は令嬢とは違い媚びへつらう事をしないからね。

もちろん我が国も帝国への野望があったからこそ令嬢を娶る事は考えて居なかった。皇后陛下となるに相応しい女性を探し求めていたよ。そんな時隣国の夜会でオリヴィアを見たんだ。

すぐに王女だと分かったけど、王女らしくないというのが第一印象かな?それから交流会などジュリランと重なる夜会ではオリヴィアを探したよ。オリヴィアはいつも控え目ながらよく他国の動きに注視していた。賢明な王女だと思ったよ。』


オリヴィアは真顔で


『それはどうも。』



『もぉ、意地悪しないでよ!私は帝国にステファニーが嫁ぐという公式発表の前にジュリランに強制的に向かったのは必ず君を私の妃にと願ったからだ。例え帝国がオリヴィアを求めたとしてもね。』


…。


『オリヴィア、私を受け入れてくれないの?』


オリヴィアはアレクセイの視線を真っ直ぐに受け自分の心に問いかけた。


『受け入れるも何も、私はあなたの妻ですから。大切な後継者を産むことが責務です。』

アレクセイはオリヴィアの肩に置いた腕を解くと立ち上がり


『そうゆう事を言っているのではないよ…』

寂しそうにオリヴィアを見つめた。

『しかしながら、殿下が帝国に向かわれてからの日々は生きた心地がしませんでした。王太子妃として有るまじき事ですが、アナリス大王国や帝国、ジュリランの未来などよりも私は個人を優先しておりました。ただただ貴方ともう一度だけでも会いたいと…』


俯くオリヴィアにアレクセイは子どもの様に微笑み

『もう一度なんて言わないで。オリヴィアと私はずっとずっと一緒だからね。』


そう言うとアレクセイはオリヴィアを抱き込んだ。


『殿下。』


『うん?』


『ずっと一緒ですか?』


『何?嫌なの?』


『殿下も統率者です。何かあればご自分の首を差し出されるのでしょう?』


アレクセイは天を仰ぐと


『反則だよ…オリヴィア。

それに私の首はそんなに脆くはないよ?それとも何?私では不安かな?これでも日々誰よりも研鑽を重ねてきているつもりだよ。』


アレクセイはオリヴィアを組み敷くと


『責任は取って貰わないとね、オリヴィア。』

オリヴィアの唇へ優しくキスを落とした。小鳥の様に啄みながら楽しそうなアレクセイは次第に深い口づけへと移るとオリヴィアは苦しそうにアレクセイにしがみついた。


『ヤバい、可愛すぎるよ。オリヴィア』


オリヴィアの大きな瞳は潤んでいる。その瞳はアレクセイのスイッチを即座に切り替えた。


婚儀から半年が経ったこの日、2人は初夜を迎えたのである。







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