たまたま王太子妃になっただけ【完】

mako

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アナリス大帝国

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フランツ帝国制圧から約1年あまりでアレクセイはアナリス大帝国を誕生させた。

ジュリラン大王国は統率者がそのまま健在の為に属国として今まで通りの日々が流れている。

一方のフランツ帝国は既に皇宮は取り壊しとなり統率者は居ない。アレクセイは2国の国境を取り払い一国、アナリス大帝国としたのである。帝国の貴族らはアレクセイの許可したものはそのままの爵位で領地を治めた。


そしてフィリップはアナリス大帝国のアレクセイの下に置かれた。

フィリップは跪き頭を垂れ、かつての皇太子の威厳をそのままのオーラを身に纏っていた。

その様子をジュリランに戻る前のステファニーが隣のイザベラとオリヴィアにむかって

『本当計算高いわよね?元フランツ帝国民にあれだけ自由と吹聴しておきながら、それらが忠誠を誓っていた男を自分の元に置くなんて。ヘタレだわ!』


イザベラは苦笑いをしながら聞いているがオリヴィアは毅然と

『お姉様、お立場を理解頂けておりますか?』

ステファニーは悪怯れる事無く

『私は貴女の姉よ?』

…これが王女の威厳かしら?方向性を疑うわ。


『イザベラ様はどうなさるの?フィリップ様とご一緒にこの宮に居るのは御免よね?』


『どうしてですか?』


イザベラは不思議そうに問うと


『貴女は生粋の王族じゃないんだったわね。でしたら大丈夫ね。』


1人で勝手に納得するステファニー。

『私は御免だわ。敗戦の王なんて。』


『お姉様!』


『あら、本当の事だわ。私は生粋の王女ですから』


『恐らくフィリップ様もステファニー様は御免被りたいのでは?』


的確な呟きにオリヴィアは心の中で賛辞を送った。


『にしてもオリヴィア。あなたには大帝国の皇后なんて務まるのかしら。』


『…。』


オリヴィアに変わりイザベラが口を開く。


『逆にオリヴィア様でないと務まりませんわ』


ステファニーは呆れたように


『イザベラ様はご存知ないからそんな事が言えるのよ。ジュリランでは私がお兄様をお支えしておりましたの。だからこそフランツ帝国へ嫁いだの。オリヴィアは政にはノータッチでしたから。』


…。



『私の妃は政に精通していなくても大丈夫だからね。』


3人の元へアレクセイとフィリップが現れた。


『殿下!そのような発言は男尊女卑ですわ!』


アレクセイはフィリップと顔を合わせ頷くと


『男尊女卑の解釈を履き違えているよ。ステファニー殿。』

『私の解釈が間違っているとおっしゃるの?』

アレクセイは当然のように


『うん。私は私の妃のと言ったであろう?アナリス大帝国では私が統率者だ。その統率者が求める皇后はオリヴィアだということ。男女は関係ないよ?もし仮に私達の娘が政に優れた才能を持ち得るのならば後継者は皇女となるだろうしね。』



『殿下の望む皇后は頭が空っぽで貴女に従う女性ということですか?』



アレクセイは頭を左右に振ると代りにフィリップが


『空っぽなのは、ステファニー君だよ。統率者が望む妻の姿は誰もが君の言うような女性ではない。君がジュリランで政を担っていたのは王女だからだ。ラインハルトの妹だからということだ。』


『それにね、オリヴィアは私に従う女性ではないよ?かなりの頑固者だからね?オリヴィア。』


オリヴィアは頬を膨らませてアレクセイを睨みつけた。


『さあ、ステファニー王女。お迎えの時間のようだ。

それと最後に、君はアナリスの属国の王女だということを忘れぬように。私がフランツ帝国皇太子ではなくアナリス大帝国の側近になったと同じようにな。』


フィリップの言葉にステファニーが真っ赤にして睨みつけるとアレクセイがイザベラに


『イザベラの言う通りだな。フィリップこそ御免被りたいだろうね。』



怒りに震えるステファニーを残し4人は広間を後にした。


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