王子と王女は今日も仮面をかぶって愛し合う【完】

mako

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驚きの展開

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セリュアンは、エルナに届いた書状の送り主の特定をカイルに命じた。
それ以降、アレンもセリュアンも警戒を強めていたが――

温室はついに完成し、エルナが城に姿を見せることもなくなったことで、城内にはわずかな安堵の空気が漂っていた。

「……それにしても、皇帝陛下、ずいぶん長く滞在されたな」

執務の合間、ぽつりとこぼしたセリュアンに、アレンは苦笑を浮かべた。

「お前はずっと“陛下のお守り役”だったからな。ご苦労様」

セリュアンはけらけらと笑いながら、アレンを肘で小突いた。

「お前こそ笑ってばかりはいられないぞ?」

「……なんだよ、急に」

首をかしげるセリュアンに、アレンはわざとらしく口調を変えて言った。

「“真実の愛を引き裂かれた、親愛なるセリュアン”が不憫でならぬ――とな」

「……親愛なる、って」

カイルが小声で地味に突っ込んだ。

アレンは眉をしかめながら続ける。

「その“旧友”のために、あの町娘を皇族に迎えてはどうか、なんて話も持ち上がっていたらしい。
……本当、どこまでが冗談で、どこからが本気なのか分からん」

天を仰ぐアレンに、セリュアンは眉を寄せる。

「……エルナを? どうしてそんな話になる」

「分からん奴だな。皇族の名を得れば、“王太子の妃”にでも何にでもなれる。それが彼らの理屈だよ」

沈黙が落ちた。

……。

……。

カイルが真面目な声で口を開く。

「ですが、我がルヴェール王国の後継者は、“血統”が重視されるはずです。
いくら皇族といえど、出自までは誤魔化せません」

アレンとセリュアンは、カイルのあまりの真面目さに視線を交わし、そしてふと表情を曇らせた。

「……じゃあ、妃殿下がこのまま“懐妊”されなかったら?」

その言葉に、二人は目を見開いた。

「そ、そんなことになったら……アメリアが……!」

「だが、そうなればいずれ“側妃”の必要性が持ち上がる。
エルナでなくとも、誰かがその座に入るだろう。……そのとき、今度はエルナが傷つく」

……。

……。

アレンは少し視線を落とし、静かに言った。

「もしかすると――妃殿下は“後継者”さえ残せば、自分の役目は終わりだと思っているかもな。
それでお前を、エルナに返そうとしてる……そんな可能性だって、考えられる」

セリュアンの表情がこわばる。

「……私は物じゃない」

「分かってる。でも、そう考えても不思議じゃないんだ。
現に――妃殿下は懐妊していない。……そもそも、この夫婦は作ってもいないかもな」

アレンの目がわずかに鋭くなり、そのままカイルに視線を送る。

目を見張ったカイルが、反射的にセリュアンに視線を戻す。

向けられたその視線に、セリュアンは――返す言葉を見つけられなかった。

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