反主流派の公爵令嬢ですが何か?【完】

mako

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令嬢らの顔ぶれ揃う

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アナベルは一番乗りを悔いていた頃、そんな後悔など無用とでも言うかのように続々と令嬢らが集まってきた。


…みんなついでがあるのかしら?

のんきに構えるアナベルは広間に入って来る令嬢一人ひとりに声を掛けるライドを感心しながら見つめていた。

…間違いないわ。アレは余程暇なのね。

アナベルは社交界を避けていたが腐っても公爵令嬢。国との繋がり、領地の産業、そして貴族一覧は頭に入っている。会った事こそ無いが絵姿で派閥から力関係まで把握しているのである。

集まってくる令嬢も確認しながら視線を這わす。 
勿論その中には、ヴィヴォワール家の属する第3王子派の令嬢らも参加しているのでアナベルに会釈する令嬢らも居る。

アナベルはやはり公爵令嬢なのだ。

…!


アナベルの視線が止まる。


今回の本丸。我がトゥモルデン王国筆頭公爵家令嬢、マリアンナ様がそのオーラを放ったまま広間に現れた。

…ステキ♡


その、立ち居振る舞いにうっとり見惚れながらアナベルは再びこの出来レースを恨んだ。

…これほどお似合いの2人が他に居るわけないのに、何のためにこんな無駄な事を。



先ほどから忙しそうに確認に回る宰相の息子でライドの側近、レイナードが耳打ちするとライドは1つ頷き席を立とうとしたその時

『遅れて申し訳ありません』


一斉に入口に向けられる視線の先には、淡いピンクのドレスで息を切らす令嬢がひとり。


…だれ?


アナベルは焦った。
知らない令嬢が居る訳ない…のに。
いやいや面識は無いのは当たり前ではあるがアナベルの頭に入って居ない令嬢がいるものか。

チラリと周りの視線を確認すると、となりの令嬢はアナベルと同じように入口を凝視している。

…ですよね?


その横の令嬢は何やら睨見つけるように令嬢に視線を送る。


…!

アナベルはピンときた。

…第2王子派ね。と言うことは、アレよ。
確か商家から1代で莫大な財を築いたとか何とかで男爵を拝命したのが居たはずよね?それならば知らなくて当然よね?


納得したアナベルはその令嬢を嬉しそうに眺めた。


席を立とうとしていたライドもまた驚いたように令嬢を見ると令嬢はニッコリと微笑み膝を折る。


『初めまして、エレナ・シャニオンでございます…うふふ。』


…うふふは何や?



アナベルは不思議そうに眺めていた。

…社交界から離れている間に珍しいのが生息するようになったのね。


アナベルの反応と反するようにライドは破顔させエレナ・シャニオンに笑顔を向けた。


『君があの有名な男爵令嬢か。会えて嬉しいよ。』

まるでエスコートするかのように手を差し出すと最前列へ案内をした。


…えっと?王太子自ら?何やってんだよ。


アナベルは視線だけを動かせマリアンナの様子を覗うもマリアンナは表情変えずまっすぐに前を見据えていた。


…流石だわ。あれでこそ流石公爵令嬢よ。


感心するアナベルもまた紛れもなく公爵令嬢なのである。



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