反主流派の公爵令嬢ですが何か?【完】

mako

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退屈な毎日

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アナベルは悟った。
王太子妃教育とは名ばかりで、令嬢たちの実力を測る為の機会であるということを。

連日テストを受けさせられている。別に特段難しいものではなく貴族令嬢ならば誰でも簡単に答える事が出来る内容だ。

それでも皆こぞって勉学に励んでいるのだ。満点以上の成果を出そうとしているのであろうか。アナベルは出来レースの為に時間を割くくらいなら有限の王宮での生活を楽しむ事を迷いなく選んでいる。


『アナベル嬢』

中庭でお茶を飲んでいるアナベルは怪訝そうに呼びかけられた後方へと振り返ると急ぎ席を立ち膝を折る。


『いいから、そのままで。今更遅いよ(笑)』


そう気軽に話し掛けてきたのは第3王子であるミハエルであった。アナベルが面識のある数少ない王族の1人だ。


ミハエルは向いの席に腰を下ろすとアナベルを覗き込み口角を上げている。


…。


『君は他の令嬢のように自習室へは行かないのかな?(笑)』


…。


『何?こんな茶番にそこまで出来るかって?』


…!

『そ、そのような事は…。』


『無い?私としては私を支持してくれる派閥の公爵令嬢には頑張って王太子妃になってもらいたいけどね?色々助かる(笑)』


…。

固まるアナベルをミハエルは嬉しそうに眺めている。


『マリアンナ様は王太子妃に相応しいお方だと思ってはおりますが…』


続かないアナベルの言葉をミハエルは気長に待っている。

…。


『思ってるけど…何?』


『思っております!』


ニヤリと笑うミハエルは大きく伸びをしながら


『マリアンナ嬢ね、確かに完璧な淑女だよね?』

頷くアナベルにミハエルは声を殺して

『だが、難点がある。』


驚いたアナベルにミハエルはアナベルの耳元に顔を寄せ

『兄上にその気が無い。』

当たりをキョロキョロと気にしながらもアナベルは声を低く


『そ、そんな…。殿下は、その気があろうがなかろうがご自分のお立場と我が国の情勢を加味して堅実なご判断をなさるかと存じますわ。』


『えらく兄上を買い被ってるね(笑)兄上はね飛び入り参加の男爵令嬢みたいなのがお好みなのさ。いかにも1人では何も出来ない守ってやりたくなるみたいなね?庇護欲が掻き立てられるんだ。』


…は?


『殿下、今は殿下のお好みをお伺いしているのではありせんよ?』 

『いやいや私はあぁゆうのは好まない。あくまで兄上の話しだよ。』


…。


『だとしても、賢明な判断をされるはずですわ!』


『全く…えらく頑固なご令嬢だ。』

ミハエルは楽しそうに席を立ちその場を後にした。

回廊を渡るミハエルには側近と護衛騎士らが後方を固めわ行き交う文官らは通路を開け頭を垂れる。遠くから見つめるアナベルは小さく息を吐いた。


…やれやれだわ。これだから王宮は面倒なのよ。


そう小さくつぶやきながらもアナベルはミハエルの言葉が引っかかりしばらく呆然としていた。







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