反主流派の公爵令嬢ですが何か?【完】

mako

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くだらない時間からの空虚

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宮殿では皇后陛下主催の茶会が行なわれている。アナベルは執務を1つ片付けると急いで茶会へと足を運ぶとライドの母親である皇后陛下の回りには力のある王国の王女らが陣取りアナベルは入り口近くのテーブルに腰を下ろした。 

そこにある空気だけでアナベルは自身に対して敵対である事が理解できた。


…ふぅ。やれやれだわ。


アナベルはそっと出されたカップを手に取り口に含んだ。

しばらくするとトゥモルデンの貴族令嬢らがアナベルのテーブルに付くやいなや


『アナベル様、ごきげんよう。』


一見して笑顔ではあるが目が笑ってはいない。
令嬢らはライドの昔ばなしを嬉しそうに口々に話し出すとかつての第3王子派、いわゆるアナベルと同じミハエル派閥の令嬢が寝返りを見せるかのように口を開いた。


『皆さんいけませんわ。アナベル様は引きこもっていらっしゃいましたので殿下のそのような話にはついていけません事よ?』


…庇ってるつもりか?

アナベルは小さく笑った。

ライドが令嬢には完璧なまでの王子様を演じるのはアナベルも知っている。だがそれはライドの武器の1つでもある。見た所その王子様に絆されている令嬢や王女の数はアナベルの予想を遥かに超えている。

…面倒な事にならなきゃいいけど。


アナベルは徐ろにため息を付くとひたすら茶会が終わるのを街続けた。





『義姉上』

一仕事を終えたアナベルは執務室のソファでぐったりしている所にまたも面倒なのがやってくる。これが帝国のテッパンである。

…でたよ。


『そんな、あからさまに顔に出さないの!これでも一応皇太子妃でしょう?』


ミハエルは嬉しそうにアナベルの対面に腰を下ろした。


『平和過ぎて頭がバグってきたのかしら?っていうか何だか…疲れたわ。』


アナベルはそっと立ち上がると窓を開け風を通した。


『入るよ。』


アナベルの執務室にライドがこれまた普通に入ってくるとミハエルの対面に腰を下ろした。


『義姉上はお疲れのようだ。』


ミハエルの言葉にライドは


『どうしたの?何かあったの?』


何かあったの?ではない。何もなさ過ぎてくだらない事しか無いのだ。帝国とはこんなにつまらないとのなのか?アナベルは静かに首を振った。

『だそうだよ?』

ライドはそのまま理解をしミハエルに笑顔を送る。


…空気読めなすぎだろ?兄上。


万事良好に熟すライドであるが、こと恋愛事になるととてつもなく向いていないのである。ライドは幼き頃に覚えた恋をそのままに手に入れ、側には居るがアナベルにとっては何ともやるせないのは間違いない。べつにラブラブな毎日を夢見ている訳ではない。なんだろう言葉に出来ない心のモヤモヤをアナベルは解析できぬまま時間だけが流れていたのである。


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