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ご無沙汰ですわ
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アナベルはいつものように平和ボケしている帝国宮殿での夜会で退屈な時を過ごしていた。
色取りに舞う蝶の仮面を装着した令嬢は欲に塗れお目当ての令息を射抜く術を身に付けている。その蝶の中にアナベルは懐かしい顔を発見し目を見開いた。
…あれは!
その蝶は帝国の属国となっていない王国の王太子にエスコートされステップを踏んでいるではないか。
何度も目を凝らしてみてもやはりあの闘牛…ではなくエレナ・シャニオンに酷似している。
…ま、まさかね。
アナベルはブンブンと頭を揺すり視線を外して息を吐いた。その後は入れ替わりやって来る国賓の挨拶に応えながらエレナ・シャニオンの事などすっかり頭から消えていた。
『アナベル様ご無沙汰ですわね?』
素敵な笑みを浮かべるその令嬢はやはりあのエレナ・シャニオンであるように思えるが表情が異なる。アナベルの知るエレナ・シャニオンは少々頭の軽さは否めないものの、悪意は見当たらなかったはずが目の前の令嬢は間違いなくアナベルに対して好意は抱いていないようだ。
『エレナ嬢ですか?なんだか雰囲気が変わり驚きましたわ。』
口角を上げるアナベルにエレナは伏し目がちになり
『少しお話し出来ますか?』
…?
今のアナベルはかつてのアナベルとは違う。今やこう見えて皇太子妃なのである。やすやすとトラブルに巻き込まれるのは御免被りたい。
思案しているアナベルの心情を嘲笑うかのようにエレナはゆっくりと口を開いた。
『カサンドラ王太子殿下から面白いお話しを聞きましたのよ?』
カサンドラ王太子、先ほどエレナと舞っていた帝国の属国となっていない王国の王太子である。1代限りの男爵令嬢が王国の王太子とどこでどう繋がったのか興味深い事は間違いない。今のアナベルにとっては退屈しのぎには持って来いである。
『バルコニーに出ますか?』
アナベルの提案にエレナは二つ返事で頷いた。
『ご立派になられて、この前までは私の教育係でしたのに…最も私は殿下に騙されてたのですけどね?』
…騙してはいないと思いますが?
小さく微笑むだけでアナベルは視線を逸らせた。
『それも前皇帝がお亡くなりなったばかりの混乱する帝国を乗っ取るような形で…そしてまだ幼い後継者に慈悲も無く、なんとも残酷なお方ですわよね?ライド殿下は。』
…。
エレナは辺りを見渡すと
『ライド殿下は今宵は?』
アナベルは静かに視線をエレナに合わせ
『殿下はお忙しい御身です。今宵は宮殿を空けられておりますの。』
ライドが忙しいのは嘘ではない。
『エレナ嬢はあれからどうされてましたの?』
アナベルの問にまたも素敵な笑みを浮かべたエレナは黙ってバルコニーから街を見下ろすと突如として振り返ると得意気に口を開いた。
『カサンドラ殿下との繋がりを驚いていらっしゃるのね?』
…まぁね?そりゃ驚きますわよ。
エレナは黙って視線を送るアナベルを楽しそうに見つめながらもそれ以上を話す事はしなかった。
『エレナ嬢!』
後方からの声に振り返るアナベルは驚いたようにその声の主に視線を這わせた。その視線にその声の主は優しい眼差しをアナベルに向けると
『これはこれは妃殿下。』
にっこりと微笑むそれはまさしく王太子スマイルである。アナベルもこの王太子スマイルは嫌と言うほど熟知している。このスマイルに心をときめかせる程、未熟でも子どもでもない。寧ろ今のアナベルにとっては嫌悪感しかないのだ。
『カサンドラ殿下!』
声のトーンを上げる安定のエレナにアナベルは懐かしさを覚え小さく微笑んだ。
…人はそんなに簡単には変わらないわよね。
色取りに舞う蝶の仮面を装着した令嬢は欲に塗れお目当ての令息を射抜く術を身に付けている。その蝶の中にアナベルは懐かしい顔を発見し目を見開いた。
…あれは!
その蝶は帝国の属国となっていない王国の王太子にエスコートされステップを踏んでいるではないか。
何度も目を凝らしてみてもやはりあの闘牛…ではなくエレナ・シャニオンに酷似している。
…ま、まさかね。
アナベルはブンブンと頭を揺すり視線を外して息を吐いた。その後は入れ替わりやって来る国賓の挨拶に応えながらエレナ・シャニオンの事などすっかり頭から消えていた。
『アナベル様ご無沙汰ですわね?』
素敵な笑みを浮かべるその令嬢はやはりあのエレナ・シャニオンであるように思えるが表情が異なる。アナベルの知るエレナ・シャニオンは少々頭の軽さは否めないものの、悪意は見当たらなかったはずが目の前の令嬢は間違いなくアナベルに対して好意は抱いていないようだ。
『エレナ嬢ですか?なんだか雰囲気が変わり驚きましたわ。』
口角を上げるアナベルにエレナは伏し目がちになり
『少しお話し出来ますか?』
…?
今のアナベルはかつてのアナベルとは違う。今やこう見えて皇太子妃なのである。やすやすとトラブルに巻き込まれるのは御免被りたい。
思案しているアナベルの心情を嘲笑うかのようにエレナはゆっくりと口を開いた。
『カサンドラ王太子殿下から面白いお話しを聞きましたのよ?』
カサンドラ王太子、先ほどエレナと舞っていた帝国の属国となっていない王国の王太子である。1代限りの男爵令嬢が王国の王太子とどこでどう繋がったのか興味深い事は間違いない。今のアナベルにとっては退屈しのぎには持って来いである。
『バルコニーに出ますか?』
アナベルの提案にエレナは二つ返事で頷いた。
『ご立派になられて、この前までは私の教育係でしたのに…最も私は殿下に騙されてたのですけどね?』
…騙してはいないと思いますが?
小さく微笑むだけでアナベルは視線を逸らせた。
『それも前皇帝がお亡くなりなったばかりの混乱する帝国を乗っ取るような形で…そしてまだ幼い後継者に慈悲も無く、なんとも残酷なお方ですわよね?ライド殿下は。』
…。
エレナは辺りを見渡すと
『ライド殿下は今宵は?』
アナベルは静かに視線をエレナに合わせ
『殿下はお忙しい御身です。今宵は宮殿を空けられておりますの。』
ライドが忙しいのは嘘ではない。
『エレナ嬢はあれからどうされてましたの?』
アナベルの問にまたも素敵な笑みを浮かべたエレナは黙ってバルコニーから街を見下ろすと突如として振り返ると得意気に口を開いた。
『カサンドラ殿下との繋がりを驚いていらっしゃるのね?』
…まぁね?そりゃ驚きますわよ。
エレナは黙って視線を送るアナベルを楽しそうに見つめながらもそれ以上を話す事はしなかった。
『エレナ嬢!』
後方からの声に振り返るアナベルは驚いたようにその声の主に視線を這わせた。その視線にその声の主は優しい眼差しをアナベルに向けると
『これはこれは妃殿下。』
にっこりと微笑むそれはまさしく王太子スマイルである。アナベルもこの王太子スマイルは嫌と言うほど熟知している。このスマイルに心をときめかせる程、未熟でも子どもでもない。寧ろ今のアナベルにとっては嫌悪感しかないのだ。
『カサンドラ殿下!』
声のトーンを上げる安定のエレナにアナベルは懐かしさを覚え小さく微笑んだ。
…人はそんなに簡単には変わらないわよね。
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