反主流派の公爵令嬢ですが何か?【完】

mako

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鋭い指摘

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カサンドラ王太子が帝国に入り、まだ新しい帝国の慣れない日常を視察している今日この頃。すっかり平和ボケしているトゥモルデン帝国は一国の王太子の存在など気にする様子も無かった。その為かカサンドラ王太子が連日宮殿のアナベルを訪ねて来ていることも問題にはなっていなかった。


『おはようございます。アナベル様。』

カイン・カサンドラは自室のように謁見の間のソファにくつろぎながらアナベルを迎えた。


『カイン様、今日もまたどうされました?』

アナベルも暇ではない。


『アナベル様、ご迷惑でしたか?』

『ご、ご迷惑だなんて、そんなはずはございませんが、カイン様こそお忙しい御身。そちらを案じておりますのよ?』

カインはアナベルの話しを笑顔で聞き流すとまるで自室のように謁見の間を練り歩き窓辺に身を寄せた。


『ここからの眺めは圧巻ですね。』


…用件は何なんのよ。

アナベルはカインの後ろ姿を凝視した。この人がここに来るには意味があるはず。本当に暇つぶしならばとんだアホ王子という事になるがそんなはずはない。この帝国の属国とならずして独立しているカサンドラ王国の王太子ならば何かある。この感覚を覚えているのは、もはや帝国でもアナベルだけなのかもしれない。


振り返るカインは少しだけ口角を上げると


『貴女はなかなか優秀だとお見受けする。』


『…。』


…?アナベルはきょとんとカインを見た。カインは嬉しそうに再度アナベルの対面に腰を降ろすと


『失礼ながらこの帝国はもはや楽園のようだ。』

…失礼としながら褒めているようだけど?

アナベルは怪訝そうに呟いた。

『仰る意味がわかりかねますが?』

カインば当然とでも言うように微笑むと


『帝国が楽園なのは素晴らしい。だけどね中枢までもが楽園では国家としては成り立たないし、しかもここは帝国だからね』

カインの言葉の裏を読み解くようにアナベルはじっとカインを凝視した。一応ではあるが、皇太子妃であるアナベルに思いの丈をここまで語る意味は何なのか。

『ご心配には及びませんわ。』


色々と思う所はあるけれど、今のアナベルにはこう答える他は無かった。


『だろうね。そうしか答える事は出来ないか。君はあくまで皇太子妃だもんね。』


王太子スマイルを全開にカインはアナベルを見つめた。その視線に居た堪れなくなりアナベルはそっと視線を外した。その時何故がアナベルの脳裏にはマリアンナが浮かんでいた。アナベルは大きく息を吐き出し、毅然とカインに再び視線を合わせにっこりと皇太子妃スマイルをお見舞いした。


…カサンドラ王国ってば、これほど国力が強いのかしら?

アナベルはカサンドラ王国についてみっちりと調査する事を始めたきっかけにもなる1幕であった。




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