こじらせ王子とその妃【完】

mako

文字の大きさ
48 / 94

剥がれる仮面2

しおりを挟む
呆然と見つめるカールトンにマキシミリアンは

『カールトン殿は妃を迎えられるまで特定の令嬢の名をきいたことがなかったがエリーヌ嬢とは仲睦まじいのだな?』

照れるエリーヌを見ながら柔らかい表情のカールトン。カールトンは思い出すかのように話し出した。


『私は私の立場に寄ってくる令嬢を嫌という程知っているがこのエリーヌだけは違うのです。エリーヌは妹のような存在で家族同然。』

『家族?』

首を傾げるエリーヌに

『そうだ。幼い頃から連日の様に令嬢に追い回されて辟易としていた時、ダリス大王国での交流会で踊る黄色い妖精を見て私は憧れたよ。

あの屈託ない笑顔と媚びへつらう事なく自分だけの世界観を持つ妖精扮する令嬢がエリーヌだと知った時は本当に嬉しくて今までの地獄のような毎日から救われた気がしたんだ。』


笑顔で見つめるエリーヌ。ニヤリと笑うマキシミリアン。バツの悪そうに俯くキャサリン。

『では何故エリーヌ嬢を娶らなかった?』

マキシミリアンが問うと

『妖精ですよ?皆の妖精です。私だけのものには出来ないしそもそも結婚とは王族にとって政略結婚が常。だからこそ妹として大切に守りエリーヌの幸せを願っておりますよ。』


‥よくもまあ、妻の前で。
呆れ果てるキャサリンを横目にマキシミリアンは

『そうか、あの黄色い妖精はエリーヌ嬢か。黄色い妖精は各国王太子の憧れ。これが知れ渡ればムヌク王国にすぐにでも王太子が集まってくるだろうな。』


目を見開くエリーヌは照れたように


『そんな‥私如きが。』

カールトンはエリーヌの肩を抱き

『大丈夫。私がしっかり見立てるからね。エリーヌが幸せになれる相手を見極めるから。』

エリーヌは満面の笑みで

『心強いですわ!』


和やかな2人にマキシミリアンは

『だがエリーヌ嬢はカールトン殿の側妃になられるのでは?』


エリーヌは慌て

『先程も申し上げましたがただの噂ですわ』

カールトンも頷き微笑む。

‥なんなん?これ。

キャサリンは遠い目で見つめていた。

『さっさと持ち帰れと言っておったが?』

‥何を?持って帰るの?


訳の分からないキャサリンとカールトンを他所にエリーヌはマキシミリアンに

『それはそれ。これはこれ。ですのよ。』

コレまた訳の分からない事を言うエリーヌにマキシミリアンは大袈裟に首を撚ると


『カールトン殿、黄色い妖精がエリーヌ嬢だと何故わかる?』


カールトンは微笑みながら

『エリーヌが私だけに話してくれたのですよ。』

嬉しそうに語るカールトンに


『カールトン殿、貴殿は王族の石は持っているな?』


王族の石とは、王の子どもが産まれた時に授けられる石の事で王の子どもは皆持っている。国は違えど同じ色番の石を与えられるのである。

『もちろんです。』

カールトンの返答を待ってマキシミリアンはキャサリンに視線を送る。

『持っております。』

マキシミリアンは頷くと自らの首に下げられた石を取り出した。真っ赤に輝くその石こそ王族の証。


キョトンと見守るエリーヌ。

『カールトン殿は覚えておらぬか?あの時各国の王太子を虜にした黄色い妖精。彼女も首から下げておったのを。この王族の証を‥』

驚き目を見開くエリーヌとカールトン。

『だからこそ王太子らがこぞって黄色い妖精の絵姿を持っておるのだ。この前の交流会でも持っておる王太子が沢山居るという話しになったであろう?』

カールトンは頭を巡らすも‥


『そなたはそれを回収したいと言っておったではないか?』


カールトンは目を見開きキャサリンを見るとキャサリンはバツの悪そうに俯いた。


まだ理解のできないエリーヌは

『意味がわかりませんが?』

マキシミリアンは溜息をつき

『そなたは持っておるのか?この石を。』

エリーヌの目の前に自らの赤く輝く石を向ける。

『私は公爵令嬢ですから持っておりませんわ!』


マキシミリアンに食いかかるエリーヌを目を丸くして呆然と見つめるカールトン。


『黄色い妖精は‥』

ポツリと吐き出すカールトンに


『だから私ですわ』

照れるエリーヌを見ようともせずキャサリンに視線を送るカールトンに苛立つエリーヌ。


『エリーヌ嬢。王族でない者が王族と偽るとどうなるか知っておるのか?』


エリーヌは苛立ちを隠すこと無くカールトンからマキシミリアンに視線を移すと


『極刑ですわ!そんな事今関係あります?』

今度はカールトンが溜息をつくと

『エリーヌ。黄色い妖精はこの王族の石を首から下げていたという。もし黄色い妖精が君ならば君はこの石をどこから?』

目をパチクリパチクリと2回させると、

『か、勘違いかしら?』

青ざめるエリーヌに

『何の?何をどう勘違いしたのだ?』

追求をやめないマキシミリアン。

‥。


『お前は昔からの嘘で固めていたようだな。』

冷たく鋭い視線にエリーヌはただただ黙って硬直していた。


『そんな大昔の話しはやめましょう。今はこの夜会を楽しんで頂きたいですわ。』

助け舟をだしたのはムヌク王国王太子妃キャサリンであった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【短編】記憶を失っていても

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
 7年以上前の記憶のない平民出身のラチェルは、6年前に娘のハリエットを生んでからグリオス国のアンギュロスの森付近の修道院で働きながら暮らしていた。  そんなある日ハリエットは見たことのない白銀色の大樹を見つけたと、母ラチェルに話すのだが……。  これは記憶の全てを失ったラチェル──シェシュティナが全てを取り戻すまでのお話。 ※氷雨そら先生、キムラましゅろう先生のシークレットベビー企画開催作品です( ´艸`)

【完結】どうやら時戻りをしました。

まるねこ
恋愛
ウルダード伯爵家は借金地獄に陥り、借金返済のため泣く泣く嫁いだ先は王家の闇を担う家。 辛い日々に耐えきれずモアは自らの命を断つ。 時戻りをした彼女は同じ轍を踏まないと心に誓う。 ※前半激重です。ご注意下さい Copyright©︎2023-まるねこ

悪役令嬢まさかの『家出』

にとこん。
恋愛
王国の侯爵令嬢ルゥナ=フェリシェは、些細なすれ違いから突発的に家出をする。本人にとっては軽いお散歩のつもりだったが、方向音痴の彼女はそのまま隣国の帝国に迷い込み、なぜか牢獄に収監される羽目に。しかし無自覚な怪力と天然ぶりで脱獄してしまい、道に迷うたびに騒動を巻き起こす。 一方、婚約破棄を告げようとした王子レオニスは、当日にルゥナが失踪したことで騒然。王宮も侯爵家も大混乱となり、レオニス自身が捜索に出るが、恐らく最後まで彼女とは一度も出会えない。 ルゥナは道に迷っただけなのに、なぜか人助けを繰り返し、帝国の各地で英雄視されていく。そして気づけば彼女を慕う男たちが集まり始め、逆ハーレムの中心に。だが本人は一切自覚がなく、むしろ全員の好意に対して煙たがっている。 帰るつもりもなく、目的もなく、ただ好奇心のままに彷徨う“無害で最強な天然令嬢”による、帝国大騒動ギャグ恋愛コメディ、ここに開幕!

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

赤貧令嬢の借金返済契約

夏菜しの
恋愛
 大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。  いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。  クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。  王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。  彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。  それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。  赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。

[完結]私を巻き込まないで下さい

シマ
恋愛
私、イリーナ15歳。賊に襲われているのを助けられた8歳の時から、師匠と一緒に暮らしている。 魔力持ちと分かって魔法を教えて貰ったけど、何故か全然発動しなかった。 でも、魔物を倒した時に採れる魔石。石の魔力が無くなると使えなくなるけど、その魔石に魔力を注いで甦らせる事が出来た。 その力を生かして、師匠と装具や魔道具の修理の仕事をしながら、のんびり暮らしていた。 ある日、師匠を訪ねて来た、お客さんから生活が変わっていく。 え?今、話題の勇者様が兄弟子?師匠が王族?ナニそれ私、知らないよ。 平凡で普通の生活がしたいの。 私を巻き込まないで下さい! 恋愛要素は、中盤以降から出てきます 9月28日 本編完結 10月4日 番外編完結 長い間、お付き合い頂きありがとうございました。

私の初恋の男性が、婚約者に今にも捨てられてしまいそうです

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【私の好きな人が婚約者に捨てられそうなので全力で阻止させて頂きます】 入学式で困っている私を助けてくれた学生に恋をしてしまった私。けれど彼には子供の頃から決められていた婚約者がいる人だった。彼は婚約者の事を一途に思っているのに、相手の女性は別の男性に恋している。好きな人が婚約者に捨てられそうなので、全力で阻止する事を心に決めたー。 ※ 他サイトでも投稿中

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

処理中です...