愛するということ【完】

mako

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初対面

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ウィリアムとテオドールが接見の間に入ると王女は静かに立ち上がり

『お初にお目にかかります。アミュレット王国第3王女、エレノア・アミュレットでございます。』

美しい所作で膝を折ると

『良い、楽にしてくれ』

ウィリアムは形式的に言葉を発するとエレノアの前に腰を下ろした。


『早速ではございますが、既にお話ししましたように…』

テオドールが言葉を選びながら話し出すとエレノアはニコリと微笑み


『説明は不要です。理解した上でこちらに参りましたので。』


目をパチクリさせるテオドールを横目にウィリアムは

『それは助かる。ではテオドール今後の予定を』

テオドールは小さく頷くと

『先ずは挙式についてでございますが、我が国のせめてもの誠意として盛大に執り行う予定です。姫の意向を全て取り込みたく存じますので何なりと仰って下さい。』

エレノアは少し考え

『そのような事、必要ございませんわ。』

あっけらかんと話すエレノアにウィリアムは思わず

『し、しかし一生に一度のだな…』

続く言葉を遮るように

『そのようなものに夢見ていたら、ここには来ておりませんわ!ご心配は無用です。

本心は今からでも執務に入りたいくらいですもの。でもそうは参らない事も承知の上。
…。
そうですね、簡単に式を済ませ、これまた簡単に夜会でも開いてお披露目ではいかがです?』

大きな瞳をキラキラとさせて饒舌に話すエレノアに2人は黙って頷いた。


しばらくの沈黙の後、ウィリアムが静かに口を開く。

『1つ良いか?』

神妙な面持ちのウィリアムにエレノアは

『1つと言わず何個でも!』


『…1つでよい。』

キョトンとするエレノアにウィリアムは

『で?この条件でここに嫁ぐという事の裏には何がある?』

エレノアは首を傾げ

『裏とは?』

堪らずテオドールが口添えする。

『姫の本心ですよ。何を目論んでおられるのかということです。』


エレノアはうんうんと頷き


『う~ん。目論んでというか、そもそも私と殿下は同じ類の人間なのでは?

得体の知れない愛などというものに振り回されること無く与えられた立場、義務を果たす事を使命としておりますもの。

で、後はこれは私としての蜜というかご褒美というか本心なのですが…』


言葉を濁すエレノアの前で2人はゴクリと唾を飲み込んだ。


『大王国図書館ですかね。』


『…』



『あそこは国内の貴族でさえ許可が必要となる厳重な管理下の元、運営されておりますでしょう?』


『…?はい。』

テオドールが急かすように被せる。


『ですが私がここに嫁ぎ王族となれば?』


『…。許可は要りませんね。』

またもや被せるテオドール。


『それ!毎日義務を果たした後は好きなだけ図書館に入り浸る事ができますのよ?』

思い浮かべただけで笑みをこぼすエレノアに2人は怪訝そうに見つめるがエレノアは一人ニヤニヤと図書館を思い浮かべている様にテオドールは大きなため息をついた。


…これはえらい跳ねっ返りを見繕ってしまった。

テオドールは主であるウィリアムに目配せをするとウィリアムは天井を見上げると切り替えるようにして

『まあ、末永くよろしく。』


そう言うと接見の間を後にした。




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