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流石はエレノア…
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『妃殿下、流石にそれは…。』
難色を示すハロルドにエレノアは気にする事無く
『じゃあ、手筈通りに頼むわよ?』
長い王宮の廊下を早足で歩く主を見つめながら
…やれやれだよ。全く。
ハロルドは心の声を押し殺し必死に前の主を追った。
『失礼します!』
元気よく声をあげるエレノアの後ろで逃げ出したい衝動に駆られるハロルド。
『入れ。』
部屋の中から落ち着いた声が掛かるとエレノアは扉を開けて中に入った。
エレノアとハロルドの入室にウィリアムの側近テオドールがまずは反応する。
『いかがされましたか?』
エレノアは余裕の笑みで
『本日は殿下にお願いがあって参りましたの。』
お願い。2人は顔を見合わせるとウィリアムは静かに頷く。
『何かな?』
ウィリアムはデスクから立ち上がるとソファに腰を下ろした。
『私の執務室ですが、この無駄に広い王宮の端。そう殿下の執務室から真逆にございますでしょう?あまりに遠く大変なので移して頂こうかと。』
良くわからない2人を相手に尚も続ける。
『ですから急ぎの決裁もわざわざここまで足を運ぶ時間が勿体ないと申しております。』
テオドールは軽く頷くと
『妃殿下が、直々足を運ばれる訳でもあるまいしですね…』
『誰が足を運ぶかなど問題ではございませんわ。その時間が勿体ないと申しております。
そもそも何故あんなに離れた所にありますの?あれでは憎き妃に会いたくないという思惑かもしくは顔を頻繁に合わせていれば妃はいずれ殿下に絆されるという自意識過剰かどちらなのです?』
…少しはオブラートに包めよ。
ハロルドは後ろで青ざめている。
…。
テオドールが頭を巡らせているとウィリアムが口を開いた。
『そういう訳では無いと思うが…。で?エレノアはどうしたいと?』
エレノアは満足気に頷くとウィリアムの執務室をぐるりと見渡し
『こちらに移して頂きたいのです!』
これにはテオドールが立ち上がり
『交換しろと?』
エレノアは驚き
『テオドール、私の話を聞いておりましたか?それでは問題解決とならないでしょう?』
『では?』
『ですからこの広い執務室に間借りしたいと申しておりますの。』
!
ウィリアムとテオドールは驚き目を見開いた。
その様子をハロルドはバツの悪そうな表情で見つめていた。
『うん、広さは十分ね。ここにパーテーションを置けばよろしくて?出入り口は後ろを使わせて頂きますね?』
『いやいや、勝手に話を進められては困ります!』
焦るテオドールに
『何か問題でもありますか?ここでしたら殿下の様子を見てご相談も決裁もスムーズですもの。
あっご心配には及びません。得体の知れない愛などには侵されませんわ!』
『エレノアの言いたい事は理解した。ではしばらくして問題があれば、元に戻すという事でよいか?』
ウィリアムは降参とでもいう表情で答えた。
『もちろんです!』
エレノアは瞳を輝かせ、後ろの扉を開けると廊下からパーテーションが運ばれ、次々と備品が運ばれてきた。
…もうかい!
テオドールは驚きハロルドを睨みつけるとハロルドは申し訳なさそうに頷いた。
…こうなるわな。やれやれだよ。
難色を示すハロルドにエレノアは気にする事無く
『じゃあ、手筈通りに頼むわよ?』
長い王宮の廊下を早足で歩く主を見つめながら
…やれやれだよ。全く。
ハロルドは心の声を押し殺し必死に前の主を追った。
『失礼します!』
元気よく声をあげるエレノアの後ろで逃げ出したい衝動に駆られるハロルド。
『入れ。』
部屋の中から落ち着いた声が掛かるとエレノアは扉を開けて中に入った。
エレノアとハロルドの入室にウィリアムの側近テオドールがまずは反応する。
『いかがされましたか?』
エレノアは余裕の笑みで
『本日は殿下にお願いがあって参りましたの。』
お願い。2人は顔を見合わせるとウィリアムは静かに頷く。
『何かな?』
ウィリアムはデスクから立ち上がるとソファに腰を下ろした。
『私の執務室ですが、この無駄に広い王宮の端。そう殿下の執務室から真逆にございますでしょう?あまりに遠く大変なので移して頂こうかと。』
良くわからない2人を相手に尚も続ける。
『ですから急ぎの決裁もわざわざここまで足を運ぶ時間が勿体ないと申しております。』
テオドールは軽く頷くと
『妃殿下が、直々足を運ばれる訳でもあるまいしですね…』
『誰が足を運ぶかなど問題ではございませんわ。その時間が勿体ないと申しております。
そもそも何故あんなに離れた所にありますの?あれでは憎き妃に会いたくないという思惑かもしくは顔を頻繁に合わせていれば妃はいずれ殿下に絆されるという自意識過剰かどちらなのです?』
…少しはオブラートに包めよ。
ハロルドは後ろで青ざめている。
…。
テオドールが頭を巡らせているとウィリアムが口を開いた。
『そういう訳では無いと思うが…。で?エレノアはどうしたいと?』
エレノアは満足気に頷くとウィリアムの執務室をぐるりと見渡し
『こちらに移して頂きたいのです!』
これにはテオドールが立ち上がり
『交換しろと?』
エレノアは驚き
『テオドール、私の話を聞いておりましたか?それでは問題解決とならないでしょう?』
『では?』
『ですからこの広い執務室に間借りしたいと申しておりますの。』
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ウィリアムとテオドールは驚き目を見開いた。
その様子をハロルドはバツの悪そうな表情で見つめていた。
『うん、広さは十分ね。ここにパーテーションを置けばよろしくて?出入り口は後ろを使わせて頂きますね?』
『いやいや、勝手に話を進められては困ります!』
焦るテオドールに
『何か問題でもありますか?ここでしたら殿下の様子を見てご相談も決裁もスムーズですもの。
あっご心配には及びません。得体の知れない愛などには侵されませんわ!』
『エレノアの言いたい事は理解した。ではしばらくして問題があれば、元に戻すという事でよいか?』
ウィリアムは降参とでもいう表情で答えた。
『もちろんです!』
エレノアは瞳を輝かせ、後ろの扉を開けると廊下からパーテーションが運ばれ、次々と備品が運ばれてきた。
…もうかい!
テオドールは驚きハロルドを睨みつけるとハロルドは申し訳なさそうに頷いた。
…こうなるわな。やれやれだよ。
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