愛するということ【完】

mako

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帝国へ

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年に一度の帝国での交流会に向かう事になった2人は留守を守る第2王子ハインリッヒとハロルドに引き続きを終えた。

日頃エレノアと3人で執務をこなすハインリッヒとハロルドは問題なく留守を任せられる。安心しているウィリアムとは裏腹に側近のテオドールは目の前の王太子夫妻を不安そうに見つめていた。


訳ありの夫婦。揃って外交に出るのは初めてである。この言わばお守り役に同じ公爵令息であるハロルドは呑気にお留守番となればテオドールも穏やかではない。


…何で俺だけ貧乏くじなんだよ。


テオドールは愛を信じない、いや知らない2人を促しヴェルヘルト大王国を出立した。






ウィリアムは目の前で馬車な窓からの景色を楽しむエレノアを目を細めて眺めていた。


…まるで幼子のようだ。


『エレノア、帝国へは?』

エレノアはウィリアムの方へ向き直し

『アミュレットにいた頃は年に一度から2度ほど訪問しておりましたわ。何度訪れても毎回ワクワクしますわ。』


…ワクワクって。


『そうか、だが今回は王太子妃としての訪問だ。勝手が違うだろうが大丈夫か?』


『…?そうなのですか?まあ、大丈夫ですよ。私はいつも出たとこ勝負ですから(笑)』


笑ってはいられないウィリアムではあるが、こう言っていても郷に入れば郷に従う事の出来る妃に静かに頷いた。


『ところで、ハインリはどうだ?』


ウィリアムが何気なしに口にするとエレノアは不思議そうに話す。

『殿下ですか?どうとは?』


考えなしに口にしたことを後悔するウィリアムであったが

『いや、特別な意味はないが最近公務を勢力的にこなしているようだからね。』


『最近なのですか?とても優秀でいらっしゃるのに。私が分からない事も丁寧に教えて下さりますし、ただ…』


言葉を選ぶエレノアにウィリアムは

『ただ?』

『その、私であれば義務は公務。その義務を果たせば後は自由時間ですよね?殿下はその義務を夜な夜な果たされている訳で、その他は自由時間であるのに昼間の公務までこなされていると自由時間が無いのではないかと…案じてはおります。』


…。押し黙るウィリアム。


『ご遠慮頂いた方がよろしいですか?』


想定外の問にウィリアムは我に返り


『いや、本来昼間の公務が王子の使命であるからそこは大丈夫。エレノアが気にする事ではないよ。』


小さく微笑みを見せると安心したようにエレノアは窓の外を楽しそうに眺めている。


このところハインリッヒは王宮に女性を寄せ付けない様にしている。もちろん後継者を作ることもしていない。それはそれで困るのだが本来の姿に戻って公務を行う弟に安堵する自分も居る。ウィリアムはハインリッヒの思惑を感じながらもどうする術もなく目の前のエレノアをただ見つめていた。



帝国訪問の際は各国は迎賓館に滞在する。幾つもある迎賓館の最も格式の高い【雅】と称される迎賓館に馬車はゆっくりと止まった。

ウィリアムは馬車を降りるとエレノアに手を伸ばす。エレノアは美しい所作で馬車を降りると真っ直ぐに前を見据えた。


その立ち居振る舞いには出迎えの帝国騎士らもゴクリと息を飲んだ。

『ようこそ、いらっしゃいました。』

張り付けた様な笑顔の男にウィリアムは

『歓迎、痛み入る』

とだけ話すと2人は【雅】の中へ案内を受けた。







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