愛するということ【完】

mako

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朗報再び

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『心労が溜まってたのよ。』

リネットが治療を受ける隣の部屋でシンシアはアルビオンを睨みながらため息をついた。

重々しい空気が漂う中、医師がウィリアムの元へやって来た。

一同が見守る中、ウィリアムは一瞬目を見開きすぐに表情を緩めて微笑んだ。


『そうか、ご苦労であった。』


ウィリアムを凝視するアルビオンに

『大事無い。心配は無用だと言う事だ。但し義姉上の帰国はしばらく控えた方が良さそうです。』

『どこか悪いのか?』


ウィリアムは王子様スマイルで


『いいえ。どこも悪くはありません。皇太子妃はご懐妊だそうですよ。さあ、側へ行ってらしたらどうですか?』

アルビオンはウィリアムの言葉の途中で既に部屋を出て隣のリネットの元へ駆け込んだ。 


『やれやれだね。でもおめでたい事だからね。』

ウィリアムは安堵の笑みで一同に応えた。


帝国皇太子妃でなければ分からない重圧から、なかなか懐妊の兆候が見られず揃って心を痛めていた2人が紆余曲折を経てようやく穏やかな時間が流れるようになった。




ウィリアムは大きな難を越え、ようやく自身の幸せと向かい合う事が出来る事に久々の喜びを感じ急ぎエレノアを連れ部屋に戻って行った。


テオドールは広い部屋からいつの間にかハロルドが居なくなっているのに気づいた時には、時すでに遅し。シンシアと2人となり何故か睨みを一身に浴びている。



…何で?ってかさ、あんた俺を求めて亡命未遂してたよね?


『お送りします。』

テオドールの言葉に返すことなく部屋を出るシンシア。

…あんた1人では部屋に戻れないよ?ヴェルヘルトは無駄に広いからね。



テオドールの予想通りしばらく行くとシンシアは振り返り


『早く!』


…はいはい、仰せのままに。


テオドールは苦笑いを浮かべシンシアを部屋まで案内をする大役を果たしたのである。





『エレノア、体調はどう?大丈夫だった?』


この一連の騒動の中、ウィリアムとエレノアの間にも間違い無く溝か出来ていた。ウィリアムもエレノアの自身の事を後回しにして動いていたからだ。



『殿下、ごめんなさい。』


ウィリアムは驚き


『何?どっか痛い?』


エレノアは首を振るとウィリアムの胸に顔を埋めた。


『どうしたの?』

エレノアを撫でながら背中に手を回し優しく包みこんだ。 

『自覚が足りませんでした。』

呟くエレノアに


『こんなに早くに妃殿下としての役割を果たすエレノアに自覚が足りないなんて事はないさ。でもね私は後継者はもちろん。エレノアとの子どもが産まれる事に何より嬉しく待ち遠しいんだ。』


『私はシンシアお姉様のように子だくさんの母になります故、殿下にはその…側妃は要りませんよ?』


ウィリアムは驚き


『そんなの何処でも覚えてきたの?』

ウィリアムは真っ赤になってエレノアを抱き込んだ。


ヴェルヘルト王宮では二組の夫婦か絆を深めている中、シンシアは1人になり広く感じる客間にテオドールを呼び付けると


『ほら、何かの縁だからもう私たちはお友達ね?』


…何の縁だよ。知らねえよ。


テオドールの心の声はダダ漏れである。
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