57 / 61
朗報再び
しおりを挟む
『心労が溜まってたのよ。』
リネットが治療を受ける隣の部屋でシンシアはアルビオンを睨みながらため息をついた。
重々しい空気が漂う中、医師がウィリアムの元へやって来た。
一同が見守る中、ウィリアムは一瞬目を見開きすぐに表情を緩めて微笑んだ。
『そうか、ご苦労であった。』
ウィリアムを凝視するアルビオンに
『大事無い。心配は無用だと言う事だ。但し義姉上の帰国はしばらく控えた方が良さそうです。』
『どこか悪いのか?』
ウィリアムは王子様スマイルで
『いいえ。どこも悪くはありません。皇太子妃はご懐妊だそうですよ。さあ、側へ行ってらしたらどうですか?』
アルビオンはウィリアムの言葉の途中で既に部屋を出て隣のリネットの元へ駆け込んだ。
『やれやれだね。でもおめでたい事だからね。』
ウィリアムは安堵の笑みで一同に応えた。
帝国皇太子妃でなければ分からない重圧から、なかなか懐妊の兆候が見られず揃って心を痛めていた2人が紆余曲折を経てようやく穏やかな時間が流れるようになった。
ウィリアムは大きな難を越え、ようやく自身の幸せと向かい合う事が出来る事に久々の喜びを感じ急ぎエレノアを連れ部屋に戻って行った。
テオドールは広い部屋からいつの間にかハロルドが居なくなっているのに気づいた時には、時すでに遅し。シンシアと2人となり何故か睨みを一身に浴びている。
…何で?ってかさ、あんた俺を求めて亡命未遂してたよね?
『お送りします。』
テオドールの言葉に返すことなく部屋を出るシンシア。
…あんた1人では部屋に戻れないよ?ヴェルヘルトは無駄に広いからね。
テオドールの予想通りしばらく行くとシンシアは振り返り
『早く!』
…はいはい、仰せのままに。
テオドールは苦笑いを浮かべシンシアを部屋まで案内をする大役を果たしたのである。
『エレノア、体調はどう?大丈夫だった?』
この一連の騒動の中、ウィリアムとエレノアの間にも間違い無く溝か出来ていた。ウィリアムもエレノアの自身の事を後回しにして動いていたからだ。
『殿下、ごめんなさい。』
ウィリアムは驚き
『何?どっか痛い?』
エレノアは首を振るとウィリアムの胸に顔を埋めた。
『どうしたの?』
エレノアを撫でながら背中に手を回し優しく包みこんだ。
『自覚が足りませんでした。』
呟くエレノアに
『こんなに早くに妃殿下としての役割を果たすエレノアに自覚が足りないなんて事はないさ。でもね私は後継者はもちろん。エレノアとの子どもが産まれる事に何より嬉しく待ち遠しいんだ。』
『私はシンシアお姉様のように子だくさんの母になります故、殿下にはその…側妃は要りませんよ?』
ウィリアムは驚き
『そんなの何処でも覚えてきたの?』
ウィリアムは真っ赤になってエレノアを抱き込んだ。
ヴェルヘルト王宮では二組の夫婦か絆を深めている中、シンシアは1人になり広く感じる客間にテオドールを呼び付けると
『ほら、何かの縁だからもう私たちはお友達ね?』
…何の縁だよ。知らねえよ。
テオドールの心の声はダダ漏れである。
リネットが治療を受ける隣の部屋でシンシアはアルビオンを睨みながらため息をついた。
重々しい空気が漂う中、医師がウィリアムの元へやって来た。
一同が見守る中、ウィリアムは一瞬目を見開きすぐに表情を緩めて微笑んだ。
『そうか、ご苦労であった。』
ウィリアムを凝視するアルビオンに
『大事無い。心配は無用だと言う事だ。但し義姉上の帰国はしばらく控えた方が良さそうです。』
『どこか悪いのか?』
ウィリアムは王子様スマイルで
『いいえ。どこも悪くはありません。皇太子妃はご懐妊だそうですよ。さあ、側へ行ってらしたらどうですか?』
アルビオンはウィリアムの言葉の途中で既に部屋を出て隣のリネットの元へ駆け込んだ。
『やれやれだね。でもおめでたい事だからね。』
ウィリアムは安堵の笑みで一同に応えた。
帝国皇太子妃でなければ分からない重圧から、なかなか懐妊の兆候が見られず揃って心を痛めていた2人が紆余曲折を経てようやく穏やかな時間が流れるようになった。
ウィリアムは大きな難を越え、ようやく自身の幸せと向かい合う事が出来る事に久々の喜びを感じ急ぎエレノアを連れ部屋に戻って行った。
テオドールは広い部屋からいつの間にかハロルドが居なくなっているのに気づいた時には、時すでに遅し。シンシアと2人となり何故か睨みを一身に浴びている。
…何で?ってかさ、あんた俺を求めて亡命未遂してたよね?
『お送りします。』
テオドールの言葉に返すことなく部屋を出るシンシア。
…あんた1人では部屋に戻れないよ?ヴェルヘルトは無駄に広いからね。
テオドールの予想通りしばらく行くとシンシアは振り返り
『早く!』
…はいはい、仰せのままに。
テオドールは苦笑いを浮かべシンシアを部屋まで案内をする大役を果たしたのである。
『エレノア、体調はどう?大丈夫だった?』
この一連の騒動の中、ウィリアムとエレノアの間にも間違い無く溝か出来ていた。ウィリアムもエレノアの自身の事を後回しにして動いていたからだ。
『殿下、ごめんなさい。』
ウィリアムは驚き
『何?どっか痛い?』
エレノアは首を振るとウィリアムの胸に顔を埋めた。
『どうしたの?』
エレノアを撫でながら背中に手を回し優しく包みこんだ。
『自覚が足りませんでした。』
呟くエレノアに
『こんなに早くに妃殿下としての役割を果たすエレノアに自覚が足りないなんて事はないさ。でもね私は後継者はもちろん。エレノアとの子どもが産まれる事に何より嬉しく待ち遠しいんだ。』
『私はシンシアお姉様のように子だくさんの母になります故、殿下にはその…側妃は要りませんよ?』
ウィリアムは驚き
『そんなの何処でも覚えてきたの?』
ウィリアムは真っ赤になってエレノアを抱き込んだ。
ヴェルヘルト王宮では二組の夫婦か絆を深めている中、シンシアは1人になり広く感じる客間にテオドールを呼び付けると
『ほら、何かの縁だからもう私たちはお友達ね?』
…何の縁だよ。知らねえよ。
テオドールの心の声はダダ漏れである。
12
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~
水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」
夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。
王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。
「左様でございますか」
彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
尽くしてきた婚約者に裏切られたので、婚約を解消しました〜彼が愛に気づいたのは、すべてを失ったあとでした〜
ともどーも
恋愛
「今回で最後だ。誓うよ」
これは二度目の『結婚式キャンセル』の時に言われた言葉。
四年間、愛する婚約者ディートリッヒのため尽くし続けてきたイリス。
だがディートリッヒは、イリスの献身を当然のものとし、やがて初恋の令嬢エレノアを優先するようになる。
裏切り、誤解、そして理不尽な糾弾。
心も身体も限界を迎えた夜、イリスは静かに決意した。
──もう、終わらせよう。
ディートリッヒが「脅しのつもり」で差し出した婚約解消の書類を、イリスは本当に提出してしまう。
すべてを失ってから、ようやく自分の愛に気づいたディートリッヒ。
しかしもう、イリスは振り返らない。
まだ完結まで執筆が終わっていません。
20話以降は不定期更新になります。
設定はゆるいです。
お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる