愛するということ【完】

ヴェルヘルトにて

『アルビオン殿。貴殿はいつまでこちらに？』


ウィリアムは朝食のパンをつまみながら目の前でリネットを抱えるアルビオンに問うた。


『そんな邪魔そうに言わなくても!』　

抗議するアルビオンに


『そうではありませんが、帝国皇太子とやらは、ずいぶんとお暇なようで。』


ウィリアムの言葉に後ろに控える側近２人もまた自然に頷いた。


『暇ではない！優先順位の問題だ。』

アルビオンはリネットにフルーツを丁寧に口に運んでいる。


『…。そうゆうことはご自分の国に戻られてやってください。』

呆れるウィリアムにアルビオンは悪びれもなくに


『何を！我々は兄弟であるぞ？そもそも家族のようなものだろ？なぁノア？』


エレノアは困った様に


『はい、ですが…食事は好きな様に召し上がりたいのでは？お姉様…？』

エレノアはリネットに視線を流すも心配するエレノアを他所にリネットは幸せそうにアルビオンを見つめている。


…。

…。


心の声を必死に抑える側近２人。　

エレノアは困り果てたように

『お姉様がよろしいなら私は…』


…妃殿下、わかる。そうなるわな。

テオドールはエレノアに同情の視線を送り食事を終えたウィリアムとともに執務室に向かった。


エレノアとハロルドもまた苦笑いで２人の後を追う。残された２人はゆっくりと余暇を楽しんでいた。


それから半月ほど２人はヴェルヘルトでの生活を満喫し帝国へと戻って行ったとの事である。