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降り掛かる火の粉
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レイモンドは不穏な動きに警戒をしつつ、過ごしていたある日、アナスタージアの実家ヴィラ候爵家の領地から大量の隠し資産が発見された。そしてその出どころは何とマーサ伯爵家というのだ。
マーサ伯爵家は娘のヴィクトリアが王太子妃としての執務をヴィラ候爵家のアナスタージアが行うとなりヴィラ候爵家より多大な費用を請求されていたというのだ。
そんなバカな事は無い。レイモンドもアレクセイとマーサ伯爵夫人とヴィラ候爵夫人の言い争いを間近で見たがそんな事を要求する候爵夫人ではなかった。
しかし、マーサ伯爵家の帳簿にははっきりとアナスタージアが側妃になった月よりの支出が確認出来たのである。
そしてこの話は噂として街中に流されていてもはや旬の話題となっていた。
ヴィラ候爵と夫人は直ちに身柄を拘束され王宮で事情聴取を受けている。
『アナスタージア、今日はもう部屋に戻れ。』
レイモンドが声を掛けると
『私はお父様とお母様を信じております。またメープル王国も信じております。直に疑いなど晴れるでしょう。』
毅然と振る舞うアナスタージアをレイモンドは眩しく見つめそれ以上はその話題に触れなかった。
その静かな時間がどれくらい過ぎた頃であろうか廊下から騒がしい声がこちらに向かってくる。アレクセイではないが、レイモンドも鍵を閉めたくなったが無念にも扉はまた開かれた。
『アナスタージア様!ひどいわ!どうしてわが家を苦しめるのですか?わが家はしがない伯爵家。そんな家からむしり取らなくても候爵家は潤っておいででしょう?』
大袈裟に涙を流し、これまた大袈裟に侍女たちが肩を抱く。
レイモンドが口を開く前にアナスタージアは
『本当にひどいお話ですわね?私も驚いておりますの』
静かに語るアナスタージアに
『何を他人事みたいに。あなたには恐喝の血が流れているのよ?恥を知りなさい!貴女を見込んで執務を任せていたけれど、これでは安心して任せられないわ。私が変わるから貴女は部屋に戻りなさい!』
睨み付けるヴィクトリアにレイモンドが
『妃殿下に執務ができるのですか?』
全うな質問を投げてみた。
ヴィクトリアはニヤリと笑い、
『他の伯爵令嬢と一緒にされては困るわ。』
そう、ヴィクトリアはマナーなど躾の部分では落第点ではあるが、頭は悪くない。学園トップクラスの成績だったのだから!と意気込んでいるが、そもそも上級貴族は学園には通っていない事をヴィクトリアは考えもしていない。
『困ったな‥』
レイモンドの心の声である。
とはいえ、王太子妃殿下からの命令である。
アナスタージアは膝をしっかり折り部屋を後にした。
残されたレイモンドは怪訝そうにヴィクトリアを見るがヴィクトリアは椅子に座り書類を見つめる。
しばらく観察すると、どうやらしっかり読み込んでいる。
驚く程の集中力。時に目を瞑り何度も、読み込んでいる。
レイモンドは安堵し自分の書類に目を通す。
しばらくするとヴィクトリアは席を立ち部屋を出て行き、直ぐに戻ってきた。
それを5回目にレイモンドは声を掛けた。
『どちらに?』
ヴィクトリアは恥ずかしそうに
『お手洗いへ‥』
『し、失礼しました。』
‥なんだ腹壊してんのかよ。
レイモンドは静かに後ろに控える補佐であろう男に顔だけ前へ振ると男は瞬時に部屋を飛び出した。
マーサ伯爵家は娘のヴィクトリアが王太子妃としての執務をヴィラ候爵家のアナスタージアが行うとなりヴィラ候爵家より多大な費用を請求されていたというのだ。
そんなバカな事は無い。レイモンドもアレクセイとマーサ伯爵夫人とヴィラ候爵夫人の言い争いを間近で見たがそんな事を要求する候爵夫人ではなかった。
しかし、マーサ伯爵家の帳簿にははっきりとアナスタージアが側妃になった月よりの支出が確認出来たのである。
そしてこの話は噂として街中に流されていてもはや旬の話題となっていた。
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毅然と振る舞うアナスタージアをレイモンドは眩しく見つめそれ以上はその話題に触れなかった。
その静かな時間がどれくらい過ぎた頃であろうか廊下から騒がしい声がこちらに向かってくる。アレクセイではないが、レイモンドも鍵を閉めたくなったが無念にも扉はまた開かれた。
『アナスタージア様!ひどいわ!どうしてわが家を苦しめるのですか?わが家はしがない伯爵家。そんな家からむしり取らなくても候爵家は潤っておいででしょう?』
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レイモンドが口を開く前にアナスタージアは
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『何を他人事みたいに。あなたには恐喝の血が流れているのよ?恥を知りなさい!貴女を見込んで執務を任せていたけれど、これでは安心して任せられないわ。私が変わるから貴女は部屋に戻りなさい!』
睨み付けるヴィクトリアにレイモンドが
『妃殿下に執務ができるのですか?』
全うな質問を投げてみた。
ヴィクトリアはニヤリと笑い、
『他の伯爵令嬢と一緒にされては困るわ。』
そう、ヴィクトリアはマナーなど躾の部分では落第点ではあるが、頭は悪くない。学園トップクラスの成績だったのだから!と意気込んでいるが、そもそも上級貴族は学園には通っていない事をヴィクトリアは考えもしていない。
『困ったな‥』
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とはいえ、王太子妃殿下からの命令である。
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残されたレイモンドは怪訝そうにヴィクトリアを見るがヴィクトリアは椅子に座り書類を見つめる。
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