42 / 76
不穏な動き2
しおりを挟む
ヴィラ候爵拘束はあっという間に社交界へ広がり、それは日に日に酷くなり、今ではヴィラ候爵家から王家へ火種を移し、ステファニー様待望論までに飛躍していた。
ステファニー様との婚約破棄の失態をカモフラージュするために急がれた婚儀。それが今になってぶり返している。
何かが動いている。
そんな中、予定より早くアレクセイが戻ってきた。
『レイモンド!どうなっている?』
レイモンドはすかさず礼を取り
『申し訳ありません。』
『そんな事はよい、詳細を』
レイモンドが全てを話し終えるとアレクセイは
『ヴィクトリアにこんな力は無いであろう?いつからだハロルドとの繋がりは?』
アレクセイがレイモンドに問うと
『私も知る限り無いのですが、私がこちらを離れていた頃に接触したようです。』
アレクセイは唇を噛みしめ
『私が狂っていた時か‥』
『わからない事がもう一つ。そのハロルドがバーナディン公爵令息との繋がりがあるようで。』
『なに?ステファニーの兄上と?』
‥わからん。
アレクセイは静かに口を開く。
『ここは黙って静観する。』
真っすぐに窓の外を眺める主の背中をレイモンドは黙って見つめた。
日に日に反対勢力の動きが活発になりいよいよかというところでアレクセイは動きに出た。
『ルシャード・バーナディン公爵令息をお連れしました。』
『入れ』
ルシャードは最上級の礼を取る。アレクセイはしっかり見届けやがて
『楽にせよ』
2人はソファに向かい合い腰を掛けた。
『久方ぶりだね、ルシャード』
安定の王子スマイルにルシャードは変わらず
『お久しぶりでございます。』
と端的に返した。
『ステファニーの件では申し訳なかったな。』
アレクセイが真っすぐ見据えるとルシャードは
『お気遣いは無用にございます。』
『仮面家族であるからか?』
社交界のご法度を王太子自らが口にした。
『いえ、そのような事でございません、我々家族は外からどう思われているかは存じておりますが、それでもバーナディン公爵家はバーナディン公爵家、志は1つにございます。』
ルシャードは珍しくアレクセイの目をみて話す。
『王家への忠誠か?』
『もちろん。』
『では、兄としては?』
『‥我々は血の繋がりはございませんが、同じ屋根の下暮らす家族でございます。よそとは異なる形であろうと、ステファニーと私はそれしか知りませんので。私にとってステファニーは大切な妹ですから。』
『何故、それをステファニーに伝えてやらん?』
ルシャードは目を見開いた。
『殿下、殿下のお話しはこれですか?』
『まあ、ルシャードには一度きちんと詫びなければと思っていたからね。もちろん公爵にも。』
『勿体ないお言葉‥』
『ステファニーは素晴らしい令嬢で完璧な婚約者であったな。だがな、完璧すぎて私には息が詰まったのも事実。もちろんステファニーが悪いのではない。私が至らなかっただけのこと。だからこそステファニーの幸せを誰よりも望んでいるつもりだ。』
‥
『わ、私もです。あんなに可愛らしい妹が出来た日のことを忘れた事はありません。でも公爵家の跡取り息子にある日突然なり、あのドライな空気で、育つステファニーを救えなかった。何故なら父もステファニーを愛していましたから。ああ見えて親なのですよ。』
『揃いも揃って不器用なのだな。』
2人は小さく笑いあった。
ステファニー様との婚約破棄の失態をカモフラージュするために急がれた婚儀。それが今になってぶり返している。
何かが動いている。
そんな中、予定より早くアレクセイが戻ってきた。
『レイモンド!どうなっている?』
レイモンドはすかさず礼を取り
『申し訳ありません。』
『そんな事はよい、詳細を』
レイモンドが全てを話し終えるとアレクセイは
『ヴィクトリアにこんな力は無いであろう?いつからだハロルドとの繋がりは?』
アレクセイがレイモンドに問うと
『私も知る限り無いのですが、私がこちらを離れていた頃に接触したようです。』
アレクセイは唇を噛みしめ
『私が狂っていた時か‥』
『わからない事がもう一つ。そのハロルドがバーナディン公爵令息との繋がりがあるようで。』
『なに?ステファニーの兄上と?』
‥わからん。
アレクセイは静かに口を開く。
『ここは黙って静観する。』
真っすぐに窓の外を眺める主の背中をレイモンドは黙って見つめた。
日に日に反対勢力の動きが活発になりいよいよかというところでアレクセイは動きに出た。
『ルシャード・バーナディン公爵令息をお連れしました。』
『入れ』
ルシャードは最上級の礼を取る。アレクセイはしっかり見届けやがて
『楽にせよ』
2人はソファに向かい合い腰を掛けた。
『久方ぶりだね、ルシャード』
安定の王子スマイルにルシャードは変わらず
『お久しぶりでございます。』
と端的に返した。
『ステファニーの件では申し訳なかったな。』
アレクセイが真っすぐ見据えるとルシャードは
『お気遣いは無用にございます。』
『仮面家族であるからか?』
社交界のご法度を王太子自らが口にした。
『いえ、そのような事でございません、我々家族は外からどう思われているかは存じておりますが、それでもバーナディン公爵家はバーナディン公爵家、志は1つにございます。』
ルシャードは珍しくアレクセイの目をみて話す。
『王家への忠誠か?』
『もちろん。』
『では、兄としては?』
『‥我々は血の繋がりはございませんが、同じ屋根の下暮らす家族でございます。よそとは異なる形であろうと、ステファニーと私はそれしか知りませんので。私にとってステファニーは大切な妹ですから。』
『何故、それをステファニーに伝えてやらん?』
ルシャードは目を見開いた。
『殿下、殿下のお話しはこれですか?』
『まあ、ルシャードには一度きちんと詫びなければと思っていたからね。もちろん公爵にも。』
『勿体ないお言葉‥』
『ステファニーは素晴らしい令嬢で完璧な婚約者であったな。だがな、完璧すぎて私には息が詰まったのも事実。もちろんステファニーが悪いのではない。私が至らなかっただけのこと。だからこそステファニーの幸せを誰よりも望んでいるつもりだ。』
‥
『わ、私もです。あんなに可愛らしい妹が出来た日のことを忘れた事はありません。でも公爵家の跡取り息子にある日突然なり、あのドライな空気で、育つステファニーを救えなかった。何故なら父もステファニーを愛していましたから。ああ見えて親なのですよ。』
『揃いも揃って不器用なのだな。』
2人は小さく笑いあった。
1
あなたにおすすめの小説
ハーレム系ギャルゲの捨てられヒロインに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!
ゴルゴンゾーラ三国
恋愛
ハーレム系ギャルゲー『シックス・パレット』の捨てられヒロインである侯爵令嬢、ベルメ・ルビロスに転生した主人公、ベルメ。転生したギャルゲーの主人公キャラである第一王子、アインアルドの第一夫人になるはずだったはずが、次々にヒロインが第一王子と結ばれて行き、夫人の順番がどんどん後ろになって、ついには婚約破棄されてしまう。
しかし、それは、一夫多妻制度が嫌なベルメによるための長期に渡る計画によるもの。
無事に望む通りに婚約破棄され、自由に生きようとした矢先、ベルメは元婚約者から、新たな婚約者候補をあてがわれてしまう。それは、社交も公務もしない、引きこもりの第八王子のオクトールだった。
『おさがり』と揶揄されるベルメと出自をアインアルドにけなされたオクトール、アインアルドに見下された二人は、アインアルドにやり返すことを決め、互いに手を取ることとなり――。
【この作品は、別名義で投稿していたものを改題・加筆修正したものになります。ご了承ください】
【この作品は『小説家になろう』『カクヨム』にも掲載しています】
アンジェリーヌは一人じゃない
れもんぴーる
恋愛
義母からひどい扱いされても我慢をしているアンジェリーヌ。
メイドにも冷遇され、昔は仲が良かった婚約者にも冷たい態度をとられ居場所も逃げ場所もなくしていた。
そんな時、アルコール入りのチョコレートを口にしたアンジェリーヌの性格が激変した。
まるで別人になったように、言いたいことを言い、これまで自分に冷たかった家族や婚約者をこぎみよく切り捨てていく。
実は、アンジェリーヌの中にずっといた魂と入れ替わったのだ。
それはアンジェリーヌと一緒に生まれたが、この世に誕生できなかったアンジェリーヌの双子の魂だった。
新生アンジェリーヌはアンジェリーヌのため自由を求め、家を出る。
アンジェリーヌは満ち足りた生活を送り、愛する人にも出会うが、この身体は自分の物ではない。出来る事なら消えてしまった可哀そうな自分の半身に幸せになってもらいたい。でもそれは自分が消え、愛する人との別れの時。
果たしてアンジェリーヌの魂は戻ってくるのか。そしてその時もう一人の魂は・・・。
*タグに「平成の歌もあります」を追加しました。思っていたより歌に注目していただいたので(*´▽`*)
(なろうさま、カクヨムさまにも投稿予定です)
悪役令嬢の役割は終えました(別視点)
月椿
恋愛
この作品は「悪役令嬢の役割は終えました」のヴォルフ視点のお話になります。
本編を読んでない方にはネタバレになりますので、ご注意下さい。
母親が亡くなった日、ヴォルフは一人の騎士に保護された。
そこから、ヴォルフの日常は変わっていく。
これは保護してくれた人の背に憧れて騎士となったヴォルフと、悪役令嬢の役割を終えた彼女とのお話。
この度娘が結婚する事になりました。女手一つ、なんとか親としての務めを果たし終えたと思っていたら騎士上がりの年下侯爵様に見初められました。
毒島かすみ
恋愛
真実の愛を見つけたと、夫に離婚を突きつけられた主人公エミリアは娘と共に貧しい生活を強いられながらも、自分達の幸せの為に道を切り開き、幸せを掴んでいく物語です。
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
竜皇帝陛下の寵愛~役立たずの治癒師は暗黒竜に今日も餌付けされ中!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリリアーナ・アンシーは社交界でも醜い容姿故にアザラシ姫と呼ばれていた。
そんな折、敵対する竜の国との平和条約の為に生贄を差し出すことになった。
その相手は純白の聖女と呼ばれるサンドラだったが国の聖女を差し出すわけにも行かず、リリアーナが身代わりを務めることになった。
辺境伯爵令嬢ならば国の為に働くべきだと泣く泣く苦渋の選択をした婚約者だったが体よくリリアーナを国から追い出し、始末する魂胆が丸見えだった。
王も苦渋の選択だったがリリアーナはある条件を付け了承したのだ。
そして決死の覚悟で敵国に迎えられたはずが。
「君が僕のお嫁さんかい?とりあえず僕の手料理を食べてくれないかな」
暗黒竜と恐れられた竜皇帝陛下は何故か料理を振る舞い始めた。
「なるほどコロコロ太らせて食べるのか」
頓珍漢な勘違いをしたリリアーナは殺されるまで美味しい物を食べようと誓ったのだが、何故か食べられる気配はなかった。
その頃祖国では、聖女が結界を敷くことができなくなり危機的状況になっていた。
世界樹も聖女を拒絶し、サンドラは聖女の地位を剥奪されそうになっていたのだった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる