2 / 5
アッシュクアハランのカフェ
しおりを挟むアトラテラルの湖畔近郊から南に移動する道中、大陸中央から東の王国に続く【アッシュクアハラン】、遠くの皆さんの国の言葉に直訳すると【琥珀の道】と呼ばれるこの道は、北部の琥珀の原産地から南方の王国へ琥珀を輸出する目的で整備された歴史を持っている。
現在では国家間の公益が増加した影響で更に人往来が増えた事で、より厳重な警備が行われていて治安が良く、所々の関所で関税を取られ難点があるものの、全然性の高い人気の陸路だ。
南の大国、バイロン王国では近年大規模な蝗害が発生していると噂で聞いている。
その噂のせいでバイロン系の通貨は大きく価値を下げていた、私のような個人の両替商にとってはこの噂の真偽がとても重要であり、もし本当なのであれば手持ちのバイロン通貨の数を減らす必要があった。
【ハドリア公爵の墓は無かった】ということわざが私の国にはある、皆さんの国では【百聞は一見にしかず】と同義のことわざだ、ハドリア公爵という有名な貴族が死んだと噂されていたが、いざ足を運べば生きていた、という逸話から生まれた言葉だ。
バイロン王国の蝗害だって実際発生しているかは定かじゃない、足を運ばないと真相はいつまで立っても闇の中だ、それにもしこの噂が間違いであればバイロン王国で安値の通貨を不安要素を払拭した状態で仕入れられる。
旅のついでに商売をしている私だが、旅先は儲けそうなところを狙って旅をしているのだ。
そんなところで、大陸中央からアッシュクアハラン経由で南部に向かう、アッシュクアハランの途中の交易都市で一度宿泊して、そこから相乗り馬車を使う予定だ。
交易都市までは徒歩で移動して半日程度、紅葉している木々を眺めながらの移動は気持ちのいいもので、時折すれ違い人々の会話を聞いたり、人間観察をしながら目的地まで黙々と移動する。
そんな道中、道の脇に1件の建物を見つける。
木造建てで少し植物のツタが巻き付いているその建物はお食事処のようだった、ちょうどお腹も空いていた私は早速そのお店に入る。
お店の中はなかなか忙しそうだった、私はカウンター席についてテーブルの上に置いてあるメニューを見る。
注文しようとして店員さんを見ると、黒い髪の毛の中から出ている獣耳が目に入った、ピッグハロンの女性である、人間の耳の他に頭に豚のような耳が生えている種族だ。
色々な場所を訪れている私でもピッグハロンを見たのは初めてだった、スラッとしていて大人っぽく少し憧れてしまう、どちらかといえば私はチンチクリンなので大人な女性は羨ましい。
「サンドイッチと紅茶、砂糖無しでお願いします」
「はいかしこまりました」
ピッグハロンの店員さんにオーダーを出し、私はスマホで遠い世界のニュースを見る。
このスマホを手に入れてからというものの少し空いた時間にはついつい触ってしまう依存性がある、遠い世界の皆さんはこれ以外にも様々な便利な道具があるというのだから、便利すぎて逆に疲れてしまいそうだとさえ思う。
「うわぁ、凄いなぁ、遠い世界は大変そうだ」
今見ていたニュースは大雨で橋が落ちたというニュースだった、大陸中央は天候が温暖でこういった災害はほぼ起こった歴史がない、それこそ今向かう南部なんかは天候に変化があって災害とかも起こるらしいが。
何より遠い世界の人々は橋が落ちたことをこうして直ぐ知れるというのが凄い、私なんかいざ行ってみたら橋が壊れててひどく遠回りをした経験が1度や2度ではない、羨ましい限りだった。
そうこうしている内にさっそく注文していた料理が届いた。
パンを口にほ織り込むと、異常なほどしょっぱい肉に水分を持ってかれるバサバサのパン、そして紅茶は色の付いたお湯だった、これがいい。
街から遠い場所にあるお食事処は保存の効く食材で調理せざるおえないから、基本的には美味しくない。
ある意味これも旅の醍醐味といったところで、この美味しくない料理を食べながら周囲の、色々な境遇、国、人種の人々が集まった中で、周囲の会話を聞きながら時間を過ごすのが楽しい。
それにしてもここまで紅茶が美味しくないのは珍しかった、この手の店の紅茶は風味は無いけどやけに苦い、というのが相場で味も匂いもここまで薄いのはそうそうお目にはかかれない。
そうして食事をしているなか、気になる会話が聞こえてきた。
「オーステリアに大聖堂が新設されたんだってよ」
「金持ってんなぁあそこ」
「凄えらしいぞ、教会関係者集まってわやだってよ」
次に向かう街がオーステリアだ、聖地アトラテラルに近いこともあり教会色の強い街だ。
大聖堂の新設直後ならば教会へ寄付をしたい人が街にわんさかいるはずだ、教会への寄付はアテラ銀貨と決まっていて、銅貨でも金貨でも駄目で銀貨だ、こうなってくると両替の需要が上がっていて結構吹っかけてもいい条件で両替が成立する。
「そろそろ出発するか、お金置いてきますね」
私はメニュー表通りザッパー銅貨15枚を置いて店を後にした。
次に向かう先は交易都市であり大聖堂の新設地、オーステリアだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
