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第十章 素直になれない気持ち

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加子じゃないと満足出来ねえ。

ああ、加子、お前が堪らなく欲しい。

蓮也はリビングでスマホが光っていることに気づく。

誰だよ、こんな時間に……

画面に映し出されたのは加子の文字だった。

蓮也はすぐに加子に折り返した。

加子は電話したことを後悔していた。

そこにスマホが鳴った。

画面は蓮也の文字。

蓮也さん。

「はい」

「加子、電話くれたよな、どうかしたか、何か困ってるのか」

加子は黙っていた。

「加子?困ってることがあるなら、力になる、言ってくれ」

加子はスマホを切った。

このまま繋がっていると、抱いて欲しいと言ってしまいそうだったから。

すぐにスマホの電源を落とした。

蓮也はすぐにかけ直したが、「電源が入っていないためかかりません」のメッセージが流れた。

加子、どうしたと言うんだ。

蓮也は居ても立っても居られず、加子のマンションへ向かった。

加子はスマホを握りしめて、じっと見つめていた。

その時、インターホンが鳴った。

画面には蓮也の姿が映し出されていた。

蓮也さん。

加子は応対した。

「はい」

「加子、開けてくれ」

「どんなご用ですか」

「何か俺に助けて欲しいことがあって、電話くれたんだろう」

加子は黙っていた。

「加子、開けてくれ」

加子はオートロックを解錠した。

蓮也は部屋に入ってきた。

加子は蓮也を見つめた。

蓮也はそんな加子に近づき、腕を引き寄せ抱きしめた。

蓮也にギュッと抱きしめられて、加子は蓮也の背中に腕を回した。
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