夜の帝王の一途な愛

ラヴ KAZU

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第ニ章 彼の秘密

契約結婚は口実なんだ

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「あゆみ、大丈夫だよ、ホテルの部屋借りて、少し休もうか」 
私は大きく頷き、彼と手を繋ぎ、エレベーターに乗った。フロントへ行き部屋の鍵を受け取り、スイートルームへ向かった。 
部屋に入ると彼はすぐに私を抱きしめてくれた。涙が止まらない。頬に伝わった涙を拭うように優しくキスをしてくれた。彼に抱きしめられて、彼だけにドキドキすることがわかり、彼への想いをより強く感じた。 
「あゆみ、ごめん、嫌な思いさせたな、でも皆素晴らしい奥様ですねって褒めていたよ」 
私はなんて答えて良いか言葉が見つからず唯々大きく横に首を振り、彼を見つめた。 
「俺、ずっとあゆみのこと守って行くから、俺の側にいてくれ」 
私は彼の言葉が嬉しくて、このまま彼を信じて着いていきたいと思う反面、契約結婚から始まった関係に、彼が本気になったなんてどうしても信じられなかった、二十五歳の彼が、もうすぐ四十歳を迎える私に・・・ 
私は次の瞬間思いもよらぬことを口にしていた、あえて今まで触れなかった事を・・・ 
「麻生さん、私、ずっと不思議に思っていました、私に対して大好きって言ってくれたり子供欲しいって言ったり、契約結婚なのにいつも優しくしてくれて、しかも今日はこんなに私を紹介して、麻生さんの奥さんが他の人になった時どうするのですか」 
「俺の奥さんはあゆみでずっと変わらないよあゆみが俺から離れても、何度でも連れ戻す、地の果てまで追いかけるよ」 
「私達契約結婚ですよね、なんでそんなに優しくしてくれるのですか」 
「あゆみを好きだからだよ」 
「いつからですか」 
彼は困った表情を見せて、言葉を探していた。 
「私は麻生さんと初めて会った日に、大好きになりました。毎日毎日また会いたいって思っていました、でも麻生さんが私を好きになったタイミングっていつなのか全然分からなくて、こんな短い時間に好きになって貰える程の魅力が私にあるとは思えません、だから・・・」 

「ごめん、契約結婚は口実だ」 
「えっ?」 
彼から真実が語られた。 
「あゆみと初めて会った日、怪我の手当てしてもらっただろう、そしておかゆ作ってくれて、初対面の俺に優しく接してくれて、すごく心惹かれた。あゆみを抱き寄せた時、心臓の鼓動が早くなるのを感じた。一緒に暮らしたいと思った。だからあゆみのこと調べさせてもらった、男は居ないのか、独身か、仕事はなにをしているのかとか・・・実は俺、五年前に好きな彼女が居て、一緒に暮らした事がある、ホストの仕事を隠して。でもそれがばれてしまって、ホストは信じられないって彼女は俺の元を去った。だからあゆみにホストの仕事をしている事を話ししなかった。どうしたら一緒に暮らせるか、必死に考えた、十五歳も年下の俺があゆみを好きになった、一緒に暮らしたいからといきなり言っても信じて貰えないだろうって思って、家政婦として働いて貰おうって考えた」 
彼は私の表情を確認しながら続けた。 
「でも、俺はあゆみが好きだから、結婚したかった。だけど急に結婚申し込んでも答えて貰える訳ないし、それで契約結婚を思いついた。一緒に暮らし初めて更にあゆみに惹かれて行く自分がいた。日に日にあゆみへの気持ちが大きくなり、抱きたいって思った、他の男に取られたくなかった。あゆみが居ないと、出て行ったのかと心配になる、だから早く子供欲しかった、何も言わずに出て行くことは出来ないだろう?五年前の彼女は黙って出て行ったからな」 
私は黙って彼の言葉に耳を傾けていた。 
「もし俺があゆみを好きになったからと交際申し込んだら、承諾してくれた?」 


「からかわれていると思って、お断りしていました」 
「やっぱりそうだよな」 
「今までも、何人かの男性に告白されましたけど、全部断ってきました」 
「そうか、だよな、あゆみの周りの男はなんで、放っておくのか不思議だった、放っておく訳ないよな」 
私は今までときめく男性に巡り合わなかっただけで、彼と出会った時人生で初めてときめいた。今彼が真実を語ってくれても、彼が私を出会った時に好きになっていたなんて信じられない、だからこの幸せは、いつかは消えてしまうのかなって思った。 
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