13 / 100
第ニ章 彼の秘密
契約結婚は口実なんだ
しおりを挟む
「あゆみ、大丈夫だよ、ホテルの部屋借りて、少し休もうか」
私は大きく頷き、彼と手を繋ぎ、エレベーターに乗った。フロントへ行き部屋の鍵を受け取り、スイートルームへ向かった。
部屋に入ると彼はすぐに私を抱きしめてくれた。涙が止まらない。頬に伝わった涙を拭うように優しくキスをしてくれた。彼に抱きしめられて、彼だけにドキドキすることがわかり、彼への想いをより強く感じた。
「あゆみ、ごめん、嫌な思いさせたな、でも皆素晴らしい奥様ですねって褒めていたよ」
私はなんて答えて良いか言葉が見つからず唯々大きく横に首を振り、彼を見つめた。
「俺、ずっとあゆみのこと守って行くから、俺の側にいてくれ」
私は彼の言葉が嬉しくて、このまま彼を信じて着いていきたいと思う反面、契約結婚から始まった関係に、彼が本気になったなんてどうしても信じられなかった、二十五歳の彼が、もうすぐ四十歳を迎える私に・・・
私は次の瞬間思いもよらぬことを口にしていた、あえて今まで触れなかった事を・・・
「麻生さん、私、ずっと不思議に思っていました、私に対して大好きって言ってくれたり子供欲しいって言ったり、契約結婚なのにいつも優しくしてくれて、しかも今日はこんなに私を紹介して、麻生さんの奥さんが他の人になった時どうするのですか」
「俺の奥さんはあゆみでずっと変わらないよあゆみが俺から離れても、何度でも連れ戻す、地の果てまで追いかけるよ」
「私達契約結婚ですよね、なんでそんなに優しくしてくれるのですか」
「あゆみを好きだからだよ」
「いつからですか」
彼は困った表情を見せて、言葉を探していた。
「私は麻生さんと初めて会った日に、大好きになりました。毎日毎日また会いたいって思っていました、でも麻生さんが私を好きになったタイミングっていつなのか全然分からなくて、こんな短い時間に好きになって貰える程の魅力が私にあるとは思えません、だから・・・」
「ごめん、契約結婚は口実だ」
「えっ?」
彼から真実が語られた。
「あゆみと初めて会った日、怪我の手当てしてもらっただろう、そしておかゆ作ってくれて、初対面の俺に優しく接してくれて、すごく心惹かれた。あゆみを抱き寄せた時、心臓の鼓動が早くなるのを感じた。一緒に暮らしたいと思った。だからあゆみのこと調べさせてもらった、男は居ないのか、独身か、仕事はなにをしているのかとか・・・実は俺、五年前に好きな彼女が居て、一緒に暮らした事がある、ホストの仕事を隠して。でもそれがばれてしまって、ホストは信じられないって彼女は俺の元を去った。だからあゆみにホストの仕事をしている事を話ししなかった。どうしたら一緒に暮らせるか、必死に考えた、十五歳も年下の俺があゆみを好きになった、一緒に暮らしたいからといきなり言っても信じて貰えないだろうって思って、家政婦として働いて貰おうって考えた」
彼は私の表情を確認しながら続けた。
「でも、俺はあゆみが好きだから、結婚したかった。だけど急に結婚申し込んでも答えて貰える訳ないし、それで契約結婚を思いついた。一緒に暮らし初めて更にあゆみに惹かれて行く自分がいた。日に日にあゆみへの気持ちが大きくなり、抱きたいって思った、他の男に取られたくなかった。あゆみが居ないと、出て行ったのかと心配になる、だから早く子供欲しかった、何も言わずに出て行くことは出来ないだろう?五年前の彼女は黙って出て行ったからな」
私は黙って彼の言葉に耳を傾けていた。
「もし俺があゆみを好きになったからと交際申し込んだら、承諾してくれた?」
「からかわれていると思って、お断りしていました」
「やっぱりそうだよな」
「今までも、何人かの男性に告白されましたけど、全部断ってきました」
「そうか、だよな、あゆみの周りの男はなんで、放っておくのか不思議だった、放っておく訳ないよな」
私は今までときめく男性に巡り合わなかっただけで、彼と出会った時人生で初めてときめいた。今彼が真実を語ってくれても、彼が私を出会った時に好きになっていたなんて信じられない、だからこの幸せは、いつかは消えてしまうのかなって思った。
私は大きく頷き、彼と手を繋ぎ、エレベーターに乗った。フロントへ行き部屋の鍵を受け取り、スイートルームへ向かった。
部屋に入ると彼はすぐに私を抱きしめてくれた。涙が止まらない。頬に伝わった涙を拭うように優しくキスをしてくれた。彼に抱きしめられて、彼だけにドキドキすることがわかり、彼への想いをより強く感じた。
「あゆみ、ごめん、嫌な思いさせたな、でも皆素晴らしい奥様ですねって褒めていたよ」
私はなんて答えて良いか言葉が見つからず唯々大きく横に首を振り、彼を見つめた。
「俺、ずっとあゆみのこと守って行くから、俺の側にいてくれ」
私は彼の言葉が嬉しくて、このまま彼を信じて着いていきたいと思う反面、契約結婚から始まった関係に、彼が本気になったなんてどうしても信じられなかった、二十五歳の彼が、もうすぐ四十歳を迎える私に・・・
私は次の瞬間思いもよらぬことを口にしていた、あえて今まで触れなかった事を・・・
「麻生さん、私、ずっと不思議に思っていました、私に対して大好きって言ってくれたり子供欲しいって言ったり、契約結婚なのにいつも優しくしてくれて、しかも今日はこんなに私を紹介して、麻生さんの奥さんが他の人になった時どうするのですか」
「俺の奥さんはあゆみでずっと変わらないよあゆみが俺から離れても、何度でも連れ戻す、地の果てまで追いかけるよ」
「私達契約結婚ですよね、なんでそんなに優しくしてくれるのですか」
「あゆみを好きだからだよ」
「いつからですか」
彼は困った表情を見せて、言葉を探していた。
「私は麻生さんと初めて会った日に、大好きになりました。毎日毎日また会いたいって思っていました、でも麻生さんが私を好きになったタイミングっていつなのか全然分からなくて、こんな短い時間に好きになって貰える程の魅力が私にあるとは思えません、だから・・・」
「ごめん、契約結婚は口実だ」
「えっ?」
彼から真実が語られた。
「あゆみと初めて会った日、怪我の手当てしてもらっただろう、そしておかゆ作ってくれて、初対面の俺に優しく接してくれて、すごく心惹かれた。あゆみを抱き寄せた時、心臓の鼓動が早くなるのを感じた。一緒に暮らしたいと思った。だからあゆみのこと調べさせてもらった、男は居ないのか、独身か、仕事はなにをしているのかとか・・・実は俺、五年前に好きな彼女が居て、一緒に暮らした事がある、ホストの仕事を隠して。でもそれがばれてしまって、ホストは信じられないって彼女は俺の元を去った。だからあゆみにホストの仕事をしている事を話ししなかった。どうしたら一緒に暮らせるか、必死に考えた、十五歳も年下の俺があゆみを好きになった、一緒に暮らしたいからといきなり言っても信じて貰えないだろうって思って、家政婦として働いて貰おうって考えた」
彼は私の表情を確認しながら続けた。
「でも、俺はあゆみが好きだから、結婚したかった。だけど急に結婚申し込んでも答えて貰える訳ないし、それで契約結婚を思いついた。一緒に暮らし初めて更にあゆみに惹かれて行く自分がいた。日に日にあゆみへの気持ちが大きくなり、抱きたいって思った、他の男に取られたくなかった。あゆみが居ないと、出て行ったのかと心配になる、だから早く子供欲しかった、何も言わずに出て行くことは出来ないだろう?五年前の彼女は黙って出て行ったからな」
私は黙って彼の言葉に耳を傾けていた。
「もし俺があゆみを好きになったからと交際申し込んだら、承諾してくれた?」
「からかわれていると思って、お断りしていました」
「やっぱりそうだよな」
「今までも、何人かの男性に告白されましたけど、全部断ってきました」
「そうか、だよな、あゆみの周りの男はなんで、放っておくのか不思議だった、放っておく訳ないよな」
私は今までときめく男性に巡り合わなかっただけで、彼と出会った時人生で初めてときめいた。今彼が真実を語ってくれても、彼が私を出会った時に好きになっていたなんて信じられない、だからこの幸せは、いつかは消えてしまうのかなって思った。
1
あなたにおすすめの小説
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
忘れられたら苦労しない
菅井群青
恋愛
結婚を考えていた彼氏に突然振られ、二年間引きずる女と同じく過去の恋に囚われている男が出会う。
似ている、私たち……
でもそれは全然違った……私なんかより彼の方が心を囚われたままだ。
別れた恋人を忘れられない女と、運命によって引き裂かれ突然亡くなった彼女の思い出の中で生きる男の物語
「……まだいいよ──会えたら……」
「え?」
あなたには忘れらない人が、いますか?──
アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
日下奈緒
恋愛
仕事の契約を打ち切られ、年末をあと1か月残して就職活動に入ったつむぎ。ある日街で車に轢かれそうになるところを助けて貰ったのだが、突然週末婚を持ち出され……
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
自信家CEOは花嫁を略奪する
朝陽ゆりね
恋愛
「あなたとは、一夜限りの関係です」
そのはずだったのに、
そう言ったはずなのに――
私には婚約者がいて、あなたと交際することはできない。
それにあなたは特定の女とはつきあわないのでしょ?
だったら、なぜ?
お願いだからもうかまわないで――
松坂和眞は特定の相手とは交際しないと宣言し、言い寄る女と一時を愉しむ男だ。
だが、経営者としての手腕は世間に広く知られている。
璃桜はそんな和眞に憧れて入社したが、親からもらった自由な時間は3年だった。
そしてその期間が来てしまった。
半年後、親が決めた相手と結婚する。
退職する前日、和眞を誘惑する決意をし、成功するが――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる