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第六章 引き裂かれる思い

そこには真壁くんが横たわっていた。

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「婚約者のいる方と会うなんて出来ません」

「婚約者って、俺には婚約者なんていないよ」

「横溝さんは婚約者なんですよね」

「えっ、横溝は秘書だよ、婚約者じゃない」

えっ、婚約者じゃないの?でも、社長とは関わっちゃいけないよね。

「お帰りください」

「わかった」

私はちょっとほっとしていた。

でも真壁くんとは結ばれない運命だ。

社長に相応しい相手と結婚するんだろうから……

なんか寝つけない夜を過ごした。

白々と夜が開けて、私は一睡も出来ずにいた。

その時、ドアの外でドンっと音がした。

えっ、何の音?こんな朝早くに、しかも私の部屋の前から聞こえる。

ドアに顔を近づけて耳を澄ますと、スースーっと寝息が聞こえて来た。

ドアの向こうに誰かいるの?

恐る恐るドアを開けて見た。

重たくて開かない、誰かが寄りかかっているの?

私は思い切って力強くドアを押し開けた。

そこには真壁くんが横たわっていた。

「真壁くん、真壁くん」

私は必死に彼を揺り起した。
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