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第九章 翔太五歳の誕生日

静香、早く会いたい、俺は既に日本に戻ろうと決めていた。

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でも、まさか翔太が俺に電話をかけてくるなんて夢にも思わない事だった。

「翔太、ママは近くにいるのか」

「ママはお仕事だよ」

「そうか、翔太、一旦切って、俺からかけ直す、電話代大変な事になるからな」

「うん」

そして一旦スマホを切り、俺からかけ直した。

「翔太、一人で留守番か」

「うん、パパ、いつ帰って来るの?」

「分からないな、もう少し時間がかかる」

「分かった、また電話してもいい?」

「ああ、構わない」

「今日ね、僕の五歳の誕生日なんだ」

「そうか、おめでとう、もう立派な男なんだからママを頼むぞ」

「分かった、じゃあまたね、パパ」

そして、スマホは切れた。

はじめて聞いた息子の声、凄くいい子に育っている様子をありありと感じた。

静香、早く会いたい、俺は既に日本に戻ろうと決めていた。

次の日も、仕事から戻って、シャワーを浴びていると、スマホが鳴った。

俺はシャワーの音で気づかなかった。

冷蔵庫からミネラルウオーターを取り出し、喉に流し込んでいた。
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