上 下
53 / 109
第二十一章 二人目の誕生

しおりを挟む
他の男の子供か、いや、まさか、美蓮って美希の美と俺の名前の蓮で美蓮か。

美希は二人目を妊娠していたのか。

「美蓮以外に誰かいたか?」

「ママは美蓮と二人だって」

「ほかに何か言ってたか」

「パパはママと一緒だと疲れちゃうからって」

「後はなんか言ってたか」

「真弓さんをパパの恋人だって言ってた、だから違うよって言っておいたよ」

「そうか」

「ママはパパがすごくすごく大好きだって」

美希、お前はずっと変わらないんだな。

いつも俺のことを考えて行動する。

でも、俺の娘を妊娠したことをなぜ隠して消えたんだ。

蓮也だけでもいっぱいいっぱいになった俺を気遣って、俺から離れたのか。



自分がいるのに、ベビーシッターを雇うことを反対した美希。
夫婦二人で乗り越えたいと常々言っていた。

他の人の手を借りることを余儀なくされた今回のことで、俺の妻としての自信を無くしたんだろう。

美希の考えを貫き通そうとすれば、俺に負担がかかると、俺の側にいることを断念してしまったんだろう。

「ママはまた蓮也の幼稚園にくるって言ってたか」

「うん」

「そうか、今日はパパが迎えにいく」

「ほんと?」

蓮也は満面の笑みを浮かべた。




今日美希は蓮也の幼稚園にくるだろうか。

期待と不安が入り混じり、仕事が手につかなかった。

聞きたいことはたくさんある、また真弓さんとのことも誤解を解きたい。

三人で買い物に出かけたことがあった。

俺の不注意だ。

この間俺の背中に頬をつけてきた時も、俺はそんなつもりはなかったが、惑わす態度をとってしまった、いやそう思わせてしまったのかもしれない。

三人の姿を美希は見かけて、勘違いをしたんだろう。

そして、蓮也の迎えの時間が近づいた。

俺は仕事を片付けて、東條を呼んだ。

「東條、美希が蓮也の幼稚園に現れたんだ、今日くるかわからないが、迎えに行ってくる」

「かしこまりました」

真弓さんにも連絡を入れた。

「今日の蓮也の迎えは俺が行くから、今日は休みを取ってくれ」

「了解しました、あの、この間はすみませんでした」

「あっ、大丈夫、気にしてないから、俺の方こそ惑わす態度を取ってしまったのかもしれないから、申し訳ないと思っている」

「では、また明日伺います」

「ああ、よろしく頼むよ」

俺は蓮也の幼稚園に向かった。

美希に久しぶりに会えると思うだけで心が躍る。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

悪女と呼ばれた死に戻り令嬢、二度目の人生は婚約破棄から始まる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,422pt お気に入り:2,473

全てを諦めた令嬢は、化け物と呼ばれた辺境伯の花嫁となる

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:589pt お気に入り:6,752

転生した元魔王はTSの熾天使幼女で魔王学院生活を過ごす件。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:27

お星様、どうかこの世界が幸せでありますように

青春 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

転生不憫令嬢は自重しない~愛を知らない令嬢の異世界生活

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:29,317pt お気に入り:1,867

緑の塔とレオナ

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:84

弁護士事務所で運命の相手と出会いました

BL / 連載中 24h.ポイント:305pt お気に入り:581

処理中です...