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第二十一章 二人目の誕生

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「こんにちは」

「蓮也くんのお母さん、もう退院なさったのですか、あの二人目を出産されたんですか」

私は蓮也に謝りたくて、幼稚園に足を運んだ。

「ママ」

「蓮也」

私は蓮也をぎゅっと抱きしめた。

その時ベビーカーに乗っている赤ちゃんを見て、蓮也は近づいた。

「ママ、この赤ちゃん誰?」

「蓮也の妹よ、美蓮って言うのよ」

「パパは知ってるの?」

「まだ、パパには話していないの、だって、パパには新しい恋人がいるでしょ」

「真弓さんのこと?」

「真弓さんって言うんだ」

「真弓さんはパパの恋人じゃないよ、僕のお迎えとご飯作ってくれるんだよ」

「ママの代わりをしてくれるのね」

「よくわかんない、でもパパはママを探すって頑張ってるよ」

「ねえ、蓮也はママと一緒に暮らそうよ」

「パパも一緒?」

「パパはママと一緒だと疲れちゃうみたいだから」

「僕までパパから離れたら、パパ一人になっちゃうから、可哀想だよ、僕はパパの側にいるよ」

「蓮也」

「ママの側には美蓮しかいない?」

「うん」

蓮也はベビーカーを覗いて美蓮に話しかけた。

「美蓮、僕は蓮也、お前のお兄ちゃんだぞ、僕はパパの側にいるから、美蓮はママを頼んだぞ」

「あう~ん」

「ママ、美蓮返事したよ」

「ほんとね」

私は蓮也の成長ぶりに驚いていた。

「蓮也、また、会いに来るから、パパをよろしくね」

「うん、分かった」

私は幼稚園を後にした。


俺は日々仕事に追われ疲れ切っていた。

いつも蓮也が寝た後に帰ってくる、それまで真弓さんにはいてもらう日々の繰り返しだった。

真弓さんは一生懸命仕事をこなしてくれていた。

ある日、仕事から戻ると、真弓さんは「お疲れ様です」と言って、食事を温めてくれた。

蓮也の世話をして、家事もこなしてくれて、まるで美希の代わりをしてくれていた。

寝室に着替えに入ると、すぐに真弓さんも入ってきて、俺の背中に頬をつけてきた。
「私は鏑木さんが好きです、鏑木さんは奥様を愛しているのは分かっています、でも、もし、安らぎを求めているなら、私をお役立てください」

俺は真弓さんの方に向きを変えて、彼女の肩を抱いた。

「ありがとう、いつも助かってるよ、でも俺は美希と知り合ってから美希以外は考えられないんだ、ごめん」

「すみませんでした、余計なことを言ってしまって、これからも頑張りますのでよろしくお願いします、では失礼致します」

「ご苦労様」

真弓さんはマンションを後にした。

蓮也の部屋を覗くと、ぐっすり寝ていた。

俺は真弓さんが温めてくれた食事を全て平らげ、眠りについた。

朝、蓮也が俺の寝室にやってきて、俺に声をかけた。

「パパ、起きて」

「蓮也、やべえ、俺また寝過ごしたか」

「違うよ、パパに話があるんだ」


蓮也ももう五歳を迎えて、すっかりお兄ちゃんになったと感じていた。

「なんだ、欲しいおもちゃでもあるのか」

「違うよ、昨日僕、ママと会ったんだ」

「えっ、美希と、どこでだ」

「ママが幼稚園に来たんだ」

「なんか言ってたか」

「ママと暮らさないって言われた」

「そうか、すっかり、パパは嫌われたんだな」

俺は肩をガックリ落とした。

「ママは誰かと一緒だったか」

「うん」

「そうか、誰なんだ」

「美蓮だよ」

「美蓮?」

「僕の妹だよ」

俺は蓮也の言葉に呆然と立ち尽くした。

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