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第二十一章 二人目の誕生

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解決しなければいけないことは山積みなのに、美希は俺とやり直す選択肢は持っていないかもしれないのに、ただ美希と会える、それだけでほかには何も考えていなかった。

幼稚園に着くと、蓮也は帰りの支度を済ませ、俺を待っていた。

「パパ、本当に迎えにきてくれたんだね」

「当たり前だ、パパは約束は守るよ」

「ママはまだきてないよ」

「そうか」

幼稚園の前であたりを見回しても、美希は現れなかった。

今日は来ないのか。

いったい、どこに住んでいるんだ。

まさか、望月に頼ってるってことはないよな。

望月に怒鳴られる覚悟で、連絡を入れた。

「望月、今いいか」

「どうした、美希ちゃんとうまくやってるか」

「美希は一年前に俺の前から姿を消した」

「嘘だろ」



「マジだよ、勝手に退院して行方がわからない」

「お前、何やってるんだ、美希ちゃんを泣かせるなって、俺言ったよな」

「ちゃんと覚えてるよ」

「一年って、蓮也はどうしてる」

「ちゃんと幼稚園行ってるよ」

「そうか」

望月の様子から、美希のことは知らないみたいだと推測した。

「それで、美希ちゃんは見つかったのか」

「ああ、蓮也の幼稚園に現れた」

「お前ちゃんと美希ちゃんの話聞いてやれよ」

「今日は現れなかったから、まだ美希とは会えていないんだ」

「そうか」

「お前のところに美希から連絡ないよな」

「ないよ、あったらお前にすぐ連絡してるよ」

「そうか、実は蓮也の情報なんだが、美希は美蓮と一緒にいるらしい」



「美蓮?」

「多分俺の娘だ」

「えっ、美希ちゃんは二人目を出産したのか、お前何も言わなかったじゃないか」

「俺もはっきりとはわからないが、蓮也が美蓮を見たって、ママは赤ちゃんと一緒だったって言うんだ」

「お前の子だよな」

「だからさっきから多分って言ってるだろう」

「実はまだあるんだ」

「今度はなんだよ」

「美希が黙って退院してから、離婚届が送られてきた」

「嘘だろ」

「やっぱりお前じゃないんだな」

「どう言うことだよ」

「美希が退院して、子供を出産して、一人でなんて考えにくいなと思ったんだ」

「東條には聞いてみたか」

「いや、まだだ」

「何か分かったら連絡くれ」

「ああ」

俺はスマホを切った。
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