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第二十一章 二人目の誕生

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次の日、俺は東條に話があると呼び出した。

「東條、聞きたいことがある」

「なんでしょうか」

「美希はどこにいるんだ」

「私は存じ上げません」

「嘘つくなよ」

東條はなにかを隠していると感じた。

「美希が蓮也の幼稚園に現れたあと、今日、俺が蓮也を迎えに行くと知って、蓮也に会いには来なかった、それはお前が俺の行動を逐一美希に報告しているからじゃないのか」

東條は黙っていた。

「美希が二人目を出産したことも、一人で出来ることだとは思えない、美蓮はお前の子供か」

「違います、社長のお嬢様です」


「やっぱりそうか、全部話してもらおうか」

東條は観念したように話し始めた。

「奥様は社長を今でも愛しています、離婚届だって、社長のことを思って涙ながらにサインしていました」

俺は東條の話を黙って聞いていた。

「体調不良で入院した時も、美蓮様の妊娠があったからです、社長のギブアップ状態を心苦しく思い、この先社長にこんな思いをさせられないと離婚を決断したんです」

俺はなんて情けない男なんだと、自分を恥じた。

「美蓮様の出産に向けて、奥様からご相談を受けて、全て自分が手配致しました」

「やっぱり、そうか、まずは謝るよ、美希が迷惑をかけて済まなかった、また美蓮の出産に手を貸してくれて感謝する」

俺は東條に深々と頭を下げた。

「社長、頭を上げてください」

「美希は元気で過ごしているのか、美蓮は問題なく成長しているか」

「はい、お二人共にお元気でお過ごしです」

「美蓮は美希が付けたのか」

「はい、美希様の美と蓮様の蓮の字を頂いたとのことです」




「そうか」

「美希と会いたい、話を通してくれ」

「奥様に話してみます」

俺は美希との話し合いを通してもらうように頼んだ。

美希、済まない、俺がもっとしっかりしていれば、美希にこんな思いはさせずに住んだんだよな。

蓮也にも美蓮にも本当に申し訳ないと思っている。

美蓮、俺の娘か、早く顔が見たい、この腕に抱きしめたい。

俺は美希とやり直す決意を固めた。

次の日、蓮也の幼稚園の迎えの時、美希と会えることになった。

俺は真弓さんに仕事の解約を申し出た。

ベビーシッターは美希の本意ではない。

俺が美希と二人で色々なことを解決していけば、いいんだと思った。

真弓さんは快く承諾してくれた。

「また、必要な時は遠慮せずご依頼ください、ではありがとうございました」

「こちらこそ、お世話になりました」




そして、蓮也の幼稚園の迎えの時間が近づいた。

俺は心臓の鼓動が加速していくのを感じた。

一年以上美希と会っていない、許されるなら、この腕にギュッと抱きしめたい、そう気持ちが昂っていた。

そして、蓮也の幼稚園で美希がくるのを待っていた。

「ママ」

蓮也の声に振り向くと、そこには美希が美蓮を抱いて立っていた。

俺は少しずつ美希に近づいた。

「美希、会いたかった」

「蓮さん」

俺と美希はじっと見つめあった。

美希に抱かれている美蓮が大きなあくびをした。

「俺の娘だよな、抱かせてくれ」

美希は俺に美蓮を抱かせてくれた。

「かわいいな」

蓮也も俺に近づいて、美蓮の頭を撫でた。

「ちっちゃいね」

「ああ、お前だってこんな感じだったんだぞ」

蓮也はチャンスとばかりに美希に抱きついた。

ずっと母親を求めていたんだろう、美希はギュッと蓮也を抱きしめた。

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