俺様外科医の溺愛、俺の独占欲に火がついた、お前は俺が守る

ラヴ KAZU

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第八章 記憶にない工藤飛鳥

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私は夢を見ていた。

誰だかわからない、だけど、私を抱きしめて、まゆって囁いている。

あなたは誰?

お前を愛している、マジだ。

顔を覗き込むけど、顔がはっきりわからない。

その内、その男性はその場から去っていった。

待って!

叫ぶけど、その男性はどんどん私から離れていく。

遠くでまゆ、まゆと誰かが私を呼んでいる。

私は目を覚ました。

「まゆ、大丈夫か」

私を覗き込んでいたのは祐志さんだった。

「祐志さん」

「よかった、ずっと眠ったままだったんだ」



「私、どうしちゃったんですか」

「覚えていないのか」

「はい」

この時、祐志さんは起点を利かせて、本当のことは伏せた。

「まゆは買い物に行って、途中でめまいを起こしたんだ」

「めまい?」

「もう、大丈夫だ」

「ごめんなさい」

「どこも痛いところはないか」

「大丈夫です」

この病院には工藤さんも入院していた。

私は解離性健忘になっていた。

つまり、工藤さんのことは覚えていない状態だった。

「しばらく入院した方がいい、ここは俺の病院だから安心しろ」

「はい」

「また、様子を見にくる」

祐志さんは病室を後にした。

私は病室から出て、売店に向かっていた。




廊下で私の前を杖をついて歩いている男性がいた。

その男性は、キーホルダーを落とした。

「あのう、落としましたよ」

そのキーホルダーを拾って、渡そうとした時、これは私が無くしたものと気づいた。
そしてその男性は振り向いた。

工藤飛鳥、私を命がけで助けてくれた極道。

でも私の記憶の中に彼はいない。

「これ」

私はキーホルダーを渡そうとしたが、両手で松葉杖をついているので、受け取れない。

杖の金具についていたらしく、私はつけてあげた。

「これで大丈夫ですね」

私はニッコリ微笑んだ。

俺はいきなり目の前に、まゆが現れて、戸惑った。

でも、俺のことはわからない様子だった。

それならそれでいい。

もう、俺なんかと関わっちゃダメだ。

「ありがとう」

一言だけ、そう言って、背をむけた。

しかし、まゆは「待ってください」と俺を呼び止めた。



まゆは俺の前に周り「聞きたいことがあるんですが」と言葉を発した。

「そのキーホルダーどうされたのですか」

実はこのキーホルダーはまゆが俺にくれたものだった。

自分が身につけていたものを俺にくれたのだ。

「私、同じキーホルダーを持っていたのですが、無くしてしまって、中々手に入りにくいものなんです」

「覚えてねえ」

「そうですか」

「そこ、どいてくんねえかな」

「あっ、ごめんなさい」

これ以上一緒にいたら、俺はまゆを抱きしめちまう。

俺はその場を後にした。

まゆはずっと俺の背に視線を送っていたことが、痛いほど感じられた。

まゆ、無事でよかった、でも俺のせいで、辛い思いをさせちまったな、ごめん。



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