ハチ切れ令嬢は、笑みを浮かべながら復讐する。

いつも通り（オリビアside）

オリビア・ワグナーは、早足で歩いている。

カタリナ・チャールストンのビューティーサロン近くを通った時に、アイナ・ルメールに声をかけられたが無視をした。

“なぜ、よりにもよって…この格好の時にアイナに会うの…”
と思った。
一見、ただの紺色のコートだが…上着を脱げば、黒のスパンコールのミニワンピースに薄い黒のストッキングをはいていた。
顔も黒のアイラインを強くひき、真っ赤な口紅をひいている。

どうして、このような服を着ているのか？

たまたま外で買い物をしていると父の会社の社員達がいて声をかけようとした。
ところが聞こえてきたのは…父の会社のお金が、底をつきかけていると社員の人達が話しているのをコッソリと聞いた。

オリビアは、思った。
“せっかくお金持ちになったのに…なんで自分だけ得しようと思うの？社員もいるし…私もいる…自分のことだけしか考えていない！！
もう…あんな貧乏は、嫌だ！！やっとお金持ちの仲間入りをしたのに！！だからね…私は、人には言えない…まさか令嬢がいるとは思わない…夜の店で働いている！！”

働いていると、思うことがある。男達は、下着姿の女の身体をみて笑っている。
“…そんなにいいの？身体が？お酒を飲み、下品な笑い声。みんなの顔が、お金に見える…フフ。
腹がたって、腹がたって…ん？あれは、アイナの婚約者？”
出来心で、グレイを誘ったら…食いついてきた。

そして、何度もグレイと遊んだ。

“アイナは、知っていた。グレイが私と遊んでいることを…それでも友人として…婚約者として接していて…敵わない人だと思った。
私は、ふと思った。
アイナの泣き崩れた顔をみたくなった。お金持ちのあなたには、私の気持ち…わからないよね？ねぇ？どう？婚約者を寝取られた気持ちは？
フフ、怒らないの？じゃあ、これは？怒らないの…
どうして、絶え忍ばないの…？
泣かないの？
貴族の娘達は、ヒステリックに殴ってきて泣いても許してくれない！！
…なぜ、そんなに感情のない顔なの？

アイナの隣にいると、自分の存在がなくなるような気がした。
なぜ私の方が、後悔しているの？
私は、私が…よくわからない…”