【完結】転生悪役令嬢は転生ヒロインに協力する

hama

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57. 夢の終わり② 〜ミリカside

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 ユリアンナはミリカを見ると、ニコリと微笑んだ。

「あら、意外と元気そうね?ミリカ」

 ユリアンナが発したのは、ミリカが地下牢でユリアンナにかけたような言葉だった。
 恐らくわざとだろう。

「……何?私を笑いに来たわけ?」

「まさか。貴女じゃないんだからそんなことしないわ」

 鈴木葵と同じように言い返すユリアンナに、ミリカは苛立つ。

「ていうか!何でアンタが外に出てんのよ!私が牢に入れられるならアンタも同罪でしょ!?」

「……牢にならちゃんと入ったわ。そして刑が確定したから出られたのよ」

「……刑ですって?」

 不安げに尋ねるミリカに、ユリアンナは嬉しそうな笑みを向ける。

「そ。希望通りの『国外追放』だよ」

「えっ?」

 ユリアンナが国外追放ということは、同罪であるミリカも………?
 そんな動揺を見透かしたように、ユリアンナが続ける。

「ミリカの刑罰はまた別なんじゃない?私の場合は、卒業パーティーで大々的に断罪されたことを今更『あれは間違いでした』なんて言ったら王家の面子が丸潰れでしょ?だから、そのまま『国外追放』の刑に処されたことにしてもらったの」

「は?自分で『国外追放』を希望したって言うの?」

「そうよ。……初めから言ってたでしょ?私は外国で平民として暮らしたいんだって」

 ユリアンナは確かに初めからそう言っていた。
 しかしミリカは、ユリアンナが強がりでそう言っているのだと思っていた。
 ユリアンナだって本当は《イケパー》の攻略対象者たちと恋愛したいはずなのに、できないから強がっているだけだと。

 だけど本当にユリアンナが心から『国外追放』を望んでいたのだとしたら?
 ………ミリカはアレックスと結婚することが叶わなかったのに、ユリアンナだけ希望を叶えるなんて狡いじゃないか。

「……はぁ?アンタだけ希望が叶うなんて約束が違うじゃない!2人で夢を叶えようって言ったのに!!」

 ミリカが怒って声を荒げると、ユリアンナは呆れたように溜息をつく。

「……何言ってるの?先に約束を破ったのはミリカでしょ?」

「約束?破ってなんか………あ」

 そう言いかけて、ミリカは思い出した。
 先に「ユリアンナが処刑にならないように嘆願する」という約束を反故にしたのはミリカである。

「私はね。ミリカが約束を破らず私が処刑にならないように訴えてくれてたら、計画のことは一生黙っているつもりだったし、国外に出て二度と姿を現すつもりもなかった。先に裏切ったのは貴女だよ、ミリカ」

 ユリアンナが淡々と正論を述べると、ミリカは責められている気がして苛立ちが増してくる。

「そんなの信用できるわけないじゃないっ!そんなこと言ったって、アンタだって私のこと裏切るつもりだったでしょ!?」

「ま、そう思うならそれで良いけどね。そうやって、自分が上手くいかないことを一生他人のせいにして生きていくと良いよ。私はもう二度と貴女に関わらないから、今後貴女がどうなろうと関係ないもの」

 ユリアンナはそう言うと、外套のフードをサッと頭に被せる。

「じゃあ、私は行くね」

「……フン。アンタなんか、無能だし、頭も悪いし、どうせ国外に出たってすぐ野垂れ死ぬのがオチよ!!」

 ミリカがそう吐き捨てると、ユリアンナは可笑しそうにクスクス笑う。

「ふふっ。私の話、聞いてなかったの?私は最初から外国で暮らしたかったって言ってるじゃない。何も準備してないわけないでしょ?」

「はぁ!?どういうこと!?」

「私は4年間、オズワルドに魔法を習ったのよ。そこそこ才能があったらしくて、これから一人で食べていくのに困らないくらいの魔法は身につけたわ。……それから貴女には黙ってたけど、私、それほど頭が悪いわけでもないの。この時のために外国語だって5ヶ国語マスターしたし」

 ユリアンナの独白に、ミリカは目を見開く。

「な……嘘よ!だってアンタ、学園の成績なんていつも地を這ってたじゃない!」

「それは、わざとそういう風に見せてたのよ。卒業まではきちんと〝無能で愚かな〟ユリアンナで居続けたでしょ?……全てはミリカに協力するためだったのに」

 ユリアンナは本当はできるのに、ミリカに協力するために成績を悪い方に偽っていたというのか。

(それなら、本当に裏切る気はなかったってこと……?)

 ミリカは突き付けられた事実を前に、呆然とするしかなかった。
 自分の夢を終わらせたのは、自分自身だったのだ。

「ミリカにどういう刑が下るかは分からないけど、気を落とさずにね。ゲームのシナリオが終わったって、人生は続くんだから」

 元気でね、と明るく別れの挨拶をしてユリアンナは去って行った。
 その後ろ姿は、夢を叶えた人間の希望に溢れた姿だった。

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