62 / 81
57. 夢の終わり② 〜ミリカside
しおりを挟む
ユリアンナはミリカを見ると、ニコリと微笑んだ。
「あら、意外と元気そうね?ミリカ」
ユリアンナが発したのは、ミリカが地下牢でユリアンナにかけたような言葉だった。
恐らくわざとだろう。
「……何?私を笑いに来たわけ?」
「まさか。貴女じゃないんだからそんなことしないわ」
鈴木葵と同じように言い返すユリアンナに、ミリカは苛立つ。
「ていうか!何でアンタが外に出てんのよ!私が牢に入れられるならアンタも同罪でしょ!?」
「……牢にならちゃんと入ったわ。そして刑が確定したから出られたのよ」
「……刑ですって?」
不安げに尋ねるミリカに、ユリアンナは嬉しそうな笑みを向ける。
「そ。希望通りの『国外追放』だよ」
「えっ?」
ユリアンナが国外追放ということは、同罪であるミリカも………?
そんな動揺を見透かしたように、ユリアンナが続ける。
「ミリカの刑罰はまた別なんじゃない?私の場合は、卒業パーティーで大々的に断罪されたことを今更『あれは間違いでした』なんて言ったら王家の面子が丸潰れでしょ?だから、そのまま『国外追放』の刑に処されたことにしてもらったの」
「は?自分で『国外追放』を希望したって言うの?」
「そうよ。……初めから言ってたでしょ?私は外国で平民として暮らしたいんだって」
ユリアンナは確かに初めからそう言っていた。
しかしミリカは、ユリアンナが強がりでそう言っているのだと思っていた。
ユリアンナだって本当は《イケパー》の攻略対象者たちと恋愛したいはずなのに、できないから強がっているだけだと。
だけど本当にユリアンナが心から『国外追放』を望んでいたのだとしたら?
………ミリカはアレックスと結婚することが叶わなかったのに、ユリアンナだけ希望を叶えるなんて狡いじゃないか。
「……はぁ?アンタだけ希望が叶うなんて約束が違うじゃない!2人で夢を叶えようって言ったのに!!」
ミリカが怒って声を荒げると、ユリアンナは呆れたように溜息をつく。
「……何言ってるの?先に約束を破ったのはミリカでしょ?」
「約束?破ってなんか………あ」
そう言いかけて、ミリカは思い出した。
先に「ユリアンナが処刑にならないように嘆願する」という約束を反故にしたのはミリカである。
「私はね。ミリカが約束を破らず私が処刑にならないように訴えてくれてたら、計画のことは一生黙っているつもりだったし、国外に出て二度と姿を現すつもりもなかった。先に裏切ったのは貴女だよ、ミリカ」
ユリアンナが淡々と正論を述べると、ミリカは責められている気がして苛立ちが増してくる。
「そんなの信用できるわけないじゃないっ!そんなこと言ったって、アンタだって私のこと裏切るつもりだったでしょ!?」
「ま、そう思うならそれで良いけどね。そうやって、自分が上手くいかないことを一生他人のせいにして生きていくと良いよ。私はもう二度と貴女に関わらないから、今後貴女がどうなろうと関係ないもの」
ユリアンナはそう言うと、外套のフードをサッと頭に被せる。
「じゃあ、私は行くね」
「……フン。アンタなんか、無能だし、頭も悪いし、どうせ国外に出たってすぐ野垂れ死ぬのがオチよ!!」
ミリカがそう吐き捨てると、ユリアンナは可笑しそうにクスクス笑う。
「ふふっ。私の話、聞いてなかったの?私は最初から外国で暮らしたかったって言ってるじゃない。何も準備してないわけないでしょ?」
「はぁ!?どういうこと!?」
「私は4年間、オズワルドに魔法を習ったのよ。そこそこ才能があったらしくて、これから一人で食べていくのに困らないくらいの魔法は身につけたわ。……それから貴女には黙ってたけど、私、それほど頭が悪いわけでもないの。この時のために外国語だって5ヶ国語マスターしたし」
ユリアンナの独白に、ミリカは目を見開く。
「な……嘘よ!だってアンタ、学園の成績なんていつも地を這ってたじゃない!」
「それは、わざとそういう風に見せてたのよ。卒業まではきちんと〝無能で愚かな〟ユリアンナで居続けたでしょ?……全てはミリカに協力するためだったのに」
ユリアンナは本当はできるのに、ミリカに協力するために成績を悪い方に偽っていたというのか。
(それなら、本当に裏切る気はなかったってこと……?)
ミリカは突き付けられた事実を前に、呆然とするしかなかった。
自分の夢を終わらせたのは、自分自身だったのだ。
「ミリカにどういう刑が下るかは分からないけど、気を落とさずにね。ゲームのシナリオが終わったって、人生は続くんだから」
元気でね、と明るく別れの挨拶をしてユリアンナは去って行った。
その後ろ姿は、夢を叶えた人間の希望に溢れた姿だった。
「あら、意外と元気そうね?ミリカ」
ユリアンナが発したのは、ミリカが地下牢でユリアンナにかけたような言葉だった。
恐らくわざとだろう。
「……何?私を笑いに来たわけ?」
「まさか。貴女じゃないんだからそんなことしないわ」
鈴木葵と同じように言い返すユリアンナに、ミリカは苛立つ。
「ていうか!何でアンタが外に出てんのよ!私が牢に入れられるならアンタも同罪でしょ!?」
「……牢にならちゃんと入ったわ。そして刑が確定したから出られたのよ」
「……刑ですって?」
不安げに尋ねるミリカに、ユリアンナは嬉しそうな笑みを向ける。
「そ。希望通りの『国外追放』だよ」
「えっ?」
ユリアンナが国外追放ということは、同罪であるミリカも………?
そんな動揺を見透かしたように、ユリアンナが続ける。
「ミリカの刑罰はまた別なんじゃない?私の場合は、卒業パーティーで大々的に断罪されたことを今更『あれは間違いでした』なんて言ったら王家の面子が丸潰れでしょ?だから、そのまま『国外追放』の刑に処されたことにしてもらったの」
「は?自分で『国外追放』を希望したって言うの?」
「そうよ。……初めから言ってたでしょ?私は外国で平民として暮らしたいんだって」
ユリアンナは確かに初めからそう言っていた。
しかしミリカは、ユリアンナが強がりでそう言っているのだと思っていた。
ユリアンナだって本当は《イケパー》の攻略対象者たちと恋愛したいはずなのに、できないから強がっているだけだと。
だけど本当にユリアンナが心から『国外追放』を望んでいたのだとしたら?
………ミリカはアレックスと結婚することが叶わなかったのに、ユリアンナだけ希望を叶えるなんて狡いじゃないか。
「……はぁ?アンタだけ希望が叶うなんて約束が違うじゃない!2人で夢を叶えようって言ったのに!!」
ミリカが怒って声を荒げると、ユリアンナは呆れたように溜息をつく。
「……何言ってるの?先に約束を破ったのはミリカでしょ?」
「約束?破ってなんか………あ」
そう言いかけて、ミリカは思い出した。
先に「ユリアンナが処刑にならないように嘆願する」という約束を反故にしたのはミリカである。
「私はね。ミリカが約束を破らず私が処刑にならないように訴えてくれてたら、計画のことは一生黙っているつもりだったし、国外に出て二度と姿を現すつもりもなかった。先に裏切ったのは貴女だよ、ミリカ」
ユリアンナが淡々と正論を述べると、ミリカは責められている気がして苛立ちが増してくる。
「そんなの信用できるわけないじゃないっ!そんなこと言ったって、アンタだって私のこと裏切るつもりだったでしょ!?」
「ま、そう思うならそれで良いけどね。そうやって、自分が上手くいかないことを一生他人のせいにして生きていくと良いよ。私はもう二度と貴女に関わらないから、今後貴女がどうなろうと関係ないもの」
ユリアンナはそう言うと、外套のフードをサッと頭に被せる。
「じゃあ、私は行くね」
「……フン。アンタなんか、無能だし、頭も悪いし、どうせ国外に出たってすぐ野垂れ死ぬのがオチよ!!」
ミリカがそう吐き捨てると、ユリアンナは可笑しそうにクスクス笑う。
「ふふっ。私の話、聞いてなかったの?私は最初から外国で暮らしたかったって言ってるじゃない。何も準備してないわけないでしょ?」
「はぁ!?どういうこと!?」
「私は4年間、オズワルドに魔法を習ったのよ。そこそこ才能があったらしくて、これから一人で食べていくのに困らないくらいの魔法は身につけたわ。……それから貴女には黙ってたけど、私、それほど頭が悪いわけでもないの。この時のために外国語だって5ヶ国語マスターしたし」
ユリアンナの独白に、ミリカは目を見開く。
「な……嘘よ!だってアンタ、学園の成績なんていつも地を這ってたじゃない!」
「それは、わざとそういう風に見せてたのよ。卒業まではきちんと〝無能で愚かな〟ユリアンナで居続けたでしょ?……全てはミリカに協力するためだったのに」
ユリアンナは本当はできるのに、ミリカに協力するために成績を悪い方に偽っていたというのか。
(それなら、本当に裏切る気はなかったってこと……?)
ミリカは突き付けられた事実を前に、呆然とするしかなかった。
自分の夢を終わらせたのは、自分自身だったのだ。
「ミリカにどういう刑が下るかは分からないけど、気を落とさずにね。ゲームのシナリオが終わったって、人生は続くんだから」
元気でね、と明るく別れの挨拶をしてユリアンナは去って行った。
その後ろ姿は、夢を叶えた人間の希望に溢れた姿だった。
31
あなたにおすすめの小説
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
乙女ゲームに転生したので、推しの悲恋EDを回避します〜愛され令嬢は逆ハーはお断りです!
神城葵
恋愛
気づいたら、やり込んだ乙女ゲームのサブキャラに転生していました。
体調不良を治そうとしてくれた神様の手違いだそうです。迷惑です。
でも、スチル一枚のサブキャラのまま終わりたくないので、最萌えだった神竜王を攻略させていただきます。
※ヒロインは親友に溺愛されます。GLではないですが、お嫌いな方はご注意下さい。
※完結しました。ありがとうございました!
※改題しましたが、改稿はしていません。誤字は気づいたら直します。
表紙イラストはのの様に依頼しました。
【完結】ど近眼悪役令嬢に転生しました。言っておきますが、眼鏡は顔の一部ですから!
As-me.com
恋愛
完結しました。
説明しよう。私ことアリアーティア・ローランスは超絶ど近眼の悪役令嬢である……。
気が付いたらファンタジー系ライトノベル≪君の瞳に恋したボク≫の悪役令嬢に転生していたアリアーティア。
原作悪役令嬢には、超絶ど近眼なのにそれを隠して奮闘していたがあらゆることが裏目に出てしまい最後はお約束のように酷い断罪をされる結末が待っていた。
えぇぇぇっ?!それって私の未来なの?!
腹黒最低王子の婚約者になるのも、訳ありヒロインをいじめた罪で死刑になるのも、絶体に嫌だ!
私の視力と明るい未来を守るため、瓶底眼鏡を離さないんだから!
眼鏡は顔の一部です!
※この話は短編≪ど近眼悪役令嬢に転生したので意地でも眼鏡を離さない!≫の連載版です。
基本のストーリーはそのままですが、後半が他サイトに掲載しているのとは少し違うバージョンになりますのでタイトルも変えてあります。
途中まで恋愛タグは迷子です。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
❲完結❳乙女ゲームの世界に憑依しました! ~死ぬ運命の悪女はゲーム開始前から逆ハールートに突入しました~
四つ葉菫
恋愛
橘花蓮は、乙女ゲーム『煌めきのレイマリート学園物語』の悪役令嬢カレン・ドロノアに憑依してしまった。カレン・ドロノアは他のライバル令嬢を操って、ヒロインを貶める悪役中の悪役!
「婚約者のイリアスから殺されないように頑張ってるだけなのに、なんでみんな、次々と告白してくるのよ!?」
これはそんな頭を抱えるカレンの学園物語。
おまけに他のライバル令嬢から命を狙われる始末ときた。
ヒロインはどこいった!?
私、無事、学園を卒業できるの?!
恋愛と命の危険にハラハラドキドキするカレンをお楽しみください。
乙女ゲームの世界がもとなので、恋愛が軸になってます。ストーリー性より恋愛重視です! バトル一部あります。ついでに魔法も最後にちょっと出てきます。
裏の副題は「当て馬(♂)にも愛を!!」です。
2023年2月11日バレンタイン特別企画番外編アップしました。
2024年3月21日番外編アップしました。
***************
この小説はハーレム系です。
ゲームの世界に入り込んだように楽しく読んでもらえたら幸いです。
お好きな攻略対象者を見つけてください(^^)
*****************
その破滅エンド、ボツにします!~転生ヒロインはやり直し令嬢をハッピーエンドにしたい~
福留しゅん
恋愛
自分がシナリオを書いた乙女ゲームの世界に転生したメインヒロインはゲーム開始直後に前世を思い出す。一方の悪役令嬢は何度も断罪と破滅を繰り返しては人生をやり直していた。そうして創造主の知識を持つヒロインと強くてニューゲームな悪役令嬢の奇妙な交友が始まる――。
※小説家になろう様にも投稿しています。
死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?
六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」
前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。
ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを!
その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。
「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」
「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」
(…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?)
自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。
あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか!
絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。
それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。
「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」
氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。
冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。
「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」
その日から私の運命は激変!
「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」
皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!?
その頃、王宮では――。
「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」
「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」
などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。
悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる