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58. 夢の終わり③ 〜ミリカside
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ユリアンナが去った後も、ミリカはしばらくベッドから立ち上がれなかった。
それほどに、ユリアンナから語られた話は衝撃が大きかった。
ユリアンナが5ヶ国語もマスターできるほどの頭脳の持ち主だったなんて。
ミリカも成績はいい方だが、5ヶ国語もマスターする自信はない。
ユリアンナは前世は高卒だと言っていたから、勝手に頭が悪いと思い込んでいた。
それに、4年間もオズワルドに魔法を習っていたことも知らなかった。
ユリアンナは自分の夢のために努力を重ねていただけなのだが、ミリカはユリアンナに裏切られたと感じた。
ミリカが自分の夢のためにしたことといえば、ユリアンナにイベントを起こすよう頼むぐらいのことだったのだが、自分は努力したのにユリアンナのせいで台無しになったと憤った。
結局、ミリカはこの期に及んで自分が悪かったとは微塵も思っていないし、上手くいかなかったのはユリアンナのせいだと信じているのだ。
ベッドの上で怒りに震えていると、再び貴族牢の扉が開かれる。
入ってきたのはアレックスとオズワルドだった。
「アレックス様……オズワルド様!」
ミリカは昨日オズワルドを呼び捨てにしたことなどすっかり忘れて、胸の前で手を組み、その者たちの名を叫ぶ。
アレックスは王子らしく、今日も今日とて麗しい。
オズワルドは───と、オズワルドの顔を見て、ミリカは驚愕する。
今日のオズワルドは普段と違い、いつもは顔の半分を覆っている長い前髪を掻き上げ、その整った尊顔を惜しげも無く晒している。
(嘘っ!オズワルドって……こんなにイケメンだったっけ!?)
しばらく恍惚とその顔を眺めた後、何やら小さな声で話し合っている2人の様子を見ながらミリカは考える。
(どうして此処に来たのがこの2人なんだろう?)
アレックスは第二王子だから分かるけど、オズワルドはミリカと殆ど接点がなかったのに、何故?
もしかして、オズワルドはミリカに興味があるのではないか?
(いいわ……最悪の事態を免れるためなら何だってやるわ!)
ミリカにとっての最悪の事態は、攻略対象者の中の誰とも結ばれないことだ。
オズワルドは学園では全く攻略できなかったけど、今からでも遅くはないはず!
………そう思ったのだが。
「ミリカ・ローウェン嬢。君には、ユリアンナ・シルベスカ嬢と共謀して王族を始めとする高位貴族を謀った容疑がかけられている。何か申し開きはある?」
アレックスが厳しい表情でミリカに尋ねる。
「え……?謀った……?いえ、そんな……誤解です!」
確かにユリアンナと一緒に様々なイベントを仕掛けたり、暗殺事件だって本当は暗殺などされないと知っていたが、ミリカにはアレックスたちを謀ったつもりなど毛頭ない。
それに、あれらは殆どユリアンナが計画して実行したことだから、ミリカに大した罪はないはずだ。
「誤解とは?」
「確かに以前、ユリアンナ様とは話をしましたが、ユリアンナ様がまさかあんなことをするなんて、私は知らなかったんです!!」
ミリカは考えた末、全てをユリアンナになすり付けることにした。
ユリアンナは既に国外追放の刑を受けている。
一つの罪状が深まったところで、痛くも痒くもないだろう。
「……あれらは全て、ユリアンナが独断でやったことだと?」
「そうです!ユリアンナ様は私に計画を持ちかけて来ましたけど、私はその内容を詳しくは知りませんでした!」
ミリカの主張を聞いたアレックスは深く溜息をつき、俯いて首をゆるゆると横に振る。
「ミリカ嬢。残念だけど……その主張は通らない。君とユリアンナの会話の様子は、ここにいるオズワルドが全て記録していたんだ。もちろん、その会話の内容まで、はっきりと」
アレックスの言葉に、ミリカはサァッと顔色を変える。
ミリカとユリアンナの会話の内容が記録されているということは、本当に洗いざらい全てバレてしまっているということだ。
「な、何ですって………!」
「僕らはもう、入学式の日に君とユリアンナが取引したことも、暗殺事件を起こすようユリアンナに頼んだのは君だということも、ユリアンナの処刑を回避する嘆願を行うという約束を君が反故にしたことも、全て知っているよ」
───裏切られた、裏切られた、最初から裏切られていた!!
ミリカの頭はその言葉でいっぱいになった。
アレックスとオズワルドに少しでも良い顔を見てもらえるようにしなければならないのに、胸に渦巻く憎悪が膨らみすぎて、制御できない。
「あの女ァ………!!やっぱり最初から私を裏切る気だったんじゃないの!!高潔な人間のフリしやがって、本当は自分が一番醜いくせに!!」
遂にミリカは堪えきれずにユリアンナへの悪態を叫ぶ。
ミリカに全面的に協力するように見せかけて裏ではオズワルドと繋がって、最後にミリカの足を掬えるように最初から準備をしていたのだ、とミリカは憤怒した。
悔しさが収まらず、思わず立ち上がってガシガシと地団駄を踏んだ。
それほどに、ユリアンナから語られた話は衝撃が大きかった。
ユリアンナが5ヶ国語もマスターできるほどの頭脳の持ち主だったなんて。
ミリカも成績はいい方だが、5ヶ国語もマスターする自信はない。
ユリアンナは前世は高卒だと言っていたから、勝手に頭が悪いと思い込んでいた。
それに、4年間もオズワルドに魔法を習っていたことも知らなかった。
ユリアンナは自分の夢のために努力を重ねていただけなのだが、ミリカはユリアンナに裏切られたと感じた。
ミリカが自分の夢のためにしたことといえば、ユリアンナにイベントを起こすよう頼むぐらいのことだったのだが、自分は努力したのにユリアンナのせいで台無しになったと憤った。
結局、ミリカはこの期に及んで自分が悪かったとは微塵も思っていないし、上手くいかなかったのはユリアンナのせいだと信じているのだ。
ベッドの上で怒りに震えていると、再び貴族牢の扉が開かれる。
入ってきたのはアレックスとオズワルドだった。
「アレックス様……オズワルド様!」
ミリカは昨日オズワルドを呼び捨てにしたことなどすっかり忘れて、胸の前で手を組み、その者たちの名を叫ぶ。
アレックスは王子らしく、今日も今日とて麗しい。
オズワルドは───と、オズワルドの顔を見て、ミリカは驚愕する。
今日のオズワルドは普段と違い、いつもは顔の半分を覆っている長い前髪を掻き上げ、その整った尊顔を惜しげも無く晒している。
(嘘っ!オズワルドって……こんなにイケメンだったっけ!?)
しばらく恍惚とその顔を眺めた後、何やら小さな声で話し合っている2人の様子を見ながらミリカは考える。
(どうして此処に来たのがこの2人なんだろう?)
アレックスは第二王子だから分かるけど、オズワルドはミリカと殆ど接点がなかったのに、何故?
もしかして、オズワルドはミリカに興味があるのではないか?
(いいわ……最悪の事態を免れるためなら何だってやるわ!)
ミリカにとっての最悪の事態は、攻略対象者の中の誰とも結ばれないことだ。
オズワルドは学園では全く攻略できなかったけど、今からでも遅くはないはず!
………そう思ったのだが。
「ミリカ・ローウェン嬢。君には、ユリアンナ・シルベスカ嬢と共謀して王族を始めとする高位貴族を謀った容疑がかけられている。何か申し開きはある?」
アレックスが厳しい表情でミリカに尋ねる。
「え……?謀った……?いえ、そんな……誤解です!」
確かにユリアンナと一緒に様々なイベントを仕掛けたり、暗殺事件だって本当は暗殺などされないと知っていたが、ミリカにはアレックスたちを謀ったつもりなど毛頭ない。
それに、あれらは殆どユリアンナが計画して実行したことだから、ミリカに大した罪はないはずだ。
「誤解とは?」
「確かに以前、ユリアンナ様とは話をしましたが、ユリアンナ様がまさかあんなことをするなんて、私は知らなかったんです!!」
ミリカは考えた末、全てをユリアンナになすり付けることにした。
ユリアンナは既に国外追放の刑を受けている。
一つの罪状が深まったところで、痛くも痒くもないだろう。
「……あれらは全て、ユリアンナが独断でやったことだと?」
「そうです!ユリアンナ様は私に計画を持ちかけて来ましたけど、私はその内容を詳しくは知りませんでした!」
ミリカの主張を聞いたアレックスは深く溜息をつき、俯いて首をゆるゆると横に振る。
「ミリカ嬢。残念だけど……その主張は通らない。君とユリアンナの会話の様子は、ここにいるオズワルドが全て記録していたんだ。もちろん、その会話の内容まで、はっきりと」
アレックスの言葉に、ミリカはサァッと顔色を変える。
ミリカとユリアンナの会話の内容が記録されているということは、本当に洗いざらい全てバレてしまっているということだ。
「な、何ですって………!」
「僕らはもう、入学式の日に君とユリアンナが取引したことも、暗殺事件を起こすようユリアンナに頼んだのは君だということも、ユリアンナの処刑を回避する嘆願を行うという約束を君が反故にしたことも、全て知っているよ」
───裏切られた、裏切られた、最初から裏切られていた!!
ミリカの頭はその言葉でいっぱいになった。
アレックスとオズワルドに少しでも良い顔を見てもらえるようにしなければならないのに、胸に渦巻く憎悪が膨らみすぎて、制御できない。
「あの女ァ………!!やっぱり最初から私を裏切る気だったんじゃないの!!高潔な人間のフリしやがって、本当は自分が一番醜いくせに!!」
遂にミリカは堪えきれずにユリアンナへの悪態を叫ぶ。
ミリカに全面的に協力するように見せかけて裏ではオズワルドと繋がって、最後にミリカの足を掬えるように最初から準備をしていたのだ、とミリカは憤怒した。
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