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「味付けを選べるようにしたら皆さん毎日でもそこで食べるようになるんじゃないんでしょうか?」

そう思ったので聞いてみる。

だけれども、青年は肩をすくめて苦笑いをした。

「それができればいいんだけどね。皆、職人気質な人たちばかりだから・・・気難しいんだよね。機嫌をそこねて作ってもらえなくなってしまったら、二度とその料理人が作る料理が食べられないわけだろう?その方が僕たちには辛いことだから。日によって味付けが違うことくらい許容範囲だよ。」

「そ、そうなんですね・・・。」

料理人は調理の適性も持っているけれども、職人気質な人が多いのか。これも持って生まれた適性になるのかな?

でも、その料理の味の虜になっている人がいるから、職業としてやっていけている・・・ようだから、まあ、いいのかな?

でも・・・ちょっと気になるかも。

自分好みの味に当たればとっても美味しいってことだよね?

また、食べたいと思うほどに美味しいってことだよね?

さっき別れたばかりのアーリアさんのニャーニャー亭に行くのはちょっとばかり気まずいし、ここは他の食堂さんに行ってみようかな。

「あの、親切に教えてもらっててなんですけど、ちょっとニャーニャー亭以外のところが気になってしまいまして・・。ニャーニャー亭以外のお勧めの食堂を教えてもらえますか?」

「おっ!君はずいぶんチャレンジャーなんだね。いいよ。僕がいつも行く食堂に案内しようか。ちょうど僕も食べに行くところだったしね。」

「よろしくお願いします。」

青年はにっこりと笑ってそう提案してきた。

一緒に食べに行ってくれるのなら一人で食べるよりも心強い。

それが知らないお店ならなおのことだ。

どんな料理が出てくるのかもわからないのだから。

「オレはカナタって言います。」

「カナタさんですか。珍しい名前ですね。僕はアルフレッドと言います。」

青年はアルフレッドと名乗った。

しかし、なんだかとても人懐っこい笑顔で初めて会ったような気がしないんだよなぁ。

すっごく話しやすいし。

「僕はそのうち役者になるんです。役者の卵なんですよ。」

「そうなんですね。納得しました。」

「え?納得?」

アルフレッドさんはオレの言葉に驚いたのか目を丸く見開いた。

「ええ。とっても魅力的な笑顔だったので。人々を魅了するような笑顔でした。それに、安心するような笑みで・・・。」

「そ、そうですか。そう言われると照れますね・・・。」

アルフレッドさんはそう言って照れたように微笑んだ。

ほんとにこの人、ひとつひとつの動作が目を引くなぁ。

これも、役者の卵っていう職業の適性によるものなのだろうか。

って、あれ?

女神様の話では職業は後から変えられないって言ってたよな。

アルフレッドさんは役者の卵だって言ってたけど、このまま死ぬまでずっと役者の卵なのだろうか。
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