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「カナタさんの血を引いていれば職業を選択できる・・・のですか?」

「もちろんじゃ。」

シラネ様はアネットさんの問いかけに悠然と頷く。

オレの血を引くって、もしかしてオレから血を抜いて誰かに輸血したら、その人が職業を選択できるようになるということなのか?

えっ・・・。

それってオレ、これから狙われるんじゃないか。

ちょっと。シラネ様。

なんだってそんなヘンテコな体質にしたんだよ。

「カナタよ。なにか勘違いしておらぬか?」

血を抜かれると思って顔を真っ青にしていたオレにシラネ様はため息をこぼした。

「なにを勘違いしていると・・・。オレ、血を抜かれるんでしょ?」

「戯けたことを申すな。そのようなことはあるまい。むしろ、妾が許さぬのじゃ。」

「カナタさん・・・。」

「カナタさん、あなたって人は・・・。」

オレの発言にシラネ様はもちろん、アーモッドさんとアネットさんも深いため息をついた。

「えっ?あれ?違うの?」

もしかして、皆わかってるのにオレだけ勘違いしてた?

やべっ。恥ずかしいんだけど。

「違うのじゃ。カナタの血を引く者。つまり、カナタの眷属じゃ。」

「眷属・・・?」

シラネ様ってばまた難しい言葉を使う。

眷属ってなんだろう。

よく聞くのは吸血鬼が吸血した相手を眷属とするとか聞くよね。

えっと・・・つまり、

「オレが吸血した相手がオレの眷属になるということか?つまり、頼まれたらいろんな人の血を飲めってこと?」

オレが吸血鬼になればいいってことか?

そうして、血を吸った相手がオレの眷属となり、職業を自由に選ぶことができるということだろうか。

そう思って、オレが確認すると皆唖然とした表情を浮かべていた。

「カナタさん・・・。眷属って言葉の意味、知ってますか?」

アネットさんがオレに尋ねてくる。

「う~ん。聞いたことはあるんだけどね。よくわからないや。」

「そうでしょうね。言葉の意味を知っていたら今のようなヘンテコな質問はなかったでしょうね。」

「ぐっ・・・。」

い、以外とアーモッドさんって毒舌家なんだろうか?

「お主、アホじゃな。ほれ、三歩歩いてみぃ?」

「むっ!シラネ様!アホとは失礼なっ!」

オレはシラネ様のいう通り三歩歩いてみる。

「ほれ。1,2,3,ポカン。」

「ポカン・・・。」

ん?あれ?

オレ、今何に対して怒ってたんだっけ?

なんだか馬鹿にされていたような気が・・・。

「して、眷属とはなにか。わかるものはおるかの?」

「・・・家族ということでしょうね。」

「そうじゃ。」

シラネ様の問いかけにアーモッドさんがため息交じりに答えた。

そうか。

眷属って家族のことだったのか。

「シラネ様。難しい言葉を使わないでくださいよ。まったく。」

「・・・難しい言葉でもなんでもないと思うがのぉ。」

シラネ様が斜め上を見ながらそう呟いた。

「あの・・・。カナタさんの眷属になればってことは、私でもカナタさんと家族になれば、職業を選べるようになるのですか?」

アネットさんがそうシラネ様に尋ねた。

その表情はどこか期待をはらんでいるようにも見える。
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