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本編
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しおりを挟むジェリードット先生が見せてくれたアクアさんの精霊の卵には、とても小さなヒビが入っていた。
それは、目を凝らさないと見えないほどに小さなヒビだった。
「このヒビを直さないといけないわね。」
「うむ。そうじゃな。しかし、どうやってヒビが入ったのやら。」
そう言ってトリードット先生が、考え込むような仕草をした。
「精霊の卵にヒビが入ることは珍しいのですか?」
「うむ。なかなかヒビを入れることは難しい。例えば精霊の卵を思いっきり地面に叩きつけたとしても割れないのだ。」
「普通は鋭利な刃物で突き刺してもヒビなど入らないわね。」
「火の中に入れても傷一つつかぬとも聞くな。」
「それって、火を通しちゃったらゆで卵になっちゃうんじゃないですか?」
「それが、無傷なのよねぇ。ゆで卵になることはないわ。」
トリードット先生とジェリードット先生が精霊の卵がいかに傷つけにくいのかを教えてくれる。
「ハンマーで叩いたら流石にヒビくらい入りますよね?」
「いいえ。無理だったという報告があるわ。」
「そうじゃの。むしろ、ハンマーが粉々になったと聞いておる。」
精霊の卵、頑丈すぎじゃないだろうか。
ハンマーで叩いてもヒビすら入らずにハンマーが粉々になるとかどれだけ頑丈なのよって話ですよね。
でも、逆に言うとそんなに頑丈な精霊の卵にヒビが入っているというのはどういうことだろうか。
「トリードット先生、ジェリードット先生。私には精霊の卵がとっても頑丈で、精霊の卵にヒビを入れることすら困難なように聞こえるのですが・・・。」
「うむ。物理的には不可能じゃな。」
「ええ。そうね。物理的には不可能だわ。」
先生方はそう言った。
物理的にはとはどういうことだろうか。
「精霊の卵にヒビを入れる方法があるのですか・・・?」
「うむ。あることにはある。」
「ええ。ただ、実際にできるかというと難しいわ。」
トリードット先生もジェリードット先生も難しい顔をして頷いた。
精霊の卵にヒビをいれることはできるようだが、その方法がかなり難易度が高いらしい。
でも、現にアクアさんの精霊の卵にはヒビが入っている。
「どんな方法なんですか?」
「精霊の力を借りるのだ。精霊の卵は精霊の力をぶつけることでヒビが入る。」
「でも、それって逆に言えば精霊を扱える人は誰でも精霊の卵にヒビを入れることができるんじゃないですか?」
精霊の力があれば精霊の卵にヒビを入れることができるのであれば、精霊を従えることのできるこの高等魔術学院にいる2年生以上の生徒なら誰でも可能だろう。
それに、外部にも精霊を扱える人はたくさんいる。
「それがの、誰にでも精霊の卵を傷つけることは難しいんじゃ。」
「ええ。その精霊の卵よりも高位の精霊でないと精霊の卵に傷をつけるのは難しいの。」
「つまりじゃ。アクア嬢の精霊の卵は聖竜の可能性が高い。その聖竜の卵を傷つけることのできる精霊というのは邪竜しかおらぬのじゃよ。」
トリードット先生は衝撃的な一言を発した。
邪竜しか聖竜の卵を傷つけることができないとは・・・。
邪竜がすでに孵化しているってこと・・・?
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