43 / 70
本編
42
しおりを挟む「むっ。いかにもなのだ。我は偉大なる竜なのだ。」
手のひらサイズの小さな白い蛇のような姿をしているプーちゃんは胸を張って告げた。
うぅ。
偉大なる竜だって言われても、この小ささじゃあの大きな邪竜に勝てるとは思えない。
「竜っ!?このちっさくて間抜けそうなのがっ!!?嘘だろう!?」
「まあ、竜でしたの。では、邪竜を倒せますか?」
プーちゃんの竜だと言う発言にメリードット先生の驚いた声とアクアさんの冷静な声が聞こえてきた。
「もちろんなのだ。我にできないことはないっ!」
プーちゃんはメリードット先生の言葉は無視したのか、アクアさんの質問だけに答えた。
威張って邪竜を倒せると告げるプーちゃんだが、その見た目からはぜんっぜん強そうに見えない。
むしろ、邪竜にプチッと潰されそうだ。
「ありえない。ありえないわぁ。こんなちっさいプーちゃんにあのでっかい邪竜が倒せるとは私には到底思えませんわ。嘘はつかないでくださいね。」
プーちゃんが邪竜を倒せるだなんて信じることはできなくて、思わずギッとプーちゃんを睨みつけてしまう。
っていうか、プーちゃんは一応竜なんだけど、なんだか威厳とかなくってすっごく弱そうなんだよね。
私でも勝ててしまうんじゃないかと思えるほど弱そうに見える。
「我は強いのだっ!世界最強なのだっ!!例え我の母であろうとも我の力を過少評価することは許さぬぞっ!しかと見ておるのだっ!」
そう言ってプーちゃんは細長い身体をくねらせて宙に浮いた。そして、そのまま邪竜の方に向かってふらふらと飛んでいく。
『きぃしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!』
邪竜の威嚇をする声が辺りに響き渡る。
物凄い声量に思わず耳をふさいで立ち尽くしてしまう。
だが、プーちゃんは怯まなかったようでそのまま邪竜に向かって突進していった。
プーちゃんが邪竜に近づけば近づくほど体格差があらわになり、プーちゃんじゃ絶対に勝てないという思いに駆られる。
「プーちゃんっ!危険だから戻ってきてっ!!」
思わずそんな叫び声を発してしまった。
だって、卵から孵化してすぐに死んじゃうだなんてそんなのはあんまりだ。
見た目が嫌いな蛇だったとしてもやっぱりやるせない。
しかしプーちゃんはこちらに視線を向けることもなく一直線に邪竜に向かっていった。
そして、プーちゃんが邪竜に最接近したと思った直後に「パァアアアアアンッ!!」という何かが破裂するような音が盛大に辺りに響き渡ったのだった。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
2,097
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる